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こんな夢を見た。

 犬は飼い主に似るとはいうが、ここまで似ているとはお隣さんでも知らないだろう。うちの犬は本当にダメ犬だ。昼間から小屋に籠もりうつ伏せで寝ている。人が来てもちっとも吠えやしない。お陰で私はいつも大事な荷物を受け取ることができない。

 ついこの間も、楽しみにしていた商品をあのダメ犬が吠えないお蔭で受け取れなかった。これではどうしようもない。人が来たら吠える調教するしかないと思ったが、私は昼間寝ている。仕方ないので、お隣の野球少年に駄目もとで頼むことにした。
「すまんが、このダメ犬を知らない人が来たら吠える様に調教してくれんかな」
 私が少年にそう言うと少年は「太郎好きなんでやりますよ」と言ってくれた。これはしめしめと私は思った。なんせ、犬の調教は面倒くさいというじゃないか。
「太郎今日からあの野球少年に性根を鍛えてもらえよ」そう太郎に言い頭を撫でても、微動だにしない。このダメ犬がと思い私は家に戻り昼寝をした。
 
 次の朝「わんわん!」と犬が吠える声がして私は目を覚ました。どこのバカ犬がこんな朝から吠えているんだと思ったが、家のチャイムが鳴ってる音がする。出てみると宅配だった。私はサインをして受け取ると先日頼んだ商品じゃないか。まさかこんなに早く成果がでるとはな。と思い、少年に何かご褒美をあげようと私はまた床についた。
 
 それから「わんわん!」「わんわん!」と鳴く度に、私は重い瞼を持ち上げた。これではもはや昼寝どころじゃないぞと思い、私は太郎の元に向かった。するとどうだ、太郎が私に向かって「わんわん!」吠えるじゃないか。「太郎!」と声を張り上げても鳴き止まない。近づけば牙を剥きその叫びをいっそう荒立たした。
 
 丁度そのとき、野球少年が現れた。太郎は吠えるのを止め「くんくん」と甘えた声を出し野球少年の方へ向かった。野球少年は「よしよしちゃんと知らない人に吠えたかい?」と聞くと太郎は尻尾をくるくるとさせた。私は「成果がでてるみたいだからもういいよ」と言うと野球少年は「ぼく、太郎好きなんで大丈夫ですよ」と言った。これではもはや昼寝どころではないと苛立ちを隠せないまま、私はまた床についた。

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