こんな夢を見た

『とある街で原因不明の病が流行っていた』

「この流行病を治療する方法を解明致しました」
 と一人の司教が教皇のもとを訪れた。

「申してみよ」教皇は言った。
「はい。我らが信仰する今は無き大樹から炙り出る煙に、この流行病を治療する成分があることを突き止めました」

「ほう、興味深い。だが大樹は遥か昔に枯れ果て、今はその跡地を聖地として崇めていることを司教ともあろう者が知らないはずはないな?」
「はい、存じています。しかしながら申し上げます。今、私どもが居るこの場所はその枯れ果てた大樹で創られた教会であります」
「たわけがぁ! それは我が神に対する冒涜だっ! その罪人を捕らえよ」
司教は捕らえられ牢に入れられた。
 
今こそ信仰とは何かと問うべき時代なのだ!
司教はいま死ぬことはできないと必死で牢を壊した。爪は禿げ、甲からは骨が剥き出しになり、気が狂いそうなほどの痛みに耐えた。民のため、己の信じる信仰のため。

人目を避け、教会へ向かい火を点けた。
よく燃えた。よく燃えた。
 
煙は町中を覆った。
人々は絶望の縁に教会の周りに集まり祈りを捧げた。
「この世の終わりじゃ」
一人の老人は言った。
 
司教は再び捕らえられ、その場で百キロ超ほどはある巨漢騎士のエレクトニカルマッサージを喰らい悶絶死した。

流行病はそれから直ぐに回復の兆しを見せ、その日以降死者は出なかった。
人々は神に感謝した。
それからというもの信仰はさらに深まった。

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