『小説の神様』を読んでみた

@tokimekishikenさんの記事『ヴァーチャルリアリティ的』で紹介されていた『小説の神様』を読んでみました。

物語は人の心を動かせるか、人を変えられるか」がテーマらしく、まさに最近気になっていたことだったので、すぐにポチってしまいました。

あらすじ

学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない主人公。物語を紡ぐ意味を見失った彼の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。
2人で小説を合作するうち、主人公は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは?そして合作の行方は?
書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春小説!

こんな感じの本

誰もが持つ、汚くて醜い心の姿を、主人公に投影させて、その葛藤を描いている。小説を書く苦悩や、それでも物語が必要とされる理由に真正面から向き合った本です。

感想

正直、ライトノベルはあまり読んでこなかったのですが、すごく感動しました。
といっても、『陽だまりの彼女』など好きな作品はいくつかあるし、文章のレベルも高かったり、競争が激しかったりと、ラノベだとか一般小説だとか純文学とか文芸だとか、そういった違いはもう意味をなさなくなってきてるんだろうなーと思っています。

脱線しましたが、本の感想です。

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心が動いた箇所

物語が響かない?言葉が届かない?だったら何度でも何度でも、心を、胸の扉を、言葉で叩くのよ!

主人公と小余綾詩凪が怒鳴りあうシーン。小余綾詩凪のセリフが胸に突き刺さりました。

自分はそんな想いを込めてアウトプットしたことなかったし、届ける言葉においても、そこまで真摯に向き合ったことはありませんでした。

これは最近読んだネットフリックスの本『NETFLIXの最強人事戦略』にも通じますが、率直なフィードバックはやっぱり大切ですね。

「拳を痛めてまで届けたい想いはなんなのか」を明確にすることはもちろん、誰の心の扉をノックするのか、も大事なんですね。胸に刻もうと思いました。


苦しいのなんて、当たり前でしょう!悔しくても、苦しくても、辛くても…それでも、物語を綴るのが小説家というものでしょう!

これもドキリとしました。気分が乗らないとなにも書かない自分が恥ずかしい。無理矢理にでも、苦しんででも、書き進めないといけないですね。

小説家ではありませんが、今年は100本、noteの記事書きます。


わたしたちは、言葉を伝えたいわけじゃない。言葉では遅すぎる。言葉では不自由すぎるのよ。だから、言葉では伝わらないことを、表現しきれないことを、一つの物語に編んで届けることしかできない

世の中にさまざまな表現方法が存在する最も大きな理由を、見事に表現していると思います。

なぜ動画ではなく小説か。個人の意見ですが、ミロのヴィーナスのように、不完全ゆえの魅力があるというか。想像力が物語を完全なものにするその過程自体がひとつのエンターテイメントなのではないかと考えています。なので、活字表現の小説にしかない魅力があるのではないでしょうか。どんなエロビデオより、官能小説が一番興奮するという事実がその証拠だと思います。僕だけだったらごめんなさい。

また、このシーンこそが、本作が一番伝えたかったことではないでしょうか。本作では「なぜ小説を書くのか」と繰り返し問いかけます。言葉では伝えられないからこそ物語が存在しているということ、がその問いへの答えなんだろうなと思います。

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この本を一言で言うと

なぜ小説が必要なのか、なぜ書くのか。その問いに答え続ける小説だと思いました。

読み終わって、、、

心の扉を開ける努力をしないといけないなーと思いました。

どうしても面倒なことからは目を背けたり、理解できない相手が悪いと考えてしまう節があるので。

また、誰にでもストーリーがある、というメッセージは励みになりました。どうやったらみんなが自分の人生の主役になれるのか考えたいですし、そんな世の中をつくりたいです。

さて、note100本。気分が乗らなくても、書き続けられるように頑張ります。

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