融資成功のための必殺ワザ(1/4)- 魅力的な利益の見せ方とは
よく「融資を受けるためにどうすればいいですか?」というような相談を受けることがあります。
この点は、なかなか税理士に聞いても明確な回答が返ってこないところだと思います。その理由としては、税理士というのは、そもそも税金のプロであって、会計やファイナンス(財務)のプロではないからです。
そのため、多くの中小企業が、”残念な”会計を作ってしまい、本来受けられるはずの融資を受けることができなくなってしまっています。
私は、いつも「魅力的な会計を作ることです」と回答しています。
そこで今回は、「魅力的な会計とは一体何なのか」ということを解説していきます。
銀行についてを知る
融資を受けるためには、まずは融資をしてくれる金融機関(銀行)について理解を深める必要があります。
簡単に言うと、銀行に好かれる会社になればいいのです。好かれるためには、相手を知ることからはじめましょう。
銀行の評価基準は、「定量評価」と「定性評価」の2パターンがあります。
「定量評価」とは何なのか?
「定量評価」とは、簡単に説明すると、決算書の内容のことです。会社が作っている決算書が銀行にとって魅力的かどうかです。
銀行が決算書を見るときには、売上高も見ますし、利益も見ます。それに加え、資産負債の状況も見られます。
「定性評価」とは何なのか?
「定性評価」は、決算書以外の部分なので、色々あります。たとえば、経営者の年齢や経歴だったり、過去の与信情報なども見られます。また、みなさんが思っている以上に重視されているのが、経営者の人柄です。
本当に融資を受けたお金を返しそうかどうかを判断するには、経営者の誠実さなどの人柄も非常に重要です。
「定量評価」と「定性評価」のどちらかを頑張れば良いわけでなく、両方ともしっかりと高いポイントをとらなくてはいけません。
とは言え、「定量評価」が評価の7~8割の重要度を占めるため、今回は、「定量評価」にフォーカスして解説していきます。
段階損益を最適化する
段階損益を最適化するためには、次の3ステップで理解を深めてもらいたいです。正直、すぐには理解できないと思いますが、まずは「何となくそんなことを考えて会計を作っていくのが必要なんだなぁ」という程度の理解で問題ありません。
ステップ①「段階損益とは何か」を理解する
段階損益とは、以下の5つの損益のことを言います。
表現としてわかりやすいように、すべて「利益」と記載してありますが、赤字の場合には、「損失」になることもあります。
売上総利益
営業利益
経常利益
税引前当期純利益
当期純利益
これらの5つの利益は、決算書上は、以下の表のように段階的に並んで記載されています。そのため、「段階損益」と表現されます。
ステップ② それぞれの段階損益は、何が違うのか
1.売上総利益は、「売上高」から「売上原価」を差し引いて計算されます。これは、純粋に商品の販売から得られる利益のみを指します。
2.営業利益は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引くことで計算されます。これが意味するのは、商品などを販売するための営業活動に係る費用を差し引いた利益を指します。
この「販売費及び一般管理費」には、「役員報酬」、「給料」、「法定福利費」、「地代家賃」、「旅費交通費」、「消耗品費」、「交際費」、「会議費」、「減価償却費」などの皆さんがイメージされる一般的な費用が含まれます。
3.経常利益は、「営業利益」に「営業外収益」を足して「営業外費用」を差し引くことでことで計算されます。これは、営業に関する収支だけでなく、営業外の収支も加味した利益ということになります。
この「営業外収益」や「営業外費用」は、法人の本業以外の活動で生じた収益と費用になります。具体的には、「受取利息」や「支払利息」などの財務活動にかかる費用や直接営業活動に関係ない収支が含まれます。補助金などの収入などもこの「営業外収益」に分類されます。
4.「税引前当期純利益」は、「経常利益」から「特別利益」を加算し、「特別損失」を減算した金額になります。
この「特別利益」、「特別損失」は、会社の経常に発生する業務内容とは関係なく、その期だけに例外的に生じた「損失」や「利益」を意味します。
5.「当期純利益」とは、「税引前当期純利益」から「法人税等」を差し引いた最終利益になります。
ステップ③ 段階損益のどこ評価されているか理解する
金融機関の多くは、融資先の評価をする際に、「営業利益」を最も重視する傾向にあります。
そのため、この「営業利益」を高く見せることができれば、
銀行に評価される段階損益を作る”裏ワザ”とは
銀行に高い評価をされるためには「営業利益」を高くすれば良いことが分かったと思います。
それでは、この「営業利益」を高く見せる会計上の手法をお伝えしたいと思います。
営業利益を増やすための3つの選択肢
営業利益を上げるためには、3つの選択肢しかありません。
「売上高」を上げる
「売上原価」を下げる
「販売費及び一般管理費」を下げる
もちろん販売を頑張って「売上高」を上げたり、仕入先と交渉して「売上原価」を下げられればベストです。しかし、そう簡単にはいきません。
そこで今回提案するのが、「販売費及び一般管理費」を減らして、代わりに「営業外費用」や「特別損失」を増やすという会計上のテクニックをご紹介したいと思います。
「販売費及び一般管理費」を減らしても違法ではないのか
なにやら違法なように思うかもしれませんが、全く問題ありません。
多くの上場会社を含む大企業も、「販売費及び一般管理費」のうち、「営業外費用」や「特別損失」として計上できるものがないかを入念に検討しています。
「営業外費用」や「特別損失」となる性質の費用に限る
「販売費及び一般管理費」のうち、好きな費用を自由に「営業外費用」や「特別損失」に移していいわけではありません。
「営業外費用」は、法人の本業”以外”の活動で生じた費用
「特別損失」は、会社の経常に発生する業務内容とは関係なく、その期だけに例外的に生じた「損失」
「販売費及び一般管理費」のうち、上記の条件を満たす費用は積極的に「営業外費用」や「特別損失」に移すようにしましょう。
たとえば、決算時に予想よりも多くの利益が出たために従業員に決算賞与を出す場合があります。この決算賞与は、その期だけに特別に発生した費用と考えられるので、「特別損失」にいれても問題ありません。
会計の専門家を利用するとよい
このようにどのような費用を「販売費及び一般管理費」から移してよいかを判断するのは容易ではありません。
おそらく普通の税理士でこの点を十分に理解している人は、正直なところ多くはありません。
そこで、このあたりのアドバイスをできるような会計や財務のアドバイザーを探してみることから始めてみてください。
まとめ
多額の融資を有利な条件で受けることができるようになるには、特別なショートカットはありません。
最も重要なのは、毎年の決算で”踏み外さない”ことです。正直なところ、融資を受けることができない会社の多くが、最高の決算に行きつく過程で踏み外しています。
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