「学生との対話」小林秀雄 2
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認識とは、科学みたいに便利なものではありません.僕の認識することと君の認識することは違うじゃないか.だから喧嘩もする.その代わり、君は僕を好きになるかもしれない.それは僕たちが違うからではないか.そうだろう?僕らの認識とはそういうものなのです.
僕らの認識は僕らの生活を決して便利にはしてくれません.だけど、僕らの生活を生活しがいのあるものにするのは、認識です.僕らの生活は、僕らの認識によって、喧嘩にもなるし愛にもなる.認識とは、非常に面倒なものです.その面倒な