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映画『偶然と想像』~その偶然に意味はあるのか~

2月9日水曜日に、渋谷bunkamuraルシネマで観て来ました。東京では2館のみの上映となっておりますが、3月からは拡大公開が決まっていますね。第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した話題作です。

『偶然と想像』の監督・脚本の濱口竜介さんは、映画『ドライブ・マイ・カー』で第94回アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門ノミネートを受けており、現在世界で最も注目されている映画監督と言っても差し支えないでしょう。ノミネート発表が8日火曜日の夜で、同じ濱口監督作品ということから、私が観た回は平日でありながら結構混んでいた気がしましたね。しかも、お客さんは老若男女問わずという感じでした。

最初に投稿した『三度目の、正直』の記事でも書いたのですが、私は濱口竜介監督・脚本の『ハッピーアワー』が好きで、その物語の中でも『偶然』の要素が散りばめられていた記憶がありました。その『偶然』をタイトルに持ってきた濱口監督作品って、どんなものなんだろうという思いからこの映画を観に行きました。3つの短編集というのも、私には新鮮に感じましたね。

(見出し画像参照 https://twitter.com/Bunkamura_info

あらすじ

撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。「魔法(よりもっと不確か)」

作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。「扉は開けたままで」

高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。「もう一度」

(あらすじ参照 https://guzen-sozo.incline.life/

私の感想

私はこの映画の3つの物語、とてもシンプルでありながらも、様々な人と深く話し甲斐のあるものだなぁと思いました。不思議な感覚ですね。また決して気取った映画ではなく、前向きなメッセージがある映画にも思えました。

テーマはタイトル通り、『偶然』と『想像』。

各物語の主人公の芽衣子、奈緒、夏子は共通して、ある偶然に出くわして、その先を想像し行動します。しかしその想像は、思い通りにはいかないし、むしろ自分のトラウマや核になる問題と向き合わざるをえない状況になっていく展開が面白いです。

パンフレットの中で濱口監督は、偶然が起きるとそれが「起きた世界」と、「起きなかった世界」が共に見えてくるとおっしゃっています。

私も、奇跡的な偶然とまではいかなくとも、「あの人との出会いがなかったら、あの本を読んでいなかったなあ」とか、「あの時ラジオを聴いていなかったら、あのドラマ観ていなかったよなあ」と、ふと思うことがあります。そんな偶然を元にし、人間関係を深く築くことが出来た思い出もあります。

特に印象に残ったシーン

印象に残ったシーンは、まさにその偶然が起こるシチュエーションですね。

喫茶店、バス、そしてエスカレーター。主人公らは、その場所である人と偶然出くわすのですが、自分にも似た経験があったかもなぁと思い出します。

3話目の「もう一度」の中で、夏子がエスカレーターで登っている最中に、会いたいと思っていた同級生のあやと目を合わせすれ違う。そして今度は、お互い確かめるように、夏子はエスカレーターを下り、あやは登って来る。

私も、道ですれ違った人が同級生に似ていて振り向いたり、「あの時は声かけとけばよかったなぁ」と後悔したりした経験がフラッシュバックします。

どんな人に見て欲しいか

私はこの映画、何かを始めようとしている人、何かのチャンスがあったり、入学や転職を控えている人にぜひ見て欲しいですね。

この映画の主人公らは、結末がどうであれ、偶然と出会い、その先を想像し行動しているんですよね。でも私も含めて現実世界だと、そういう偶然をただ見過ごしてしまう、勇気が出ないということも多々あると思います。

偶然出会った人やものごとを大切に考えて、ここで行動すれば自分に何か起こるかもしれない、そんな勇気をこの映画を観ると貰える気がするんです。

この映画を観て、すぐそばにある偶然に意味があると信じてみませんか。

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