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伊藤忠商事元社長が若手社会人に語る「働くことの本質」とは

こんにちは!

本日は、伊藤忠商事元会長である丹羽宇一郎氏の執筆した「仕事と心の流儀」の内容を、若手社員の方向けに要約していきたいと思います。

著者プロフィール
丹羽宇一郎(にわ ういちろう)
・元伊藤忠商事株式会社会長
・名古屋大学法学部卒業後に伊藤忠商事に入社。
・1988年に社長、2004年に会長に就任。

「仕事と心の流儀」講談社現代新書出版 より


概要

書籍は5章構成となっており、それぞれのテーマをもとに丹羽氏の経験から「働くことの本質」が語られています。

各テーマのなかでは丹羽氏の経験をもとに書かれているため、内容は若手時代に必要なことから、管理職時代に必要なこと、そして社長時代に必要なこと等、多岐にわたります。

今回は書籍の内容のなかで、「若手社員時代に必要なこと」のみに限定し、書籍の内容を再構成してお伝えしていきます。


其の壱 行動を繰り返し人は成長する


人の能力や適性には”ほとんど差がない”

人間のヒトゲノムは約30億の塩基対DNAからなりますが、そのうち99.9%は誰でも同じ遺伝情報であり人としての個体差は0.1%しかありません。つまりほとんどの人が同じ遺伝情報を持っており、人の能力や適性にほとんど差がないと丹羽氏は考えています。

しかし現実では、人によって必ず能力の差があります

丹羽氏は「どれだけ努力したか」の差が、この能力の差になっていると考えています。なかには、大谷翔平さんや羽生善治さんのように天才といわれる能力や適性が高い人もいますが、彼らも努力したことでその才能を開花させたと丹羽氏は考えています。


以前、大谷翔平さんの取り組み(努力)について、社会人基礎力の観点から考えた記事を執筆したので、よろしければこちらもぜひ読んでみてください!



熱意を持って努力する

仕事をするうえで最も大切なのは「熱意」だと丹羽氏は考えています。仕事に熱意を持ち、目標達成のために主体的に考え努力を継続すれば、大抵の仕事は成功します。

また、熱意を持つためには「見えざる報酬※」に目を向けることが大切だと丹羽氏は考えています。

※見えざる報酬とは?(丹羽氏の考え)
見えざる報酬とは、心や精神の成長でのことを指します。
一方で見える報酬とは、金や地位といったものを指しています。

「見えざる報酬」に目を向けることで、大きな仕事上の課題と向き合う際にも、プラス思考で考えることができ、働く意欲が上がり、仕事に誇りが持てるようになります。そして、仕事に熱意を持って取り組めるようになるのです。


小さな失敗、実は大功績?

努力することや熱意を持って仕事をする大切さについて述べてきました「失敗することが怖くてそんなことできない…」と思う人もいるかもしれません。

丹羽氏は小さな失敗こそ功績であり、たくさん繰り返すことが重要だと考えています。

ハインリッヒの法則をご存じでしょうか?

ハインリッヒの法則とは?
1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れているというもの

引用:HRpro

丹羽氏は仕事において小さな失敗をたくさん経験し、絶えず改善し続けていくことが大失敗しない一番の方法だと考えています。

小さな失敗をしたと考えるのでなく、大きな失敗を未然に防いだと考えると小さな失敗を恐れなくなります。小さな失敗をたくさん繰り返し、その都度改善していくことが会社全体で大きな失敗を防ぐことに繋がり自分自身も成長することができます。

失敗を経験し改善することの重要性について記事を執筆したので、よろしければこちらの記事も読んでみてください!


失敗を経験して”人間力”を養う

たくさん失敗しようとはいっても、仕事だけでなく健康やプライベートでも失敗ばかりだとさすがに気も落ち込んでしまいます。しかし、丹羽氏はそうした問題を感じられるのは「自分はこうありたいという目的意識があるからだと考えています。問題に対して見方を変えて乗り越えたり、受け入れることが「人間力」を育てるのです。

そして失敗を繰り返し、問題を乗り越える経験を繰り返すことで、人間力が高まり良い意味で開き直れるようになります。そうすることで、「自分はやり切ったのだからこれ以上はできない。いつも通りやればよい。」と平常心を保つことができ、大一番の勝負で心の強さを発揮できるようになります。


感想

「見えざる報酬に目を向けること」や、「失敗は大失敗を未然に防いだと考えること」など、仕事への考え方としてとても勉強になりました。また、行動起点で考えることは、私自身意識していることであり、その重要性に非常に共感できました。

しかし、行動起点で考えることは、NOTEを活用して自己研鑽するような方であれば、当たり前に行うことができると思います。丹羽氏が伝えたかったのは、行動できない人がいるなかで、~~人なら行動できると伝えたうえで、組織として全体を活性化するには何が必要か?マネジメント視点で考えてみようということだったのではないかと思います。

私も数十名規模の団体の代表を務めるなかで、「適切な戦略策定≠成果」だということに気づき、組織戦略・戦術(いかに人を動かすか)の重要性を感じています。自身がリーダーとしてどのようにしたら良いか?と問い続けていくことこそ最も重要なことだと感じました。


サイバーエージェントCHOの曽山さんがYouTubeにおいて、仕事でなく人に責任を持つというマネジメントのヒントを述べていました!
よろしければご確認ください!
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其の弐 プラス思考で成長機会を増やす

若手社員が環境や仕事に対してネガティブな印象を持つ原因は、上司であることが多いです。上司が嫌い、評価してくれないといった気持ちが、仕事への動機づけの低下に繋がります。そんなときに、どのように考えたらよいのかという点についてお伝えしていきます。


ダメ上司こそ最高の見本である

この言葉を聞いて、「お手本にすべきは良い上司では?」と思ったのではないでしょうか?私も初めて読んだときはそう思いました。しかし、なぜダメな上司を見本にするのかという丹羽氏の考え方を聞いて、非常に納得しました。

もちろん、良い上司の優れたポイントを吸収するのも大事なことですが、されて嬉しかったことよりもされて嫌だったことの方が記憶しやすいです。マネジメント層になるには時間を要するため、悪い部分を記憶し戒めた方が良いというのが丹羽氏の考え方です。

また、マネジメントにおいて良い方法というのは様々なパターンがありますが、悪い方法というのは共通している傾向にあります。だからこそ、若手社員のうちは、ダメ上司を最高の見本とし自分が上司になった時に自分が不快だと感じた行為を行わないように自身を戒めるのがとても勉強になる行為だと丹羽氏は考えています。

ダメ上司に当たった時こそ最高の学習環境だと考えましょう!


評価されないのは実力不足

「嫌いな上司の嫌なポイントはどこだろう…」とダメ上司を見本にしようとするうちに、
・自分は同期より頑張っているのになぜ評価が低いんだ
・彼はエコ贔屓していて自分は嫌われている
と思うことがあるかもしれません。

もちろん本当にそのような場合もありますが、大半のケースでは自己評価は過大評価であると丹羽氏は考えています。「ビジネスにおいて自分を評価するのは他人」という前提を忘れてはいけません。

自分起点で考えて自信を持つことも大事ですが、相手起点で考えることを忘れないようにしましょう。


感想

自分を評価するのが他人ということは、自分自身を客観視する視点をもつことが大事ということです。逆に考えると、他の人とのコミュニケーションでは相手のことを客観的にみることができるため、上司とのコミュニケーションのみならず、同僚とのコミュニケーションなど、相手の良かったことをや悪かったことを整理し、自分に落とし込んで考えることで客観視する視点は養えると思いました。

それと同時に信頼できるメンバーに対しては、小さなコミュニケーションのGoodとMoreを伝えていくことが重要だと考えています。私自身が実践した結果、逆に気付けていなかった改善点を聞くことができ、メタ認知力が高まったと感じています。


「メタ認知って何?」という方はこちらの動画を見てみてください!
1on1する以外に自分自身でメタ認知力を鍛える方法について紹介されています!


其の参 自分に素直にチャンスを掴む


嘘をついてはいけない

”自分に素直に”振舞るための大前提として、嘘はついていけません。

丹羽氏は嘘は2種類あると考えています。

・黒い嘘
事実は違うことをいうこと。自分自身の保身のために行うものや、明確に誰かを傷つけるための嘘のことを指します。

・白い嘘
黒い嘘との対比で、悪意がなく誰かを傷つけないようにと思ってつく嘘のことを指します。例えば、上司や同僚の不正を発見した際に、その相手のことを思いやってあえて告発しないこと等を指します。

嘘と聞いて思い浮かべるのは、「黒い嘘」の方ではないでしょうか?
黒い嘘をつくことは悪いことであり、ついてしまうと後ろめたい気持ちになってしまうというのは皆さんも1度は経験があることだと思います。

丹羽氏は黒い嘘だけでなく、「白い嘘もついてはいけないと考えています。組織のなかの白い嘘が露見すると組織全体に大きな迷惑が掛かることが多く、官僚組織や大企業でも度々コンプライアンス違反等のニュースが報道されています。永遠に表に出ない嘘はないので、自分に正直に嘘をつかないことが重要です。


空気を読んでも顔色は読むな

嘘はつかない!とはいえ、「空気を読む」ことは社会人として必要なことです。特に日本では和を重んじるため、その場に漂っている空気を読むことがある種の礼儀にようになっています。その場の空気を読んで対応するのは社会人として当然です。

しかし、周りの人の顔色を窺って、反対意見があるのに遠慮して言わないのは良くありません。まさに白い嘘をついた状態となってしまいます。

「自分はこう思う。だけど、とりあえず多数派についておこう」考えるのでなく、自分の意見をしっかり伝えなければ、そこに存在する価値はないと思います。

上司が悪いことをしていたときに、上司に嫌われたくないと顔色を窺い、何も言わない、誰かがきっと言うだろう。そういった空気が当たり前になると組織全体に影響を与えるようなコンプライアンス的問題が発生し、気付いたときにはもう手遅れという事態にもなりかねません。

空気は読んだとしても顔色は読まない。白い嘘をつかないことが大切です。


視野を広く持って妥協しない

将来にワクワクして入社した若手社員の方でも、部署内の雰囲気が「こんなんで良いか…」と妥協を良しとするような状況だと、「自分自身はもっと成長したい…!けど、みんなサボっているから良いかな」と、社内だけで比較して妥協してしまうことが多いと丹羽氏は考えています。

社内でどんぐりの背比べをするのではなく、
・社外に目を向ける
・国外に目を向ける
視野を広く持って、妥協せずに努力や学習を継続することがチャンスを掴むことに繋がります!


感想

過去振り返って、「白い嘘」というのは無意識のうちについてしまったことがあると感じました。思い浮かんだことをなんとなくで発言しないのではなく、整理して、発言するかを判断することができるように心がけるのが大事だと思いました。そのためには思考を紙に書きだして整理するなどの工夫ができると思います。

また、「白い嘘」は相手の好意によってつかれているケースがあるというのも、意識しなければいけないことだと思いました。自分がマネジメント層になった際には、メンバーは好意によって「白い嘘」をつくことがあるので、自分が伝えなくてよいかな?と悩んだことを覚えておくのも必要な自己研鑽だと感じました。


まとめ

元伊藤忠商事会長である丹羽氏が執筆した「仕事と心の流儀」の内容を、若手社員の方向けに要約してきました。

本記事においては、丹羽氏が考えている仕事の本質のなかで若手社員の方に必要なポイントに絞って記載をしました。それ以外のポイントでもとても勉強になることが非常に多かったので、気になる人はぜひ読んでみてください!

最後までお読みいただきありがとうございました!


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