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放浪と会話

数年前、友人と横浜へ行った際そこでよく当たると有名な占いへ行った。当たっていたのかは分からないが、占いはそれ以降「未来を見るもの」ではなく「背中を押してくれるもの」だと思っている。

占い師さんは、自分と話を進めるなり「スナフキンみたいだね」と言った。なによりも衝撃だったのはその頃ちょうど、仲のいいおねえさんに「スナフキンみたいだよね」と容姿について言われたことがあったからだった。占い師さんは自分の容姿についてではなく、言動を見て「放浪者の、旅ばかりするスナフキン」という意味で言ったという。違う場で、まったく関係のない、ふたりの年上の大人に「スナフキン」と呼ばれたことが心なしか嬉しかったのか、それ以降自分の中のスナフキンらしさを大切にしてみようと思い始めた。

自分はよく落ち込む。今住んでいる部屋は日光が当たらないし、友達が少なければ、視野も狭いし、アクティブな性格でもないから気付けば何もない日は引きこもりがちになる。世界で何が起こっているかより、自分の周りで起きている問題に押し潰されそうになる。退屈な時間にそういう無駄を考えて、無駄に悩んで、無駄に落ち込む。世界はもっと面白いはずなのに。

ある日、親友は言った。「いろんな人と話すといろんな意見が聞けて面白いよ」親友は自分より2年先を生きる人生の先輩だ。悩みだって、ひとりの仲のいいひとに限定して相談する必要はないという。親友のそんな考えを尊敬する自分は、やっぱり気付けばすぐにひとり落ち込んでいるため、それ以降人に会うことは惜しまず進んで出向かうことにしている。

人に会うために、東京から大阪、大阪から地元の浜松、そしてまた東京。時には海外。行く先々に仕事があるわけでもなければ、旅行目的で行くわけでもない。色んなところを転々と、人と話すためだけに動く。スナフキンのように、放浪する。

親友が言ったように、やっぱり色んな人と話すと色んな意見が聞けて面白い。だから人に会うためにお金をかけることも時間をかけることも拒むのをやめる。交通費はばかにならないけれど、そこに辿り着くまでに世界を見るようになる。経験のために、人との会話のために、ひとに会うために、お金をかける。すると都合よく旅行という特典がつく。スナフキンのように、旅をしている。

人と会うことの特典に、世界をこの目で見るようになる。自分の目で見て、自ら感じる。その辺に転がるくだらない日常を自らで知る。


落ち込まないための対策は、単純に視野を広げるということなのだろうけれど、これをするおかげで実は自分は生きてく中での良し悪しに気付けるようになっている。

そんな理由で今日も旅をしている。
スナフキンのように。


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