「うわさのくすり」奇妙で不思議な5分ショートショート短編 vol.1 (2/7)
数年前、新種の伝染病が発見されたという〝うわさ〟が、ひろまった。その伝染病は致死率が高く、感染者はほぼ確実に死にいたるというふれこみだった。
そんなとき、ちょうどいいタイミングで市場に出回りだしたのが、この錠剤だった。
錠剤は高額ながら、爆発的に売れていた。なぜなら、これで伝染病を予防できるという〝うわさ〟も広まっていたからだ。
一方で、錠剤の効果をあやしむものが現れた。そして調査の結果、錠剤には、まったく効果がないことがわかった。
消費者たちは怒ると同時に、がっかりした。
しかし、よく考えたら、まわりでそんな病気にかかっている人など、見たことがない。ひょっとして、にせ薬はおろか、新種の病気自体が、うそだったのではないか。
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