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すべてのマンガファンに届けたい、DCの日本オリジナルレーベル「GN COLLECTION」の魅力

マーベルやDCなど、映画化もされている有名な作品に触れた後、「原作も読んでみたい」と思う方もいるかと思います。
ただ、別の記事でもご紹介したとおり、アメコミの歴史は長いもの。アメコミに関わらず、歴史のあるコンテンツにふれたときに起きがちな「どこから読めばいいかわからない」問題ってありますよね。

そんな方におすすめしたいのが、本日ご紹介するDCの日本オリジナルレーベル「GN COLLECTION」です!

DC日本オリジナルレーベル「GN COLLECTION」

GN COLLECTIONの現在のラインナップは全部で5作品。
あらすじとともに、ずらっとご紹介します。

『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』

歯に衣着せず、反抗的で、少々変わった15歳の少女ハーリーン・クインゼル(ハーレイ・クイン)。母親の都合でゴッサムシティに滞在することになったハーリーンは、ゴッサムの大物ドラァグクイーン“ママ”に引き取られることに。しかし、ママのドラァグキャバレーが地域開発のターゲットにされ、立ち退きを要求されてしまう!立ち向かうハーリーンの選択肢は2つ。地域向上キャンペーンを推し進める親友アイビーの仲間になるか、それとも、ゴッサムの企業を破滅させようと企む青年ジョーカーの仲間になるか……。

『ワンダーウーマン:戦禍を呼ぶ者』

アマゾン族の王女ダイアナはある日、海上で爆発を起こした船を発見し、ひとりの少女を救い出す。彼女の名前はアリア。運命的なふたりの出会いは、争いを引き起こす“ウォーブリンガー”をめぐる戦いに発展する。アマゾンの仲間に認められたい王女ダイアナと、過保護な兄から逃れたい少女アリア。彼女たちを待ち受ける運命とは?

『ティーン・タイタンズ:レイブン 失われた記憶』

悲劇的な事故により、記憶を失った少女レイブン・ロス。不安な日々を過ごしていたが、新しい家族や友達に支えられ、少しずつ事故のショックから立ち直ろうとしていた。だがその矢先、周囲で不可解な現象が起こり始める。どうやら自分の過去が関係しているらしい――そう感じたレイブンは、これまで目をそむけていた自分の過去や秘密……内に秘めた闇と向き合う決意をする。はたして彼女を待ち受ける運命とは……?

『バットマン・テイルズ:ワンス・アポン・ア・クライム』

ピノキオを模したダミアン、不思議の国に迷い込んだアルフレッド、雪の女王に出会うバットマンなど、ゴッサムがおとぎ話の世界に!? 『バットマン:リル・ゴッサム』を手掛けたデレク・フライドルフスとダスティン・グエンが紡ぐ、絵本のような短編集が登場!

『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』

舞台は1940年代。チャイナタウンからメトロポリスに引っ越してきたティーンエージャーの兄妹ロベルタ・リーとトミー・リー。なんと新居の近くに住むのは、あの有名なヒーロー“スーパーマン”だった! ある夜をきっかけに、二人はスーパーマンと秘密結社クランの戦いに巻き込まれてしまう。ロベルタとトミーはスーパーマンを助け、この戦いに勝利することができるのか?

GN COLLECTIONは、もともと本国において「DC INK」「DC ZOOM」というレーベル名で、ヤングアダルト層を対象に展開していたシリーズ。
日本では「ヤングアダルト」というジャンルはあまり馴染みがないかもしれませんが、英語圏においては児童文学と文学一般の間にこのカテゴリーを設けているほど、人気のジャンルなんです。

しかし、日本オリジナルレーベルとお伝えしましたが、

「通常のアメコミとどう違うの?」
「なんで初心者におすすめなの?」
「とはいえ、やっぱりアメコミって手が出しづらい……」


と、思われるはず。
次は、GN COLLECTIONの特徴をご紹介したいと思います。

【特徴その1】正史とは異なる設定だから、読み切り感覚で楽しめる

DCもマーベルも、さまざまなシチュエーションの違いはあるものの、正史となるキャラクターのバックボーンがあります。
例えばスーパーマンは「惑星クリプトンから来た異星人」、バットマンなら「ゴッサムシティを守る闇の騎士」といったようなもの。

しかし、このシリーズにはそういった縛りはありません。

例えば、皆さんもよく知るハーレイ・クイン(ハーリーン・クインゼル)は元精神科医で、ジョーカーにべた惚れのヴィランというキャラクターですが、『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』のハーレイはなんと15歳の女の子。
本作も、母親の都合で引っ越し、転入先の学校で友人とともにスクールライフを繰り広げる……というストーリーになっています。

『ワンダーウーマン:戦禍を呼ぶ者』は、ワンダーウーマン(ダイアナ)がアマゾン族の王女という設定はそのままですが、ダイアナが住む孤島セミッシラに流れ着いた、少女アリアとともに冒険に出るというストーリー。
本作だけの個性豊かなオリジナルキャラクターとともに、物語が展開していきます。

ほかにも、『バットマン・テイルズ:ワンス・アポン・ア・クライム』はバットマン×おとぎ話がテーマ。
うそをつくと鼻が伸びてしまうダミアン(父親のウェイン=バットマンはダミアンを作った木工職人という設定)、不思議の国を冒険するアルフレッド、雪の女王に出会うバットマンなど……。どこかで聞いたようなおとぎ話の世界に住む、かわいいバットマンファミリーの姿が楽しめますよ。

上記のように、どの作品もこのレーベルだけのオリジナル設定が特徴。いわゆる公式パロディのようなものと捉えていただければ分かりやすいと思います。

つまり、どの本もアメコミに関する予備知識ゼロで楽しめるということ!

話も1冊で完結するので、キャラクターの名前や見た目しか知らない、アメコミを読んでみたいけど、長くて大変そう……という方におすすめです。

(そして……もし、このGN COLLECTIONを読んで、その登場キャラクターに興味を持っていただけたら! そのキャラクターが登場するコミックスを読んでいただければ嬉しいです!)

【特徴その2】アメコミ以外の場でも活躍する豪華なライター、アーティスト陣

アメコミ自体の特徴として挙げられるのが、作画(アーティスト)と原作(ライター)が分かれている点。そして本作では、本来のターゲットであるヤングアダルト小説で有名な作家を起用しています。

『ティーン・タイタンズ:レイブン』のライター、カミ・ガルシアは、映画化もされた作品『ビューティフル・クリーチャーズ』の共著者のひとり。ニューヨーク・タイムズでベストセラー作家に輝いた経歴も持っています。

また、『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』のライター、ジーン・ルエン・ヤンは、グラフィックノベルとして初めて全米図書賞の最終候補作になり、教材としても使われる名作「アメリカン・ボーン・チャイニーズ」の作者。『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』も出版社ファンタグラフィックスが主催する漫画の賞、ハーベイ賞2020年度ヤングアダルト部門を受賞しました。
ほかにも、作画を担当しているアーティストのグリヒルは、アメコミで活躍する日本人アーティストユニット。かわいらしく、魅力的なキャラクターが生き生きとマンガの中を駆け回ります。

『バットマン・テイルズ:ワンス・アポン・ア・クライム』でライターを務めるデレク・フライドルフスと、アーティストのダスティン・グエンは、絵本のような世界観で大人気のアメコミ作品『バットマン:リル・ゴッサム』を手がけた名コンビ。発売前から注目度の高いタイトルでした。

アメコミファンだけでなく、すべてのマンガファンにおすすめ

この本だけの設定、そして1冊で完結し、かつヤングアダルト小説部門で話題の作家による魅力的なストーリー……。これらがGN COLLECTIONの特徴です。また、作中にLGBTQのキャラクターが登場したり、ヒーローが白人至上主義を掲げる差別団体と戦ったりする点も、従来のアメコミとは一味違う点かもしれません。どちらかというとアメコミの醍醐味ともいえる派手なアクションシーンは控えめですが、思わず引き込まれるような、そして心に残る物語が多く揃っています。

アメコミファンはもちろん、これまでアメコミに触れたことのないすべてのマンガファンに読んでいただきたいシリーズです!

また、特設サイトではそれぞれの作品の試し読みも公開中です。
ぜひ、お手にとって見ていただけますと嬉しいです。