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世界はどうしたらより良くなるのか『哀れなるものたち』

 第96回の米国アカデミー賞のノミネーションが発表されました。
3月に行われる授賞式も楽しみですけど、これからしばらくはノミネーション作品が次々と公開されるので楽しいシーズンです。

私がすでにnoteに記した映画では『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『バービー』あたりがオスカーに絡んできましたね。あ、あと『君たちはどう生きるか』。『バービー』がちゃんと評価されているのがうれしい。

そんな中、エマ・ストーンが最優秀主演女優賞の最有力と言われている『哀れなるものたち』。


入水自殺した妊婦を天才外科医が再生します。お母さんの頭の中に赤ちゃんの脳を入れて。そんなエマ・ストーン演じるベラという女性の成長ストーリです。

まず、セットや衣装が可愛くてオシャレ。
ヨーロッパ各地を旅する設定なのですが全編セット(たぶん)で、それぞれの国の雰囲気をデフォルメしたような夢のような光景が広がります。
衣装も中世という時代設定に従いながらもアーティスティックな個性強めで
、めいいっぱい膨らませたちょうちん袖とか、もう、私が着たい。

世界観は甘めのファンタジー調なんですけど、おっぴろげなセックスシーンとか、これ本物じゃね?的な性器、天才外科医によるグロめな手術シーンなんかもさらっと交えてR18指定です。

言葉を覚え、好きな味を覚え、自慰を知り、セックスに夢中になり、世界を見てみたいと訴え、その世界には貧困や悲しみというものがあることを知り、社会主義を勉強してみたり、売春で生計を立ててみたり、大人の女性の体と子供の好奇心や目線を持ってベラはぐんぐん成長していきます。

ベラを再生させた父のような天才外科医、彼女を見守りながら愛する外科医の助手、彼女を世界の旅へ誘う典型的なダメ男など、いろんなタイプの男たちと関わりながら、本をたくさん読み、経験豊富な年上の女性からヒントをもらったり、あらゆる経験を糧にして知性と教養を身につけて、果たしてどんな女性に成長していくでしょうか…という物語を、ほとんどでずっぱりのエマ・ストーンが的確かつ魅力的に演じていくので、そりゃあオスカーも取るでしょう。

一昨年あたりから乱発している「フェミ系な映画」であることには間違いないのですけどね。声高に叫ぶというより、どうしたら世の中はもっと良くなるのだろうという観点から、じっくりと考えて自分なりの答えや価値観を見出していく感じも私好みでした。

ちょっと長めの映画ですが、おすすめです。
みなさんも、ぜひ。

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