2023年2月の記事一覧
愛しさと切なさと切なさと『ボーンズ アンド オール』 (映画感想文)
一昨年、朝井リョウの『正欲』という小説が結構よかったんですよね。
簡単にいえば『水フェチ』(水飛沫や水の姿が性の対象になる)という、この世のマイノリティ中のマイノリティ、大抵の人が想像すらしていないような性癖を生まれ持った人たちのお話。
ダイバーシティ、ダイバーシティと大いに謳う世の中ですが「多種多様な人が互いの考え方の違いや個性を受け入れながらともに生きていく」なんてこと本当にできるつもり?
感動を求める自分が嫌になる『イニシェリン島の精霊』 (映画感想文)
ネタバレします。
嫌だったら即退散を!
「感動をありがとう!」とか簡単に言う人は苦手です。
だからといって「感動」が嫌いなわけではありません。むしろ大好物です。オリンピックとか、観るし。
だけど、常に「感動」を欲しがる「感動乞食」ではありたくない、という気持ちがどこかあります。
なんでだろ?
素直に感動すればいいのに?
とにかく面倒くさいタイプの人間なのです。
「感動」に関して、こっちはこん
記憶舞い戻る『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』 (映画感想文)
ネタバレします。
嫌だったら即退散を!
撮影スタッフの若い女性がロンドンの街を何かに怯えながら逃げる冒頭シーンを観て、ふっ、と数十年ぶりに舞い戻った記憶がありました。
それはまだ高校生だったころのこと。
夜の公園のトイレで小を足していると、突然、私より体の大きな外国人2人が入ってきて襲われました。1人に口を塞がれ、もう1人に体を持たれ、彼らは私を一番奥の個室に連れ込もうとしました。
そこは