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会議でうまく話せないという新人に対して私がアドバイスしたこと

今年度は新人トレーナーというお世話係を担当していたのですが、トレーナー期間ももう終わり。そこで、新人とお茶をしながらここまでの振り返りをしていました。

今年の新入社員は、入社後即リモートで、通常の様な新人研修を受けていません。では、今年の新人が例年よりも劣っていたかというと、そんなことはありませんでした。

これは、私の個人的な感覚だけでなく、全体的にそうだったようです。

集合型研修も対面での職場内訓練(OJT)も先輩との生の対話もできないという環境の中、当初は周囲も本人たちも先行きに不安を抱いていた。だが今、企業の現場からは「従来型の教育ができなかったからといって、今年の新人が例年に比べレベルが低いという事実は見られない。むしろ有望」との声が少なからず上がる。

とはいえ、当の本人たちは不安も多かった様子です。

私が担当している新人に、何が大変だった?と聞くと、こんな答えが返ってきました。

「会議で何か発言しようと思っても、内容やタイミングが分からずに何も話せなかったことです。会議で発言しないと、先輩やクライアントから『この新人はこの会議にいる意味がないな』と思われていないか不安で、居心地が悪かったです」

特に、リモート会議は周りの様子が見えないので、会話を切り出すタイミングがつかみにくかったようです。

ちなみに、私は新人の時、会議で話すことがなさすぎていつも必死に眠気を抑えていたのを覚えています。ですので、発言しようと思う意気込みが偉い。

私は、発言したい内容が特になければ、無理して発言しなくてもいいんじゃないかな、と思うタイプです。

とはいえ、発言して会議に貢献したい!という新人の想いもわかります。

そこで今日は、私が新人にアドバイスした内容を4つ紹介したいと思います。

1.いきなりファインプレーを目指さない

会議で何か発言して、少しでも存在感を出しておきたい。

でも、いざ発言するとなると、本当はどんな内容でも良いはずなのに、なぜか「良いことを言わなくっちゃ」という気持ちになってしまいます。

ちょっと大げさに書くと、こんなイメージではないかなと思います。

新しい企画のアイデアをめぐって、先輩とクライアントが議論をしている。

その時、新人である自分が、素朴な質問や気の利いた意見を述べる。

先輩「おお、その視点はなかった!ありがとう!」

クライアント「さすが、若い人の意見は新鮮だね!それで決定だ!」

先輩&クライアント「今年の新人は即戦力だ!!!」

・・・こんなことが現実になればいいですが、実際のところほとんどありえません。

現実には、なんの準備もせずに、その場で出た話に対して意見を言って「すごい!」となるには、相当な経験や鋭さが必要です。

どんなに上手なサッカー選手だって、海外の一流チームに加入していきなりゴールを決めるのは簡単ではありません。

まずは練習にしっかり取り組んで、仲間からの信頼を得て、試合で良いパスをもらえないと、ゴールを決めることはできません。

ましてや、新人です。いきなりファインプレーを目指すのではなく、まずは地味な内容で構わないので、会議で発言すること自体に慣れるのが大事です。

では、どのようにすれば自然な流れの中、会議で発言できるのでしょうか。

それは、事前に宿題を用意して、それを披露することです。

議論の最中に口を挟むのは難しいですが、あらかじめ宿題をやってきて、その内容を会議の冒頭で紹介することは、そこまで難しくありません。

新人が取り組むのはそこからが良いのではないかなと思います。

図にしてみると、以下のオレンジの矢印のステップです。

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まずは宿題を説明することで、会議で話すことそのものに慣れていく。

そして、先輩やクライアントから、ハッとされるほどではないが「ありがとう」をもらい、参加者として認められる。

その上で、相手がハッとする意見に挑戦していくという順番です。

2.宿題はスライドにして持って行こう

では、会議の宿題とはどのようなものでしょうか。

例えば、私がよく新人にお願いするのは、以下の様なものです。

・他社事例を収集する
・WEBサイトのニュース記事を集める
・前回の会議のサマリーを1枚で作る

このような宿題をスライド1枚〜2枚程度にまとめておけば、会議の冒頭に「前回の会議で頂いた宿題を紹介します」といって、資料を見せながら話すことができます。

資料に書いてある言葉をそのまま読めば良いだけなので、失敗することもありません。

クライアントが参加する会議で披露する場合、内容に不安があれば事前に先輩にみてもらうことも良いでしょう。

さらに、少し自分の個性を出したいなら、宿題の最後に自分なりの感想を2〜3行入れてみます。

もしかしたら、なるほど!面白い!となるかもしれませんし、スルーされるかもしれません。

でも、スルーされたとしても大きな問題にはなりません。むしろ、ちゃんと自分の意見を言えるヤツだなと認められる可能性が高いです。

このように、宿題をスライドにして、みんなの前で落ち着いて話す、という行為を数回繰り返せば、徐々に会議で話すことに抵抗感がなくなってきます。

ポイントは、最初から「ハッとする意見」を言う必要は無い、ということです。

宿題の紹介はハッとはされないかもしれませんが、十分にみんなから「ありがとう」がもらえる仕事です。

これだけで十分会議に貢献しています。

3.自分で積極的に宿題を作りに行く

しかし、そんなちょうど良い宿題が先輩から与えられるかどうかはわかりません。

むしろ、「新人には何を頼んでいいか分からない。とりあえず議事録だけとっておいて」のような状況が多いのでは無いでしょうか。

そんな時は、積極的に宿題を作りに行くことが可能です。

例えば、社内会議の中で先輩が「あの会社の新しい広告、ちょっと気になるよね」などの話がでたら、すかさず「あ、私も気になっていたので、次回までに少し調べてみます」と言って、自分で自分に宿題を作ります。

あるいは、議事録を任されているのであれば、会議の冒頭に、前回の内容をスライド1枚にまとめておいて、「あ、ちょっと前回の議事録のまとめを共有しますね」といって切り出すのも良いかもしれません。

ただし、クライアントとの会議の時に宿題を取りに行くのは、注意が必要です。勝手に宿題を作ってしまうと、作業工数に責任を持つ先輩が困ってしまうかもしれません。まずは社内会議で練習しましょう。

このように、自ら宿題を作り、披露することを繰り返していれば、そのうち自分で宿題を作るまでもなく、色々と作業を任される日がくると思います。

そうすれば、無理に発言しようと意気込まなくても、発言せざるをえない環境に追い込まれていくでしょう。発言も、ハッとさせる意見が少しずつ増えていくと思います。

4.会議で発言するには、慣れが大事

新人時代、会議で眠気と戦っていた私ですから、宿題を作りに行くなんて考えもしませんでした。

しかし、私の場合は幸いなことに、先輩が早い段階でバシバシ宿題をくれたので、それを披露しているうちに自然と会議で発言することができようになりました。

「何も発言できなかった」と無力感を感じるのは、新人のわずかな期間だけだと思います。ですから、焦る必要は全くありません。

とはいえ、会議で貢献したい、自分の居場所を作りたいと感じる新人には、今回紹介したような「自ら宿題を作りに行く」ことも有効だと思います。

まずは、普通のことでも構わないので、会議で話すことそのものに慣れていく。そのために、話すきっかけとしての「宿題」を自分で見つけていく。

そうすれば、自然と会議に貢献できる人材になっていくと思います。

※Twitterでも発信しています。


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