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国際連合 (UN)障害者の権利条約 日本の初回報告に関する所見のまとめ (簡易日本語訳)

国連による障害者の権利条約 日本の初回報告に関する所見のまとめ全文を簡易的に翻訳しました。こちらについては随時更新し出来るだけ正確性のある情報へ更新していきたいと思います。こちらは完璧な翻訳ではありませんので、より正確な情報を得たい方は英語の原文を読まれることをお勧めいたします。
United Nations, Concluding observations on the initial report of Japan Convention on the Rights of Persons with Disabilities, Distr.: General, DVANCE UNEDITED VERSION, 9 September 2022, https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/Download
.aspx?symbolno=CRPD%2fC%2fJPN%2fCO%2f1&Lang=en

こちらの報告書では日本の障害者に対する所見にて
肯定的な側面が3項目(17提言)あったのに対し、
懸念事項は63項目(177提言)と肯定されたことの約10倍指摘されております。
今後、各項目についてはエビデンスを付けて見解を書いていこうと思います。
こちらあくまで個人的に翻訳したものであり責任は持ちません。

障害者権利委員会
第27回セッション
日本の初回報告に関する所見のまとめ*

I.イントロダクション


1.委員会は、2022年8月22日及び23日にそれぞれ開催された第594回及び第595回会合(CRPD/C/SR.594及び595参照)において、日本(CRPD/C/JPN/1)の初報告書を検討した。委員会は、2022年9月2日に開催された第611回会合において、以下の結論を採択した。
2.委員会は、委員会の報告指針に従って作成された日本の最初の報告を歓迎し、委員会が作成した問題リスト(CRPD/C/JPN/Q/1)に対する書面による回答(CRPD/C/JPN/RQ/1)について締約国に感謝する。委員会はまた、委員会に提供された追加の書面による情報を認める。
3.委員会は、多様で多分野にわたる、かつ、関係省庁の代表を含む、大規模なハイレベル締約国の代表団との実りある誠実な対話を評価する。委員会はまた、障害者政策委員会の委員長の参加に感謝する。

II.肯定的な側面


4.委員会は、2019年から施行されている、盲目、視覚障害者又はその他の印刷物障害者のための公開著作物へのアクセスを容易にするためのマラケシュ条約の批准など、2014年の批准以来、条約を実施するために締約国がとった措置を歓迎する。 
5 委員会は、障害者の権利を促進するためにとられた立法措置、特に以下の事項の採択に感謝の意をもって留意する。
(ア) 障害者による情報の取得及び利用並びにコミュニケーションに関する措置の促進に関する法律(2022年)
(イ)障害者差別撤廃法(2013年法律第65号)及びその改正( 2021 年法律第56号)は、公的及び民間の企業組織に対し、障害者に合理的配慮を提供することを義務付けている。
(ハ) 聴覚障害者の電話の使用の円滑化に関する法律(平成23年法律第53号)
(エ)旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者への一時金支給に関する法律(2019年)
(エ) 高齢者及び障害者の円滑な移動の促進に関する法律(バリアフリー法)、2018年及び2020年に改正され、 アクセシビリティ基準が促進される。
(f) 視覚障害者の読書環境の改善を促進するための法律(2019);
(g)普遍的社会の実現のための総合的かつ総合的な施策の推進に関する法律(2018年)
(h) 障害者の文化芸術活動に関する法律(平成30年法律第47号)
(1)障害者雇用促進法(昭和42 年法律第123号)及び  2013年改正により、知的・身体障害者に加えて  心理社会的  障害者を含む障害者の法定雇用義務の適用範囲を拡大し  、  n保証合理的配慮。
6.委員会は、障害者の権利を促進するための公共政策の枠組みを確立するためにとられた措置を歓迎 する。
(a) 障害者に対する  差別の撤廃のための裁判所の指示の取り扱い  (2022年)
(イ) 2018年に採択された第4回障害者基本プログラム。
(ハ) 合理的配慮に関するガイドライン(2016年)
(d)すべての人の一般向けウェブサイト運営ガイドライン。
(e)2015年に採択された障害者の雇用における無差別な処遇及び機会均等のための雇用主のためのガイドライン
(f)障害者政策委員会の設置 条約の実施を監視するための責任者として。
(g)都道府県及び市町村の障害者のための制度 .

III.主な懸念事項と提言

A.一般原則と義務(第1-4条)
7. 委員会は、以下について懸念する。 
(ア) 障害者に対する父権主義的アプローチに関する条約に含まれる障害の人権モデルとの障害関連の国内法および政策の調和の欠如。
(イ)障害および 能力評価に基づいて、より集中的な支援を必要とする人、知的、心理社会的または感覚的障害を有する人を障害手当および社会的包摂制度から排除することを促進する障害資格および認定制度を含む、法律、規制および実践全体にわたる障害の医療モデルの永続化。
(ハ)「 精神的に無能」、「精神的に狂っている」、「狂気」などの軽蔑的な用語、および「身体的または精神的な障害」に基づく失格条項などの差別的な法的制限。
(エ)条約の日本語への翻訳、特に「包摂」、「 包摂」、「コミュニケーション」、「アクセシビリティ」、「アクセス」、「特定の生活の取り決め」、「個人的な援助」、「ハビリテーション」という用語の不正確な翻訳。

  1. モビリティ支援、個人的支援、コミュニケーション支援など、地域社会の障害者に必要なサービスと支援を提供する地域的および地方自治体のギャップ。

8 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)障害に関連するすべての国内法及び政策を、障害のある人の代表組織、特に知的及び心理社会的障害を有する者との緊密な協議を確保することを含め、すべての障害者を他の者との平等を基礎として人権の対象として認める条約と調和させること。
(イ)障害 資格および認定制度を含む障害の医療モデルの要素を排除するための法律および規制を見直し、障害のあるすべての人が、障害の平等な機会を有し、完全な社会的包摂と参加を得るために地域社会で必要な支援を受けることを確実にする。
(ハ)「身体的または精神的障害」に基づく失格条項などの軽蔑的な言葉や法的制限を、国内および地方自治体の法律で廃止する。
(エ)条約のすべての条項が日本語に正確に翻訳されていることを確保する。
(エ) 地域社会の障害者に必要なサービス及び援助(移動支援、個人的援助及びコミュニケーション支援を含む)を提供するための地域及び地方自治体の格差を解消するために必要な立法措置及び予算上の措置をとること。
9. 委員会はさらに、以下の事項について懸念している。 
(ア) 障害者全国諮問委員会、アクセシビリティに関する市町村および市町村間委員会によって実施されるものを含む、立法および公共政策に関する協議への代表組織を通じた障害者の関与が不十分であること。
(イ) 刺し傷に対する包括的な対応の欠如は、主に社会における優生主義的および能力主義的考え方のために、相模原にあるつくい矢間百百園施設で2016年に発生した。
(ハ) Lは、司法および司法部門の専門家、国および地方自治体レベルの政策および議員、ならびに教師、医療、健康、建築設計およびソーシャルワーカー、および障害者との接続における他の専門家の間で、条約で認められた権利の認識を模倣した。
10.第4.3条及び第33.3条 に関する一般意見第7号(2018年)を想起し、条約の実施及び監視における障害のある子どもを含む障害者の代表組織を通じた参加について、委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)公共の意思決定プロセスにおいて、代替的なコミュニケーション、アクセシビリティおよび合理的配慮の手段を通じて、障害を有する自己擁護者および知的障害を有する人、心理社会的障害を有する人、自閉症者、女性を含む、障害者の代表的組織との積極的、有意義かつ効果的な協議を、国および地方自治体レベルでの障害者の多様な組織と積極的かつ有意義かつ効果的に協議することを確保する。 障害者、LGBTIQ+障害者、農村部に住む人、 持続可能な開発目標の実施と監視、報告を含む、より集中的な支援を必要とする人。
(イ)優生主義的・能力主義的態度と闘うことを目的とした津久井・山百百合園事件と、社会におけるそのような態度の促進に対する法的責任を振り返る。
(ハ)障害者団体の密接な関与を得て、障害者の権利及び 条約に基づく締約国の義務に関する体系的な能力構築プログラムを、司法及び司法部門の専門家、政策並びに議員、教師、医療、保健及びソーシャルワーカー並びに障害者と結びついた他のすべての専門家のために提供する。
11 委員会は  、締約国が条約選択議定書をまだ批准していないことに留意する。委員会はまた、条約第23条第4項に関する締約国の解釈的宣言に懸念をもって留意する。
12。 委員会は、締約国に対し、条約選択議定書を批准し、かつ、条約23条第4項に関するその解釈宣言を採択するよう奨励する。
B.特定の権利(芸術5-30)
平等と差別の禁止(第5条)
13。 委員会は、以下のことを懸念する。
(ア)障害者差別撤廃法は、複数かつ横断的な形態の差別を含んでおらず、障害者の定義の範囲が限られていることを懸念している。
(イ) 合理的配慮の否定は、生活のあらゆる分野における障害を理由とする差別の一形態として認識されていない。
(ハ) 障害に基づく差別の被害者のためのアクセス可能な苦情および救済メカニズムはありません。
14 委員会は平等及び非差別に関する一般コメント第6号(2018年)に沿って、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア) 障害者差別撤廃法を見直し、障害、性別、年齢、民族性、宗教、性自認、性的指向その他の地位を理由とする複数かつ横断的な形態の差別、および合理的配慮の否定を含む、障害者に基づく  差別を禁止する。
(イ) 私的および公的領域を含む生活のあらゆる分野におけるすべての障害者に合理的配慮が提供されることを確保するために必要な措置をとること。
(ハ) 障害に基づく差別の被害者のために、司法手続及び行政手続を含む、アクセス可能かつ効果的なメカニズムを確立し、加害者に対する包括的な救済及び制裁を被害者に提供すること。
障害を持つ女性(第6条)
15.委員会は、以下について懸念する。
(ア)第4次障害者基本計画 のような障害関連の法律及び政策におけるジェンダー平等を促進し、第5次男女共同参画基本計画を含むジェンダー平等に関する法律及び政策における障害を有する女性及び女児の権利を促進するための十分な措置の欠如 
(イ) 障害を持つ女性と女児に力を与える  ための具体的な措置の欠如。
16 委員会は障害のある女性及び女児並びに持続可能な開発目標の目標5.1、5.2及び5.5に関する一般コメント第3号(2016年)を想起し、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)そのジェンダー平等政策において、平等を確保し、 障害のある女性及び女児に対する複数かつ横断的な形態の差別を防止するための効果的かつ具体的な措置を採用し、かつ、その障害関連の法律及び政策にジェンダーの視点を主流化すること。
(イ) 障害のある女性及び女児に力を与えるための措置をとり、すべての人権及び基本的自由が平等に保護されることを確保し、かつ、これらの措置の設計及び実施への効果的な参加を含む。
障害児(第7条) 
17.委員会は、以下の事項に関心をもって留意する。
(ア)母子保健法によって規制されている早期の身元確認とリハビリテーションシステム、障害のある子供を健康診断を通じて社会的分離に導き、地域社会や包括的な生活の見通しから彼らを妨げます。
(イ)障害児の意見を聴取される権利、および児童福祉法を含むすべての関連法において障害児に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明する権利を明確に認識していないこと。
(ハ)障害児を含む子どもに対する、家庭、社会的養護および保育の場における体罰を完全に禁止すること、ならびに障害児を虐待および暴力から防止および保護するための不十分な措置の欠如。
18 委員会は、障害児の権利に関するCRC委員会及びCRPD委員会の共同声明(2022年)を参照しつつ、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)すべての障害児の完全な社会的包摂の権利を認め、かつ、他の子どもとの平等を基礎として、幼い頃から一般的な保育制度を完全に享受することを確保するため、ユニバーサルデザインおよび合理的配慮、とりわけ代替的かつ拡張的な情報伝達方法を含むすべての必要な措置をとることを目的として、現行の法律を見直しること。
(イ)障害 児の意見を聴取される権利を認識し、かつ、司法上および行政上の手続においてを含む他の子どもと対等に自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明すること、ならびに、障害および年齢に適した援助およびコミュニケーションを、その権利を実現するためにアクセシブルな形式で提供すること。
(ハ) 障害児を含む子どもに対する体罰をあらゆる場面において完全かつ明示的に禁止し、かつ、障害児に対する虐待および暴力の防止および保護のための措置を強化すること。
意識向上(第8条)
19.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア) 社会及びメディアにおける障害者の尊厳及び権利に関する意識を高めるための不十分な努力及び予算配分 
(イ) 差別的な優生学的態度、障害者、知的障害者または心理社会的障害を有する人に対する否定的な固定観念および偏見;
(ハ) 「バリアフリーマインドセット」教科書などの啓発活動の準備に障害者が参加しておらず、これらの施策の評価も不十分である。
20 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)障害者に対する否定的な固定観念、偏見及び有害な慣行を排除するための国家戦略を採択すること( 障害者の策定及び実施への緊密な参加並びに定期的な評価を含む)。
(イ) メディア、一般市民及び障害者の家族のための障害者の権利に関する意識啓発プログラムを開発し、かつ、適切に資金を提供するための措置を強化すること。

アクセシビリティ(第9条)
21.委員会は、以下の事項に懸念をもって留意 する。
(ア) ユニバーサルデザイン標準を組み込み、すべてのドメインを網羅するために、あらゆるレベルでアクセシビリティの義務を調和させるための限られた戦略。
(イ)特に 主要都市以外の学校、公共交通機関、アパート、小規模店舗の情報へのアクセスとアクセシビリティの確保にはほとんど進展がない。
(ハ) 建築家、設計者、技術者に対し、アクセシビリティ基準や条約に基づくユニバーサルデザインに関する啓発  ・研修が不十分であること。
22. アクセシビリティに関する一般コメント第2号(2014年)を想起し、委員会は締約国に対し、次のことを勧告する
(ア)障害者の組織と緊密に協議し、政府のあらゆるレベルでアクセシビリティを調和させ、ユニバーサルデザイン基準を組み込み、とりわけ、建物、交通、情報通信、および 主要都市以外のものを含む一般に公開または提供されるその他の施設およびサービスのアクセシビリティを確保するための行動計画およびアクセシビリティ戦略を実施すること。
(イ) 建築家、デザイナー、エンジニア、プログラマーのためのユニバーサルデザインとアクセシビリティの基準に関する継続的な能力構築プログラムを強化する。
生きる権利(第10条)
23 委員会は、次の事項に起因する障害のある者の死亡の事例に関する報告を懸念する。
(ア)緩和ケアを含む、治療の開始および/または継続の不在に関する障害のある人の意思および選好の考慮の欠如を含む、障害者の生存権の保護措置の欠如。
(b) 障害を理由とする不本意な入院の状態における物理的及び化学的拘束
(ハ)また、精神科病院での死亡の原因と状況に関する統計や独立した調査の欠如も懸念している。
24 委員会は、締約国が、 障害者の組織及び独立した監視メカニズムと協議の上、次のことを勧告する。
(ア)障害者の生命に対する権利を明示的に認識し、緩和ケアを含むその治療に関して、障害者の意思及び選好の表明並びにそれに対する必要な支援を含む、それぞれの保障措置を確保すること。
(イ)人の障害を理由とするいかなる形態の非自発的な入院および治療を防止し、地域社会に根ざしたサービスにおける障害者への必要な支援を確保すること。 
(ハ)精神科病院における死亡事件の原因と状況について、徹底的かつ独立した調査を行う。
リスクと人道的緊急事態の状況(第11条)
25.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア)災害管理基本法に基づく限定的な保護 f またはプライバシーおよび非差別の障害者の権利 (  合理的配慮の拒否を含む)
(イ)リスクと人道的緊急事態の状況における避難所や仮設住宅のアクセシビリティの欠如。
(ハ) 地震や原子力発電所災害を含む災害リスク軽減と気候変動のプロセスを計画、実施、監視、評価するための障害者組織との協議が不十分であること。
(エ) 知的障害者のための緊急警報システムのアクセシビリティを含む、リスク、災害、および人道的緊急事態の状況に関する限られたアクセス可能な情報。
(エ)熊本地震、九州北部豪雨災害、西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震における「仙台防災枠組2015-2030」の実施の欠如。
(f) 情報、ワクチン、保健サービス、その他の経済的および社会的プログラムへのアクセスを含む、COVID-19パンデミックに対する障害包摂的な対応の欠如、および  まだ施設にいる障害者に対するパンデミックの不均衡な影響。
26 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)合理的配慮の否定を含むプライバシー及び差別の禁止に対する障害者の権利並びに防災及び減災並びに危険及び人道的緊急事態の状況に関する問題を強化するため、防災基本法を改正する
(イ)リスク及び人道的緊急事態の状況において提供されるシェルター、仮設住宅及びその他のサービスが、年齢及び性別を考慮に入れて、アクセス可能で、かつ、障害に配慮したものであることを確保すること。
(ハ)障害のある人とその家族を含むコミュニティ全体を防災・減災計画に関与させる強靭なコミュニティを構築し、コミュニティの焦点に基づいて個々の緊急計画と支援システムを開発し、安全でアクセス可能な集合場所、緊急避難所、避難経路を特定する。 
(エ) 危険かつ人道的緊急事態の状況において、すべての障害者とその家族が、アクセス可能な形式および適切な装置上で必要な情報を受け取ることができることを確保すること。
(エ)あらゆるレベルにおける 気候変動に関する災害リスク軽減計画及び戦略及び政策が仙台防災枠組2015-2030に従い、障害者とともに策定され、あらゆるリスク状況において障害者の特定のニーズに明示的に対応することを確保する
(f) パンデミックの悪影響に取り組むためのワクチン、保健サービス、その他の経済的および社会的プログラムへの平等なアクセスを確保し、緊急時に障害者を脱施設化し、地域社会で生活するための適切な支援を提供する措置を採用することを含む、COVID-19対応および回復計画における障害の主流。 
法の下の平等な認識(第12条)
27.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア)民法に基づき、心理社会的または知的障害のある人の精神的能力の評価に基づいて、障害のある人の法的能力、特に心理社会的または知的障害のある人の法的能力の制限を許可し、代替意思決定システムを永続させることによって、障害者が法の前に平等に認められる権利を否定する法的  規定。
(イ)2022年3月に承認された成年後見制度の利用促進に関する基本計画
(ハ)平成29年度障害者福祉サービスの提供に関する意思決定支援指針における「人の最善の利益」という言葉の使用

28 委員会は、法の下の平等な承認に関する一般コメント第1号(2014年)を想起し、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)代替的な意思決定制度を廃止する目的で、 差別的なすべての法的規定および政策廃止し、すべての障害者がの下で平等に認められる権利を保証するために民事法を改正すること。
(イ)すべての障害者の 自主性、意思及び選好を尊重する、支援される意思決定メカニズムを、彼らが必要とする支援のレベル又は様式にかかわらず、確立すること。
司法へのアクセス(第13条)
29 委員会は、以下の事項に留意する。
(ア)民事訴訟法および刑事訴訟法の規定は、代替の意思決定体制の下での障害者、居住施設の障害者、ならびに知的および心理社会的障害を有する人について、訴訟能力の欠如が認識されていることを理由として司法へのアクセスを制限する。
(イ)障害者の効果的な参加を確保するための民事、刑事および行政手続における手続き上および年齢に適した宿泊施設の欠如、ならびに障害者のためのアクセス可能な情報およびコミュニケーションの欠如。
(ハ)裁判所、司法および行政施設の物理的なアクセス不能。
30 委員会は、障害者 の権利に関する特別報告者によって作成された「障害者のための司法へのアクセスに関する国際原則及びガイドライン」(2020年)及び持続可能な開発目標16(ターゲット3)を想起し、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)障害者が司法手続に参加する権利を制限する法的規定を撤廃し、かつ、障害者が他の者と平等に基礎をなす上で、あらゆる役割において司法手続に参加する能力を十分に認めること。
(イ)障害者のためのすべての司法手続において、宿泊のための訴訟費用の補償、および情報通信技術、キャプション、自閉症の指示者、点字、イージーリードおよび手話を含むアクセス可能な形式での手続に関する公式情報およびコミュニケーションへのアクセスを含む、関係者の障害にかかわらず、手続き上および年齢に適した宿泊施設を保証すること。
(ハ)裁判所の建物、司法及び行政施設の物理的アクセスを確保し、特にユニバーサルデザインにより、障害者の司法手続への平等なアクセスを他者との平等な基礎に基づいて保障する。
人の自由と安全(第14条)
31.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア)精神障害者のための精神保健及び福祉に関する法律によって正当化されるように、精神科病院における非自発的なコミットメント及び障害者の不本意な治療を、その知覚又は実際の障害又は危険性に基づいて認める法律
(イ)入院に関するインフォームド・コンセントの定義の曖昧さを含む、障害者のインフォームド・コンセントの権利を保護するための保護措置の欠如。 
32 委員会は、条約第14条(2015年)に関するガイドラインおよび障害者の権利に関する特別報告者(A/HRC/40/54/Add.1)が発した勧告を想起し、締約国に対し、次のことを求める。
(ア)障害者の不本意な入院を、障害を理由とする差別として認識し、自由の剥奪に相当し、かつ、障害又は危険の現実又は認識された障害又は危険性に基づいて、障害のある人の非自発的な入院による自由の剥奪を許容するすべての法的規定を撤廃すること。
(イ)知覚された障害または実際の障害を理由に合意のない精神医学的治療を正当化するすべての法的規定を廃止し、障害のある人が強制的な治療を受けず、他者と同等の範囲、質および水準の医療にアクセスできることを確保するための監視メカニズムを確立すること。
(ハ)障害の有無にかかわらず、すべての障害者の自由でインフォームド・コンセントを受ける権利を保護するために、アドボカシー、法的及びその他すべての必要な援助を含む保護措置を確保する。
拷問及び残虐、非人道的又は品位を傷つける取扱い又は刑罰からの自由(第15条)
33.委員会は、以下の事項に関心をもって留意する。
(ア)精神科病院における障害者の隔離、物理的および化学的拘束、強制投薬、強制認知的および電気痙攣療法を含む強制的治療、ならびにそのような慣行を正当化する法律(狂気の状態を 深刻に陥れた症例を引き起こした人のための医療および治療に関する法律を含む)。
(イ)精神科病院における強制および虐待の予防および報告を確実にするための精神科審査委員会の範囲の欠如および独立性。
(ハ)強制治療を受けたり、長期入院したりしている障害者の権利侵害を調査するための独立した監視システムの欠如、精神科病院における苦情および控訴メカニズムの欠如。
34 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)心理社会的障害のある人に対する強制的な扱いを正当化し、虐待につながるすべての法的規定を廃止し、心理社会的障害のある人に関するいかなる介入も条約に基づく人権と義務に基づいていることを確保する。
(イ)障害者の代表組織と協力して、精神医学的環境における障害者のあらゆる形態の強制的および虐待の防止および報告のための効果的な独立した監視メカニズムを確立すること。
(ハ)精神科病院における残虐、非人道的、または品位を傷つける治療を報告し、被害者のための効果的な救済策を確立し、加害者の訴追と処罰を確実にするためのアクセス可能なメカニズムを確立する。
搾取、暴力、虐待からの自由(第16条)
35.委員会は、次の事項について懸念する。 
(ア)障害のある子どもおよび女性、特に知的障害、心理社会的障害または感覚障害を有する者、ならびに施設に収容された者に対する性的暴力および家庭内暴力、ならびに性的暴力に対する保護およびそれらの救済策の欠如を報告した。
(イ)教育、医療及び刑事司法の場における障害児及び女性を含む障害者に対する暴力の防止、報告及び調査を除外した障害者虐待及び介護者支援に関する障害者法の範囲及び有効性の欠如。
(ハ)被害者のためのアクセシブルな支援サービスの欠如、居住施設における独立した報告システムを含むアクセス可能な情報および報告メカニズムの欠如、ならびに性的暴力に関連する司法プロセスにおける専門知識、アクセシビリティおよび合理的配慮の欠如。
(エ)法務省が2020年に設置した「性犯罪に関する刑法に関する研究会」において、子どもや障害者に対する性犯罪に関する障害者団体の代表が不在であること。
36 委員会は、 2021年11月24日に公表された、障害のある女性及び女児に対するジェンダーに基づく暴力を撤廃するための行動をとるよう求める声明に沿って持続可能な開発目標の目標  5.1、5.2及び5.5に基づき、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)障害のある少女及び女性に対する性的暴力及び家庭内暴力に関する事実調査を実施し、障害のある子ども及び女性に対するあらゆる形態の暴力と闘うための措置を強化し、子ども及び女性に利用可能な苦情及び救済のメカニズムに関するアクセス可能な情報を提供し、並びにこれらの行為が速やかに調査され、加害者が起訴され処罰されることを確保し、 そして、救済策が被害者に提供されること。
(イ)障害者に対する暴力の防止の範囲をあらゆる場面で拡大し、障害者に対する暴力及び虐待を調査するための措置及びその救済措置を確立するための障害者の防止及び介護者支援に関する法律を見直し、
(ハ)居住施設を含む被害者支援サービス、支援サービスに関する情報及び報告メカニズムのアクセシビリティを確保し、司法プロセスにおける障害、アクセシビリティ及び合理的配慮の人権モデルに関する専門能力開発プログラムを関連する司法及び行政官に提供するためのあらゆるレベルで戦略を策定すること。
(エ)「性犯罪に関する刑法に関する研究会」への障害者団体の代表の有意義な参加を確保する。
人の高潔さを守る(第17条)
37.委員会は、以下の事項を懸念をもって遵守する。
(ア)「旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者への一時金の支給に関する法律」(1948-1996)に規定されている補償制度は、優生手術を受けた障害者の同意なしに低額の補償を定め、障害のある被害者への情報へのアクセスへの支援を省略し、5年の時効を定めている。
(イ)障害を持つ女性と女児の自由でインフォームドコンセントのない不妊手術、子宮摘出術、中絶の報告。
38 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)障害者団体と緊密に協力しつつ、旧優生保護法に基づく優生外科手術の被害者に対する補償制度を改正し、すべての事件の特定、支援、増強的及び代替的なコミュニケーション方法、情報へのアクセス、及び申請期間を制限しないことによるものを含め、すべての患者に対する偶発的補償を確保するため、 すべての被害者が明示的に謝罪され、適切に救済されるため。
(イ)子宮摘出術を含む強制不妊手術、および障害のある女性および女児の強制堕胎を明示的に禁止し、強制的な医療介入が有害な慣行であることに対する意識を高め、あらゆる医学的および外科的治療について障害者の事前のインフォームドコンセントが与えられることを確保する。
移動と国籍の自由(第18条)
39.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア)出入国管理及び難民認定法第5条は、知的又は心理社会的障害を有する者に対する締約国への入国の拒否を認める。
(イ)十分な数の資格のある通訳者を含む、移民サービス庁における合理的配慮と情報のアクセシビリティ  の不十分な提供。
40 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)出入国管理及び難民認定法第5条第2項を改正し、心理社会的又は知的障害のある者の入国拒否を認める。
(イ)必要なときに 合理的配慮を提供し、十分な数の資格のある通訳者を含む移民サービス庁の情報へのアクセスを確保する
自立して生活し、地域社会の一員となること(第19条)
41.委員会は、以下の事項を懸念をもって遵守する。
(ア)児童福祉法を通じて、知的障害者、心理社会的障害のある人、高齢者、身体障害者及びより強固な支援を必要とする者、特に地域社会外での生活の取扱い、並びに障害のある子ども、特に知的、心理社会的又は感覚的な障害を有する子ども及びより強烈な支援を必要とする者の施設収容の永続化、 様々なタイプの施設で、家族や地域社会の生活を奪う。
(イ)公立及び私立の精神科病院における心理社会的障害を有する者及び認知症を有する者の施設化の促進、特に、心理社会的障害を有する者の無期限入院の継続;
(ハ)障害者が居住地及び居場所及び住む場所を選択できる機会は限られており、その中には、親に扶養され、自宅に居住している者、及び 障害者の日常生活及び社会生活の総合的支援に関する法律に基づくグループホーム等の特定の取り決めに置かれている者も含まれる。
(エ)居住施設や精神科病院に居住する障害者の脱施設化、および自律権と完全な社会的包摂の権利の認識を含む、他者との平等に基づく地域社会での自立生活のための国家戦略と法的枠組みの欠如。
(エ)障害者が地域社会で自立して生活するための支援の取り決めが不十分であり、これには、アクセス可能で手頃な価格の住宅、在宅サービス、個人的援助および地域社会におけるサービスへのアクセスが含まれる。
(f)障害の医療モデルに基づく地域社会における支援とサービスを与えるための評価スキーム。
42 委員会は、自立して生活し、 かつ、共同体に含まれることに関する一般コメント第5号(2017年)及び脱施設化に関する指針(2022年)を参照しつつ締約国に対し、次のことを要請する
(ア)障害児を含む障害者の施設化を終わらせるための迅速な措置をとるとともに、その予算配分を、居住施設への障害者の配置から、障害者が他者と平等な基盤で地域社会において自立して生活するための取り決め及び支援に振り向けることによる。 
(イ)精神科病院に入院している障害者のすべてのケースを見直し、無期限の入院を中止し、インフォームドコンセントを確保し、地域社会で必要な精神保健支援とともに自立生活を促進する。
(ハ)障害者が居住地及び地域社会のどこで誰と暮らすかを選択する機会を有し、かつ、グループホームを含む特定の生活形態で生活する義務を負わないことを確保し、かつ、障害のある者が自らの生活について選択及び管理を行使できるようにすること。
(エ)障害者の組織と協議の上、障害者の自律性及び完全な社会的包摂の権利の認識を含め、障害者が施設から他者との平等を基礎として地域社会における自立生活に効果的に移行することを目標とする、期限付きの基準、人的、技術的及び財政的資源を有する法的枠組み及び国家戦略を立ち上げ、 都道府県がその実施を確保する義務
(エ)あらゆるタイプの集合施設の外にある自立した、アクセスしやすく、手頃な価格の住宅、個人的援助、ユーザー主導の予算、および地域社会におけるサービスへのアクセスを含む、地域社会における自立した生活のための障害者のための支援の取り決めを強化すること。
(f)障害者に対する社会における障壁の評価や、障害者の社会参加と包摂に必要な支援の評価など、障害の人権モデルに基づいていることを確認するために、地域社会における支援とサービスを提供するための既存の評価スキームを改訂する。
パーソナルモビリティ(第20条)
43.委員会は、次のことを懸念する。
(ア) 法的制限により、職場や学校への通勤や通学などの目的、または長期間の地域生活支援サービスの使用は許可されていません。
(イ)特に 主要都市以外の地域において、障害者のための質の高い移動補助具、装置、支援技術、生活支援および仲介者の形態への不十分なアクセス。 
44 委員会は、 締約国に対し、次のことを勧告する
(ア)すべての地域において障害者の 日常生活及び社会生活の包括的な支援に関する法律に基づく制限を撤廃  し、障害者の無制限の個人的移動を確保する。
(イ) 地域の修理の促進、政府及び税補助金の提供、税金及び税関手数料の免除等を通じて、必要な移動補助具及び補助器具及び技術がすべての障害者にとって手頃な価格であることを確保するための努力を強化する。 
表現及び意見の自由並びに情報へのアクセス(第21条)
45.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア)盲ろう者のような、 より集中的な支援を受けている人を含む、すべての障害者の情報提供とコミュニケーションの支援に欠けている。 
(イ)テレビ番組や  ウェブサイトを含む公共情報へのアクセスとオムニケーションにおいて障害者が直面する障壁、および地方自治体間のギャップ。
(ハ)日本手話の 公用語としての法律上の認識の欠如、手話の訓練の欠如、生活のあらゆる分野での手話通訳の欠如。
46 委員会は締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア) ウェブサイト、テレビ、メディアサービスなど、公衆に提供される情報のアクセシビリティを確保するために、あらゆるレベルで法的拘束力のある情報通信基準を策定する。   
(イ) 点字、盲ろう者通訳、手話、イージーリード、平易な言語、音声説明、ビデオ転写、キャプション、触覚的、拡張的、代替的なコミュニケーション手段などのアクセシブルなコミュニケーション形式の開発、促進、使用に十分な資金を配分すること。
(ハ)日本手話を国家レベルで公用語として法律で認識し、生活のあらゆる分野で手話へのアクセスと使用を促進し、資格のある手話通訳者の訓練と可用性を確保する。
プライバシーの権利(第22条)
47.委員会は、障害者に関する情報が、その同意も合理的な目的もなしに、民間部門及び公共部門のサービス提供者によって収集される可能性があること、並びに、障害者の秘密保持及びプライバシーの保護が、マイナンバー法及び個人情報の保護に関する法律を含む既存の法律によって完全に保証されていないことを懸念する。
48.委員会は、締約国が、データ主体の 個人的、自由かつインフォームド・コンセントまたは法律で定められたその他の合法的な非差別的根拠に基づいて処理され、かつ、明示のために収集されることを確保することにより、障害者のデータ保護に関する法律を強化することを勧告  する。 特定された正当な目的であり、それらの目的と両立しない方法で処理されていないこと、合法的、公正かつ透明な方法で処理されていること、およびデータ主体が効果的な救済を受ける権利を有すること。
家庭と家族を尊重する(第23条)
49 委員会は、以下の事項に留意する。 
(ア) 民法 (第770条)の規定により、心理社会的障害を理由とする者を離婚の条件として差別すること。
(イ) 障害のあるヒルドレンの家族からの分離、特に障害に基づく生活の取り決めにおける施設化。 
50 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア) 心理社会的障害を離婚の条件とする民法770条第1項第4号を含む障害者に対する差別的規定を撤廃すること。
(イ)障害 児の家庭生活に対する権利を認識し、障害のある親を含む障害のある子どもの親に対し、障害理由として家族が離れることを防止するための子育て責任を果たすために、早期介入及び包摂的な支援を含む適切な援助を行うこと。肉親は彼らの世話をすることができず、家族の中で地域社会の中で彼らに代替的ケアを提供するためにあらゆる努力を払ってください。
教育(第24条)
51.委員会は、次の事項について懸念する。
(ア)医学的評価を通じて、障害児の分離された特殊教育を永続させ、障害児、特に知的障害または心理社会的障害のある子どもおよびより集中的な支援を必要とする子どもにとって、通常の環境での教育を利用できないようにすること、ならびに通常の学校における特別支援教育クラスの存在。
(イ)障害児を正規の学校に入学させる準備ができていないと認識され、事実に即したため、障害児を通常の学校に入学させることを否定し、2022年に発行された閣僚通知により、特別クラスの生徒は学校時間の半分以上を通常の授業に費やすべきではない。
(ハ)障害のある学生に対する合理的配慮の不十分な提供。
(エ)正規の教育教師のインクルーシブ教育に対するスキルの欠如と否定的な態度。
(エ)ろう児のための手話教育、盲ろう児のためのインクルーシブ教育を含む、通常の学校における代替的かつ拡張的なコミュニケーションおよび情報方法の欠如。
(f)大学入試や学習プロセスを含む高等教育における障害のある学生のための障壁に対処する、国家の包括的な政策の欠如。
52. 委員会は、インクルーシブ教育の権利及び持続可能な開発目標4、目標4.5及び指標4(a)に関する一般コメント第4号(2016年)を想起し、締約国に対し、次のことを要請する。
(ア)分離された特殊教育の停止を目的として、教育、法律及び行政上の取極めに関する国の政策の範囲内で、障害児のインクルーシブ教育を受ける権利を認識し、かつ、障害のあるすべての生徒が、あらゆる教育レベルにおいて必要な合理的配慮及び個別化された支援を提供されることを確保するため、特定の目標、時間枠及び十分な予算を伴って、質の高いインクルーシブ教育に関する国家行動計画を採択すること。
(イ)すべての障害児が正規の学校にアクセスできることを確保し、正規の学校が障害のある生徒の正規の学校を拒否することを許可されないことを確保するための「拒絶されない」条項および方針を制定し、特別クラスに関する閣僚通知を撤回すること。
(ハ)すべての障害児が、個々の教育要件を満たし、かつ、インクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障すること。
(エ)インクルーシブ教育に関する正規の教育教員及び非教育職員の訓練を確保し、障害の人権モデルに関する意識を高めること。
(エ)点字、イージーリード、ろう児のための手話教育、インクルーシブ教育環境におけるろう文化の促進、盲ろう児のためのインクルーシブ教育へのアクセスを含む、通常の教育環境における拡張的および代替的なコミュニケーションモードおよびコミュニケーション方法の使用を保証すること。
(f)大学入試や学習プロセスを含む高等教育における障害のある学生のための障壁に対処する国家包括的な政策を策定する。
健康(第25条)
53.委員会は、以下の事項に懸念をもって留意する。
(ア)障害者、特に障害のある女性と女児、心理社会的または知的障害のある人が、アクセスできない医療施設および情報を含む医療サービスにアクセスする際に直面する障壁、合理的配慮の欠如、および保健部門の専門家全体にわたる障害者に関する偏見。
(イ)精神障害者精神保健福祉法に規定されている精神科医療と一般医療との分離、および十分な地域に根ざした保健サービスおよび支援の欠如。
(ハ)すべての障害者、特に障害のある女性と女児に対して、他者との平等を基礎として、質が高く、年齢に適した性と生殖に関する保健サービス及び性教育へのアクセスを確保するための限定的な措置。
(エ)より集中的な支援を受けている人を含む障害者に対する医療費補助が不十分である。
54 委員会は、 条約第25条と持続可能な開発目標の目標3.7及び3.8との間の関連性を考慮し締約国に対し、次のことを勧告する
(ア) アクセシビリティ基準の実施及び公的及び民間の保健提供者による合理的配慮の提供を確保することを含め、すべての障害者のための質及びジェンダーに配慮した保健サービスを確保すること。
(イ) 保健サービスに関する情報が、点字、手話及びイージー・リードを含む、障害のある人のためのアクセシブルな形式で提供されることを確保すること。
(ハ) 障害の人権モデルを医療従事者の訓練に統合し、すべての障害者があらゆる医学的および外科的治療について自由でインフォームドコンセントを受ける権利を有することを強調する。
(エ) 心理社会的障害のある人の組織と緊密に協議の上、非強制的で地域に根ざした精神保健支援を開発し、精神保健医療を一般医療から分離する制度を解体するために必要な立法措置及び政策措置を採択すること。
(エ) 質の高い、年齢に応じた性と生殖に関する保健サービス及び包括的な性教育が、すべての障害者、特に障害のある  女性及び女児に包摂され、かつ、アクセス可能であることを確保すること。
(f)医療費補助の仕組みを、自己の負担能力に応じた制度を設け、より集中的な支援を受けている人を含むすべての障がい者への補助を拡充する
ハビリテーションとリハビリテーション(第26条)
55.委員会は、懸念をもって次の事項に留意する。
(ア)包括的かつ分野横断的な居住・リハビリテーション・サービス、特に子どもや主要都市以外を支援するためのサービスの不足
(イ) ハビリテーションとリハビリテーションプログラムにおける医療モデルの強調、および 障害の種類、性別、地域に基づく支援の違い。 
56 委員会は、 締約国に対し、次のことを勧告する
(ア) 包括的かつ分野横断的なハビリテーション及びリハビリテーション・サービス、プログラム及び技術へのアクセスを確保するための措置を、自国のコミュニティ内及びすべての締約国において採択すること。
(イ) 障害の人権モデルを考慮しつつ、ハビリテーション及びリハビリテーション制度を拡大しすべての障害者が、それぞれの要件に基づいてこれらのサービスにアクセスできることを確保する。 
仕事と雇用(第27条)
57.委員会は、以下の事項 について懸念する。
(ア) 障害者、特に  知的障害または心理社会的障害を有する者を、保護されたワークショップおよび雇用関連の福祉サービスにおいて、低賃金で開かれた労働市場に移行する機会が限られている状態で分離すること。
(イ) アクセス不能な職場、公共部門と民間部門の両方における不十分な支援と個別化された宿泊施設、限られた移動支援、障害者の能力について雇用主に提供される情報など、障害者が直面する雇用に対する障壁。
(ハ)障害者 雇用促進法に規定する障害者雇用率制度に関する地方公共団体と民間セクターの格差と、その実施を確保するための透明で効果的なモニタリングメカニズムの欠如
(エ) 職場でより集中的なサポートを必要とする人  のためのパーソナルアシスタンスサービスの使用に関する制限。
58 委員会は、 持続可能な開発目標の目標8.5に沿って、締約国が次のことを勧告する
(ア) 包摂的な労働環境において、保護されたワークショップ及び雇用関連の福祉サービスから、民間部門及び公共部門における開かれた労働市場への障害者の移行を加速するための努力を強化する  こと。
(イ) 職場の構築された環境が障害者にとってアクセスしやすく、適応可能であることを確保し、あらゆるレベルの雇用主に、個別化された支援と合理的配慮を尊重し適用するためのトレーニングを提供する 。
(ハ)公共部門及び 民間部門における障害者、特に知的又は心理社会的障害を有する者及び障害を有する女性の雇用を奨励し及び確保するための肯定的な措置及びインセンティブを強化し、並びに、その適切な実施を確保するための効果的な監視メカニズムを確立すること。  
(エ)職場でより集中的なサポートを必要とする人に対する個人的援助の使用を制限する法的規定を削除する。
適切な生活水準と社会的保護(第28条)
59.委員会は、以下について懸念する。
(ア) 障害のある人およびその家族が適切な生活水準にアクセスできることを確保するための、障害関連費用を賄うための規定を含む不十分な社会的保護制度。
(イ)障害年金は、市民の平均所得と比較して著しく低い。
(ハ) 民間および公営住宅に適用されるアクセシビリティ基準に関連する進展は限定的である。
60 委員会は 、条約第28条と持続可能な開発目標の目標1.3との間の関連を考慮し締約国に対し、次のことを勧告する
(ア)障害者に適切な生活水準を保障し、 特に  より集中的な支援を必要とする人々のために、追加の障害関連費用を賄うために、社会的保護システムを強化すること。
(イ)障害年金 の額に関する規定を障害者団体と協議の上見直しを行う。
(ハ) 民間および公営住宅に適用される法的拘束力のあるアクセシビリティ基準を確立し、その実施を確保する。
政治・公共生活への参加(第29条)
61.委員会は、懸念をもって次のことに留意する。
(ア)障害者の 多様性に応じて、投票手続き、施設、資料のアクセスが限られており、選挙関連情報が不十分であること。 
(イ) 政治生活や行政に参加し、職に就き、特に障害を持つ女性のために公共の機能を実行するための障壁。
62 委員会は、締約国に対し、次のことを勧告する。
(ア)公職選挙法を改正し、投票手続、施設及び資料が、すべての障害者にとって適切で、アクセスしやすく、かつ、理解しやすく、かつ、利用しやすいものとなること並びに、選挙放送及び選挙運動を含む選挙関連情報の収容を確保すること。
(イ)障害者、特に女性の政治生活及び行政への参加が促進されることを確保し、支援技術及び新技術の使用を促進し、パーソナル・アシスタントを提供することにより、障害のある人びとが効果的に職に就き、政府のあらゆるレベルですべての公共機能を果たすことができる。
文化生活、レクリエーション、レジャー、スポーツへの参加(第30条)
63.委員会は、以下について懸念する。 
(ア)観光地や娯楽施設でのアクセスが制限されています。
(イ) テレビ番組、文化活動、電子出版物へのアクセスに対する障壁。
(ハ)スポーツイベントへの参加、特に聴覚障害者、難聴者、盲ろう者に関する制限。
64 委員会は、 締約国に対し、次のことを勧告する
(ア)小規模のものを含む観光地及び娯楽施設におけるアクセシビリティを確保するための努力を強化すること。
(イ)アクセシブルな形式でのテレビ番組及び文化活動へのアクセスを確保し 、アクセシブル な出版作品の利用可能性を高めるためのマラケシュ条約を実施するための措置を強化すること。
(ハ) 合理的配慮の提供を含む、すべての障害者のスポーツ活動へのアクセスを確保すること。
ハ.具体的な義務(第31-33条)
統計とデータ収集(第31条)
65.委員会は、以下の事項に留意する。
(ア)生活のあらゆる分野をカバーする、障害者に関する包括的な細分化されたデータベースの欠如。
(イ)実施した調査における居住施設や精神科病院の障害者の見落とし
66 委員会は、障害に関するワシントン・グループの障害に関する短い質問セット及び障害者の包摂及びエンパワーメントに関する経済協力開発機構の政策マーカーの開発援助委員会を想起し、締約国が、生活のあらゆる分野における障害者に関するデータ収集システム及びデータベースを開発し、かつ、様々な要因によって細分化することを勧告する。 年齢、性別、障害の種類、必要な支援の種類、性的指向と性自認、社会経済的地位、民族性、居住地(居住施設や精神科病院を含む)など。
国際協力(第32条)
67.委員会は、国際協力機構の障害と開発に関する テーマ別ガイドライン(2015年)に留意しつつ、国際協力プロジェクトにおける障害の主流化が完全には適用されておらず、関連する戦略及びプログラムが障害に対する人権モデルの下で障害者の組織と緊密に協議して策定されていないことを懸念する。 
68。委員会は、 締約国に対し、次のことを勧告する
(ア) 障害者団体の緊密な協議及び積極的な関与の下、あらゆるレベルにおける持続可能な開発のための2030アジェンダの実施及び監視において、障害者の権利を主流とすること
(イ)「 アジア太平洋障害者の10年2013-2022年」及びアジア太平洋地域における障害者のための「正しい現実のものとする」ための仁川戦略の実施のための協力を強化する
国家の実施と監視(第33条)
69.委員会は、次のことを懸念する。
(ア)締約国にはパリ原則に沿った国家人権機関は存在しない。
(イ) 条約の監視メカニズムとして設置された障害者政策委員会は内閣府内にあり、その範囲が限られており、その加盟国間の障害の多様性とジェンダーバランスの代表が不十分である。
70 委員会は、締約国が、独立した監視の枠組み及び委員会の作業への参加に関する指針を考慮に入れ、パリ原則に完全に従い、人権の保護及び十分な人的、技術的及び財政的資源に関する広範なマンデートを有する国内人権機関を設立することを勧告する。 またその枠組みの中で、障害者政策委員会の正式な能力を強化し、条約の実施を監視するための独立性、障害の多様性の代表及び加盟国間のジェンダーバランスを保障する。 

IV.フォローアップ

 
情報発信

71. 委員会は、本件最終結論に含まれるすべての勧告の重要性を強調する。とらなければならない緊急の措置に関して、委員会は、締約国の注意を、第42項、自立して生活し、地域社会に含まれること、および第52項に含まれるインクルーシブ教育に関する勧告に注意を喚起したい。
72 委員会は、締約国に対し、本件最終見解に含まれる勧告を実施するよう要請する。締約国は、検討及び行動のための最終見解を、現代の社会的コミュニケーション戦略を用いて、政府及び議会の構成員、関係省庁の職員、地方当局及び教育、医療及び法律の専門家等の関連する専門家集団の構成員並びにメディアに伝達することを勧告する。
73 委員会は、締約国に対し、定期報告書の作成に市民社会組織、特に障害者団体を関与させることを強く奨励する。
74 委員会は、締約国に対し、非政府組織及び障害者の組織、並びに障害者自身及びその家族のメンバーに、手話を含む国語及び少数民族の言語並びにイージー・リードを含むアクセシブルな形式で、本件最終見解を広く普及させ、並びに人権に関する政府のウェブサイトで入手できるようにするよう要請する。
次の定期レポート
75 委員会は、締約国に対し、2028年2月20日までに第2回、第3回及び第4回定期報告書を提出し、かつ、その中に、本結論の所見においてなされた勧告の実施に関する情報を含めることを要請する。委員会はまた、締約国に対し、委員会の簡略化された報告手続の下で上記の報告を提出することを検討するよう要請し、これに従って委員会は、締約国の報告のために設定された期日の少なくとも1年前に問題のリストを準備する。このような問題のリストに対する締約国の回答は、その報告を構成する。


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