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私はゆっくり私に還る

 ずっと変わりたいと思っていた。このままじゃいけないと感じていた。だからこのことばを目にしたとき、不意をつかれたような気持ちになった。文章を追いながら、思わず涙が滲んだ。

 「あなたはあなたになっていく。」

 私の「#忘れられないことば」は、コピーライターの阿部広太郎さんのことばだ。

「あなたはあなたになっていく。」

 私がこのことばに出会ったのは、阿部さんが主宰する連続講座「言葉の企画2019」の講義内容をまとめた「キャリアハック」の記事だ。

何者にもなれない。なる必要もない。ほんとうに納得した人生を生きるためにも、自分で問い、自分の答えを言葉にして、あなたはあなたになっていく。

テクニックを捨てよ、自分を紡ごう。コピーライター 阿部広太郎さんと考える「書くこと」の本質

 後に阿部さんが出版した著書『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』の中にも記されている。

何者かになりたい、と人は口々に語りたがる。けれど、なれない。なる必要もない。
本当に納得できる人生を生きるためにも、自分で問い、自分の答えを言葉にしよう。
あなたはあなたになっていく。
そのことだけは忘れずにいてほしいと心から願う。

『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』

ことばに導かれて

阿部さんから届いた「企画メシ」への“招待状”

 このことばに出会って2年後、私は阿部さんが主宰する連続講座「企画でメシを食っていく2021」の企画生(受講生)になった。前年の2000年にオンラインでの開催となり、地方に住む私にも受講のチャンスが巡ってきた。

 毎月課題に取り組み、同期の企画に圧倒され、ゲスト講師や阿部さんの熱気あふれるお話をパソコンのモニター越しに聞く。私も成長し、一歩踏み出せるかもしれない。そう思っていたけれど、課題や企画を通して向き合い続けたのは、自分自身だったように思う。

 「未来の自分を企画する」という最後の課題に、私は「これからも書き続ける」と宣言した。過去の自分を振り返り、今の自分と向き合い、未来の自分を思い描く中で、好きだったこと、目指していたものも思い出した。振り返ってみると、「自分に還る」、そんな感覚だった。

まぶしかった「ことばの日」

 冒頭で紹介した「言葉の企画2019」からは、ことばの日という記念日が生まれている。この記念日制定に向けて活動中だった時に行われたイベントで、私は「言葉の企画」の企画生たちの話を聞いている。
(下北沢の「本屋B&B」で行われた「企画メシ報告会」、「企画メシ」5周年を記念した「企画祭」)

 こんな企画を実現できるんだ、と驚き、その後もnoteやSNSを追いかけた。「言葉の企画」に興味を持っていた私には、投稿されることばがまぶしかった。

「言葉の企画2019」報告会
2019年開催の「企画祭」

 5月18日が「ことばの日」として記念日に認定され、2020年、2021年にはオンラインで記念イベントが開催された。言葉にまつわるワークショップ、音声配信で届けられるラジオ番組。すごいなあと思いながら、楽しく参加した。

 そんな「ことばの日」に、今年、運営側から関わっている。2019年の夏、客席に座って話を聞いていた私。こんな日が来るとは思わなかった。
 「ことばの日」企画室のメンバーが、企画を組み立てていく様子を間近に(オンラインだけれど)目にし、メンバーのみなさんと言葉を交わしているのも不思議な気持ちだ。事あるごとに、「感慨深い」を連発している。

 2021年に出版された阿部さんの著書「それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない『解釈』の練習」には、次のようなことばがある。

今のあなたのままでいい。
無理に変わろうとしなくていい。
代わりに時代が変わってくれるから。

「それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない『解釈』の練習」

 変わりたいと思い続けてきた私だけれど、時代が変わって、思いがけない経験をしている。

 阿部さんの新しい著書『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』の「はじめに」の中に、こう書かれている。

それでも前を向く。まだ遅くない、そう信じている。

『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』

 これもまた、「忘れられないことば」になりそうだ。

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 この記事は、「ことばの日」オリジナルお題企画「#忘れられないことば」に合わせて書いたものです。今回、「ことばの日」noteチームとして活動しています。ぜひ、みなさんが「ことばの日」に思い出したい「忘れられないことば」につて教えてください。メンバー一同、楽しみにしています!


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