園文化を受け継いだ「児童発達支援&放課後等デイサービス」への新展開──写真で知ろう!小規模保育【園運営】
小規模保育園から、障害のある子どものための、新しい拠点へ展開した当施設。一人ひとりの発達に合わせた細やかな関わりを行うなかで、幼児期から就学期までの、多様な子どもや保護者に頼ってもらえる場所を目指しています。
<ちゃいるどらんどさぽーとくらぶ/宮城県仙台市>
■ ねらいと配慮
法人内の施設の再編に伴い、2022年度まで小規模保育園だった場所を、2023年春から「児童発達支援事業所」(障害のある未就学の子どもを対象とした発達支援施設)および「保育所等訪問支援事業所」として運営しています。背景には、系列の認定こども園や小規模保育園に通う保護者のニーズがありました。
通常の保育施設でももちろん、一人ひとりの発達に寄り添った保育をしていますが、配置基準などの課題もあり、障害のある子どもの受け入れ人数には限りがあります。また、大きな集団での生活がなかなかうまくいかない子どもたちに、より個別的な関わりができる場も必要となっていました。
開所にあたり特徴としたのは、9:30〜15:30の比較的長い通所時間の設定です。もともと小規模保育園だったこともあり、1〜2時間単位の療育ではなく、生活に密着したさまざまな活動を通じて、子ども一人ひとりの自立を支えていけたらと考えました。
また、卒園後の行き場としてもニーズがあることが見えてきたため、半年後には「放課後等デイサービス」(就学児〜18歳までを対象とした発達支援施設)として拡大。小学校以降も継続的に、地域の中で安心して通える拠点を目指しています。
■ 振り返り
現在通う子どもたちは、下が3歳児から上は小学2年生までの12名。身体障害や知的障害、発達障害などさまざまな特性のある子どもがいるなかで、半年、1年と時間をかけながら一人ひとりが成長を見せてくれています。
療育的なアプローチとして、色や形を識別する練習をしたり、指に力が入らない子どもや触覚が敏感な子どももいるなかでも、みんなで描画や制作を楽しめるようにしたり。一方で、保育施設だった環境を生かしながら、運動遊びを取り入れたり、好きなおもちゃで友だちと自由に遊ぶ時間をつくったりと、いろいろな活動を通して子どもたちの育ちを見守ってきました。
その中で、最初は歩行も難しい状態で入所した子どもが、今では室内など安全な場所ではほぼ一人で歩けるようになったり、手づかみではなくスプーンなどの食具を使えるようになったり、発語のなかった子どもが、お友だち同士の関わり合いから言葉を発するようになったりする姿も見せています。
また、動物に会いに行く、それをきっかけに外食をするなど、支援施設だからこそできる活動にも積極的に挑戦してきました。まずは支援員のいる状態で体験を重ねながら、子どもが少しずつ自信を持てるようにしていく。そこから、「公共の場に出掛けていくのは無理だ」と感じているような家庭にも、新たな可能性をお見せしていけたらと考えています。
■ 「小規模保育」としての視点
子ども一人ひとりの発達を、細やかにじっくり見ていく保育の形は、小規模保育園の時代から培ってきたものです。発達に特性のある子どもたちにとって、その環境があることは特に大切だと感じています。
また、大人数の中では友だちとの関係を築きづらい子どもや、なかなか発言できない子どもも、小集団での経験を積み重ねるなかで自信を持っていくケースが見られます。他者に対して積極的な姿を見せたり、ライバル心を表したりする姿も目にするようになりました。
一方で、小規模保育園から新しい施設になっていることがまだまだ知られていない、と感じることはあります。今、一般向けの子育てサロンなども始めていますが、地域との接点づくりを積極的に行いながら、もっと多くの家庭に頼っていただける拠点になりたいと考えています。