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中高の協働の学習について思うこと~評価やフィードバック、全員合格?~

協働学習のPBLについて

今の教育業界では、

協働学習(グループやペア)でPBL(プロジェクトベースラーニング:課題解決学習)を行う手法がよく取られている。

協働学習の醍醐味は、チームメンバーの強みや弱みをお互いが理解し合い、相乗効果で個では到底たどり着けない結果を生み出すことだと思う。

そしてその過程で他者への理解や認め合いが産まれ、仲間と協力する力、自分の感情をコンロールする力、優しさや思いやりなど豊かな人間性が育まれていく。

で、この数年、トライ&エラーを繰り返しながら考えて来たのが、協働のPBLが終わった後の振り返り部分。

評価にすると良く分からない。

ある意味、評価をどうするかという部分にもつながるが、評価をベースに考えると、どうしても自己肯定やセルフエフィカシーの部分を下げるような案しか浮かばない。

何とかすれば上手くできるかもしれないが、まだ私の中では腑に落ちない。

理由は、協働の学習とは個の強みが合わさり、相乗効果でより良いものができると思うから。

そうなると、例えば、評価ルーブリックで

▢話し合いが上手く進むようまとめた。

というような評価は疑問に感じる。

議論の調整能力に長けた生徒もいれば、するどいコメントをする生徒もいる。ルーブリックで評価項目を出すと、“”全員がその能力を得る必要がある”と指摘しているのと同じ。

もちろん全員がある程度の力を身に着ける必要があるのは間違いないが、それに✅がつけられるよう努力すべきなのかな?

むしろ、そちらよりも

自分の強みやメンバーの強みを理解して、自分の強みが発揮できる部分でチーム内で立ち位置を確立する。そういう部分こそが、中高生の協働学習の中で学んで欲しい。

協働学習のPBL振り返りシート

だからこそ、協働学習のPBL振り返りでは、

・協働学習の目的や理念の理解
・自己分析ができ、自己肯定感があがる仕組み。
・他者からの承認(認めらえること)

が得られるよう行いたいと考え、振り返りシートを作成。

①チームメンバーを選んでください。
 ▢ ○○ ○○
 ▢ ×× ××
 ▢ △△
 …….

②協働のグループプロジェクトでは、以下の項目が大切と考えられます。あなた自身が上手くできた部分にチェックしてください。

この項目全てに✅がつく生徒は、全てができるスーパースターです。そこは目指さなくて構いません。それよりも、振り返りながら、自分の強みはどこで、そして今後どんな力を着けたいかを意識しながら、振り返りましょう。

大前提
▢みんなで力を合わせて取り組み、個人で行う以上のものが出来た。
▢このグループ学習で、私は学ぶことがあった。
▢個人的な好き嫌いの感情ではなく、プロジェクトメンバーとしての関係を保てた。

プロジェクトへの貢献度や責任感
▢テーマに対して自分の意見を言うことができた。
▢各々の仕事が、限られた人だけにならないよう気をつけた。
▢各々のメンバーが、自分の役割をはっきりと理解していた。
▢自分に割り当てられた部分を期限内に完成させた。
▢最終ゴールから逆算して、計画をたて行うべきことに取り組んだ。

コミュニケーション
▢質よりも量の考えで、たくさんのアイデアや意見を出すことができた。
▢メンバーのアイデアや意見を、目をみたり頷いたりなどの反応をしながら、最後まで聞けた。
▢コメントを伝える時は、それがより良くなるような意見も同時に伝えた。
▢限られた人だけではなく、全員が話し合いに参加しやすくなるよう声をかけた。
▢話す時に感情的にならず、1つの考えとして冷静に伝えた。

チームワーク(雰囲気づくり)
▢メンバーそれぞれが個の力を発揮し、それぞれにプラスになるよう協力し合えた。
▢誰かがまとめ出したら、それをみんなでサポートしていけた。
▢困っているメンバーがいたら、相談にのり、助けた。
▢議論や取り組みが台無しになるようなことを言わなかった。
▢雰囲気が悪くなった時は、それを解消するよう取り組んだ。

それぞれの強み・弱み
▢自分の強みやメンバーの強み(得意な部分)を考えた。
▢メンバーの強みから刺激を受け、「私もそうなりたい!」と思うことがあった。
▢メンバーの“やってみたい”という気持ちを尊重できた。
▢苦手と思える分野にも意欲的に挑戦できた。
▢自分を含めてメンバーそれぞれが自分の強みを活かして、アドバイスを行った。

③チームメンバーで上手と思った人を1人教えてください。
 ▢ ○○ ○○
 ▢ ×× ××
 ▢ △△
 …….

④その理由は?

※その後&その他
・振り返り後は、③で名前が挙がった生徒には、コメントをまとめて返却。
・実施施方法はMicrosoftのForms:名前に✅する形にしておくと、後にエクセルで出力した際にデータ処理が簡単に行えるため。

まとめ

協働学習でのPBLは、非常に教育効果が高いのは、誰もが知る事実。だからこそ、振り返りの一工夫でさらにその効果を高めたい。

そんな思いから考え、チームで作り上げた。

今年度、このアンケートフォームをチームで共有し、協働PBLの際には常に活用していきたいと思う。

私の勉強不足もありますが、

学校教育で生徒の評価を行うことは大事ですが、そこに縛られると本末転倒というか、上手く行わないと人格形成の部分でマイナスにならないかと感じることがあります。

これまでは「知識・技能」が中心で当たり前のように成績評価を行っていたので、そこに疑問さえなかったのが事実です。

学習指導要領を読めば読むほど、理念や目的はその通りと思うことが多々あり、3観点、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の考えも確かに!!と納得します。

ただ、その評価を絡めると難しい。

生徒たちがPBLで問題を提起して提案する場合、

それがどんな考えでもあっても、私は

『イイネ!!面白い!』

提案内容が現実的でなくても

『イイネ!!素敵!!そっからさらに進めたらいい』

そして失敗しても

『イイネ!!失敗から学べばいい。また次がんばろう』

そして、問題をまとめて提案をプレゼンしている時点で、

『イイネ!!みんで取り組んだね(主体的な学び)』

と思ってしまう。

最低限の基準はあり、内容の良し悪しは当然あるけど、

ゴールに達している時点で、全員、まずは合格!!

そして、そこから

自分の強み、他者の強み、組み合わさることの相乗効果などを
振り返り、さらに意識することで、

さらに上手く協働での学習に取り組めるようになれば、

人としてもどんどん成長していくのではないかなと思う。

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