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【障害者雇用・助成金ニュース】精神障害者を雇うって、そんなに不安ですか 「身体」人気の一方で…コロナで問われる企業姿勢~後編~

皆さんこんにちは、伊藤です。

昨日からこちらのニュースの解説をさせていただいております。

前回はコロナ過における障害者の解雇の増加の要因について解説させていただきました。

本日は後編ということで、コロナ過における民間企業の障害者雇用の現状と今後の展望について解説させていただきます。

さて、障害者雇用はどのような状況なのでしょうか?本文ではこのように述べられています。

また、雇用されている障害者の数(2020年6月1日時点)が、57万8292人(対前年比3.2%増)で過去最高を更新とも発表した(今年1月15日)。

コロナの影響はありつつも雇用されている数が過去最高を更新したのは嬉しいニュースかと思います。

続いて求人数はどうでしょうか?

dodaチャレンジが扱う求人の数は、緊急事態宣言が出された昨年4月には前年比で半減し、7月には8割程度まで戻した。現在やや回復傾向にあるという。

障害者専門の転職・求人サービスである「 dodaチャレンジ 」ではやはりコロナの影響もあり一時は大幅に求人数が減少したようですね。

ただ現在まで回復傾向にあるというのは少し安心できますね。

就職件数についてはどうでしょうか?

就職(成立)件数に関しては、4〜6月ころに落ち込み、9〜10月に前年超えまで復調したが、コロナの状況を受けて、今年1月にまた低下した。

こちらも一時の現象のピークからは何とか脱している印象を受けます。

そして前回は障害者雇用の解雇は民間企業ではなく就労継続支援A型で増加している現状をお伝えしましたが、実際の民間企業での解雇についてはこのように述べられています。

「コロナで障害者の解雇数が増えたと言われておりますが、企業内の雇用による解雇は少数と考えられます。企業自身は障害者を解雇すると、雇用し続けるよりも、社会的にも経済的にもデメリットがものすごく大きい。相当な損失が出ます。

メリットよりもデメリットの方が大きいことで、民間企業の解雇は少ないと述べられています。

まず「 社会的なデメリット 」については、確かに日本は諸外国に比べて「 解雇 」がしづらいとよく言われていますが、やはりそれについては障害者雇用も例外ではない印象を受けます。

解雇によって社会的な信用を失うリスクは図り知れないですよね。

また「 経済的なデメリット 」としては解雇予告手当金の支払いが必要になったり、私が日ごろこのnoteで解説させていただいるものを含め各種助成金の支給の対象外になるなどのデメリットが挙げられますね。

そして今後の障害者の解雇の可能性についてはこのように述べられています。

ただ、民間企業での解雇は、これからもそれほど出ないでしょう。今回コロナで打撃を受けている小売業、宿泊サービスは、中小企業の比率が高い業種のため、もともと障害者雇用数が高くないため、解雇数は多くありません」

民間企業ではこれ以上増えないようなので、とりあえず一安心できる情報ですね。

ここまでの内容をまとめると、

〇 雇用されている障害者の数(2020年6月1日時点)が過去最高を更新

〇 障害者雇用における求人数や就職件数は昨年4月の緊急事態宣言の時期を中心に大幅に減少したが、その後は回復傾向にある。

〇 民間企業での障害者の解雇は社会的および経済的リスクの両面から少数で今後も増加する可能性が低い

以上3点の内容から障害者雇用の現状はそれほど暗いものではないと言えるかと思います。

最後に今後の展望について考察していきます。

本文では、

「法定雇用率への意識が強い大企業に、達成しないという選択肢はなく、引き続き、雇用率達成に向けた採用活動を進めています。

一方で、一部の大企業や中小企業からは、引き上げを機に障害者雇用を始めようとか、法定雇用率を達成しようという動きはあまり感じられません」

本文でも今年の3月の法定雇用率の引き上げについて言及されていますが、結局のところ、

今まで障害者雇用に積極的だった企業は今後も積極的に、それ以外の企業はそれほど障害者雇用に積極的ではない、という二極化が進む

という状況のようです。

やはり「 障害者雇用に積極的はない企業 」に対する取り組みとして、

① 障害者雇用の優良企業認定制度「 もにす 」。

② 障害者雇用ゼロ企業等を対象として「企業向けチーム支援」の創設と実行。

③ 今後検討が予想されるのが、雇用率未達成の企業が納付金を収める「雇用納付金制度」の改正(対象の社員数100人を引き下げる検討中)

の3点について言及されています。

あくまでも個人的な意見ですが、③の取り組みも大切だとは思いますが、それだけでは結局「 お金さえ払えば良い 」という割り切った考えに流れてしまうリスクもあり、効果的ではないと思います。

やはり①を基調とした、障害者雇用に積極的な企業に多くのメリットを生むような仕組み作りをしていく方が、企業全体の障害者雇用のモチベーションが上がり効果的ではないかと思います。

特にこのコロナ過で苦しい状況の中でも障害者の方を解雇せず、むしろ積極的に雇用しようと真摯に取り組んでいる企業に対しては、他の企業よりも助成金の支給額や融資できる上限金額の増額など経済的なメリットも今まで以上に享受できる仕組み作りが大切かと思います。

障害者雇用の優良企業認定制度「もにす」の制度もまだまだ始まったばかりの制度です。

これから現場の声が反映されて年を重ねるごとにブラッシュアップされていくとは思いますが、障害者雇用が大きく活性化するように制度になることを期待しております。

※「 もにす 」の制度に関するページはコチラ ↓


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