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初対面でも打ち解けられる3つのアイスブレイク

会議、研修、セミナーなど、いわゆる「場」を始めるにあたって大事なのがアイスブレイク。

特に初対面の人たちが集まるときは、最初に緊張をほぐして空気を柔らかくすることが場の成功に直結することが少なくありません。

講師やファシリテーター、進行役を務めるとき、皆さんはいきなり本題に入ってしまっていませんか?

今回は場づくりのプロが解説した『そのまま使える アイスブレイクのアイデア帳 会社でも学校でも確実に“場”が暖まる33選』(翔泳社)から、3つのアイスブレイクを紹介します。

緊張をほぐす、お互いを知る、対話を活性化するという効果がありますので、どれか1つ、あるいは順番に3つ、試してみてはいかがでしょうか。

◆著者について
松場俊夫 (まつば・としお)

NPO法人 コーチ道 代表理事、組織人事コンサルタント/ファシリテーター/コーチ。MBTI認定ユーザー、CRR Global認定 組織と関係性のためのシステムコーチ(ORSCC)。

児浦良裕 (こうら・よしひろ)
学校法人聖学院 教育デザイン開発センター長、聖学院高等学校 情報科・数学科・家庭科講師、共愛学園前橋国際大学 非常勤講師。レゴ®シリアスプレイ® メソッド・教材活用 トレーニング修了認定ファシリテーター、脱炭素まちづくりファシリテーター。

広江朋紀 (ひろえ・とものり)
(株)リンクイベントプロデュース、組織開発コンサルタント/ファシリテーター。CRR Global認定 組織と関係性のためのシステムコーチ(ORSCC)、米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)。

佐野和之 (さの・かずゆき)
かえつ有明中・高等学校 副校長、一般社団法人こたえのない学校 アドバイザー。

白土詠胡 (しらと・えいこ)
(株)いかす取締役、チームケアテイカー、つなぐカンパニー代表、組織開発コンサルタント/ファシリテーター。


緊張をほぐす:ザ・アンケート

シチュエーション:対面/オンライン/大人数(50 人以上~)
推奨人数:何人でもOK
必要なもの:特になし
部屋のレイアウト:全体が見えるように

身につくスキル:共感力、信頼関係

WORKSHOP

1
「今日のテーマについて、みなさんの現状を把握するために、アンケートをとりたいと思います。質問をしますので、挙手で(オンラインならアンケート機能で)答えてください。

では、●●●(今日のテーマ)について知っている人(手を挙げてもらう)? 知っているけどよく中身はわからない人(手を挙げてもらう)? 初めて聞いたという人(手を挙げてもらう)?」

その日のテーマや内容について、理解度や抱えている不安などについてそれぞれ手を挙げてもらう。オンラインであればアンケート機能を使って回答してもらう。例えばZoom のアンケート機能なら、匿名で投票できるし、結果が自動的に集計されるので便利。

アンケート例

  • コーチング研修なら……
    「コーチングを普段から使っている人は?」「コーチングについて知っているがあまり使っていない人は?」「よく知らない人は?」「初めて聞いた人は?」

  • コミュニケーション研修なら……
    「コミュニケーションに自信がある人は?」「そこそこある人は?」「あまりない人は?」「まったくない人は?」

  • ロジカルシンキング研修なら……
    「『私はとてもロジカルである』という人は?」「『ある程度ロジカルである』という人は?」「『あまりロジカルではない』という人は?」「『まったくロジカルではない』という人は?」

  • 多様性研修なら……
    「自分の会社はかなり多様性を推進していると思う人は?」「少し推進していると思う人は?」「全然推進していないと思う人は?」

  • キャリア研修なら……
    「自身のキャリアに点数をつけると?」

2
「みなさんのアンケートの回答からわかるように、あまり経験(知識)のない方が多いので、ちょっとした質問でも気軽に聞いてくださいね。また、研修の場は安全なので、ここでどんどんチャレンジしてみてくださいね!」

参加者に安心感を与え、チャレンジをうながすような言葉で締めくくる。

ポイント

研修などに参加すると、そのテーマについて自分だけ知らないのではないかとか、どんな人が来ているのだろうとか、言葉にできない不安を抱えているものです。

それを解消できないままWSや研修が始まってしまうと、違和感が残ってしまい、学びの効果が下がってしまいます。未経験の人、初心者の人がいるのであれば、それを強調することで安心感を持ってもらうことができます。

一方でファシリテーターにとっては、その日の参加者のレベル感を把握することができる、という意味で役立ちます。

現在の自分や期待値などの点数をつけてもらうアンケートであれば、白紙
の紙を配って大きな字で書き込んでもらい、見せ合うといいでしょう。

お互いを知る:3行で自己紹介

シチュエーション:対面/オンライン
推奨人数:1グループ10人以下
必要なもの:3行自己紹介シート、または紙とペン
部屋のレイアウト:グループごとにテーブルを囲んで座る

身につくスキル:コミュニケーション力、信頼関係

WORKSHOP

1
「これから自己紹介をしていただきますが、自分について3 行で簡潔に紹介をしてください。例えば、『私は母親です。私は農家です。私はメロンが好きです』といったように、2つは役割、3つ目は好きなことや物などを選んでください。でも、名前は書かないでくださいね。まずは配布した紙に書いてみてください」

3行自己紹介のシートか何も書いていない紙、そしてペンを配布しておく。紙に3つの自己紹介文を簡潔に、見やすく書いてもらう。ファシリテーターは自ら例を挙げるといい。

2
「それでは、いま書いたものをグループで一旦集めてください。そして、1枚ずつ引いて読み上げ、誰の自己紹介なのか、みなさんで当ててみてください。当たったら、そこから2、3の質問をしてもいいですよ。全部の紙が引き終わるまでやってみましょう」

紙をグループ内で集め、当て合いをしてもらう。ファシリテーターはグループを回りながら、サポートをする。「今日は野菜好きが多いですね」「このグループはたくさん質問が出ていいですね」など、観察して見えたことを言葉にしてみてもいい。人数によってだが、20~30分程度話せる時間をとる。

3
「いかがでしたか? みなさんの自己紹介シートを壁に貼っておきますので、休み時間などに見てみてくださいね」

自己紹介シートは、その研修やWS中は見えるところに貼っておくといい。

ポイント

ただ自己紹介をしてもらうだけだと、とても真面目な話になってしまったり、延々と話してしまったりしますが、3行に限定することで、一度情報を整理してもらったうえで自己紹介してもらえます。

また、あえて名前から入らないことで、人となりにフォーカスできます。すでに知っているメンバーでやる場合でも、3つ情報があるうち1つくらい知らないこともあるはずなので、新たな一面を知ることもできます。

もしその後に時間があれば、このシートを本人の体に貼って歩き回っても
らい、会話タイムを設けても面白いですね。

対話を活性化する:4ポジション対話

シチュエーション:対面
推奨人数:1グループ4人程度
必要なもの:特になし
部屋のレイアウト:グループごとにテーブルを囲んで座る

身につくスキル:発想力、社会課題解決能力、論理的思考力

WORKSHOP

1
「まず、グループのメンバーを次の4つのポジションに分けてください。それぞれ、Mover(推進役)、Follower(従者)、Opposer(反対役)、Observer(観察役)です。

Moverは、どんどん話を推進させる役です。Followerは推進役が出した意見に補足したり、同意したりする役です。

Opposerは、冷静に反対意見を出したり別の提案をしたり、『こういう場合はどうだろう?』と疑問を投げかける役です。ただし、否定するだけではなく、相手の意見に敬意を払ったうえで、自分の意見を出してください

Observerは、距離をとって観察し、全体を把握する役です。割り振られたそれぞれの役割を意識しながら、これからの対話を進めてみましょう。それでは、『●●●』について、まず5分間話し合ってみましょう」

4つのポジションについて説明し、それぞれ1つずつ割り振ってもらう。テーマはその日のWSや研修に合わせ、入りやすいものを設定する。

2
「時間になりました。では、今度はポジションを変えて、次の『▲▲▲』というテーマについて、5分間話し合ってみてください。どうぞ(同様に、すべての役割が全員に回るようにする)」

ファシリテーターは5分間時間管理。自分の役割に悩んでいる人や、すぐ相手を否定してしまう人などをチェックしながら、必要に応じてサポートする。同じように全員がすべての役割を経験するまで役割交代と対話を繰り返す。

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「それぞれのポジションを経験してみて、いかがでしたか? 普段の会議や話し合いの場でも、自分がどのポジションに立っているのか、どのポジションに偏りがちなのか考えてみてください。例えばいつも自分は『Opposer』ばかりだと思ったら別のポジションに動いてみよう、などと意識してみるといいですね」

4つのポジションという枠組みを、普段の仕事や生活に活かせる方法を示して終わる。

ポイント

それぞれポジションと役割を意識したうえで話をすると、改めて自分の普段の立ち位置を確認するとともに、別の立ち位置から見てみるという経験ができます。

いつも否定ばかりしていないか、全体を俯瞰して見ることができているか、これからどんな方向に話を持っていけばいいのか……。その役割に自分が慣れているか、向いているかに関係なく、強制的に役割を割り振られるので、やってみて初めて気づくこともあるでしょう。

今回はこの4つに分けましたが、例えばSDGsなどがテーマであれば、木や椅子など『物』の立場になってみても面白いですね。普段とは異なる視点で見ることで、議論が活性化され、新たな視点が見つかる方法です。

◆本書の目次
Part 1 緊張をほぐす
Part 2 お互いを知る
Part 3 対話を活性化する
Part 4 発想を豊かにする
Part 5 イベントを盛り上げる
Part 6 Q&A

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