見出し画像

勝ち続ける政権 「暴走STOP!」をSTOPするもの

・はじめに

7月10日、安倍元首相の狙撃という衝撃的な出来事を経たものの、無事参議院選挙が実施され、大方の予想通り与党である自民党と公明党が従来を上回る議席を獲得した。それ以外にも与党に対し「是々非々」のスタンスをとる日本維新の会も大きく議席数を増加させ、その一方で与党と対決姿勢を取ることの多い立民党や共産党はその勢力を後退させることになった。

2009年、当時の麻生政権がメディアによりその失言やら漢字の読み間違いやらが面白おかしく取り上げられた影響もあり、当時民主党鳩山政権への政権交代が起きた。しかし「敵失」による政権交代など長くは続かず、2012年にふたたび自民党が政権を握り、その後選挙のたびに与党がその勢力を拡大させ続けていることは周知のとおりである。

一方の野党、特に立民党、共産党、れいわ新選組、社民党といった、「反政権色」の強い政党の勢力減少をどう考えるか。私はこれは「望ましくないこと」と考えている。「批判ばかりで建設的でない」と目されることも多いこれらの党だが、私はそれでも大いに結構と思う。政権を握る与党に対し、常に「ちょっと待て!それでいいのか!」とSTOPをかけ続けるのが民主主義国家の野党のはずであり、たとえこじつけでもいいから権力の暴走を防ぐのが野党(とメディア)の役割だろう。しかし、今の日本はこうした「対決型野党」の勢いは減る一方である。この現状に関する分析は新聞、テレビ、専門書等であまた出ているが、ここで私の雑感を記してみたい。

・無視できぬSNSの影響力

2012年以降と考えると、選挙(というより我々の生活そのもの)の風景が様変わりしたのがSNSの登場である。私は2000年代はmixiをしていたが、その後2010年代以降はFacebookなどで友人との交流を楽しんだりしている。中でも選挙で大きな役割を果たしていると思われるのがツィッターである。

政治家をはじめ、研究者、芸能人、スポーツ選手などあまたの著名人がツィッターでタイムリーに情報発信しており、特に若者はスマホでアカウントを持っていることが多いことから、必然的にいろいろな人のツィートを目にしているはずだ。私もツィッターはやってはいないが、それでも興味のある人のツィートを閲覧することもあるし、選挙の際には色んなツィートを参考に自分の投票先を考えることもある。私ですらそうなのだから、30代以下くらいの若い有権者はもっとだろう。(いい悪いは別にして)ツィッターの湯水のような情報を見ながら自分の投票先を決めている方も少なくあるまい。

今回の参院選について子細な分析はこれから各メディアで展開されるのだろうが、下記記事

【出口調査】比例投票先 全年代で自民が3割超 30~60代では自民に次いで維新(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

など見る限りにおいて、若年層でも「与党支持」がかなり多いようだ。
「若者」といったら、現状に対する鬱積やなんかを持っているのが普通で、とにかく「反体制!」「批判精神!」(往々にしてその矛先は、最初は「学校」や「教師」に向かうことが多い)がトレンドであってほしいと個人的には思っているが、ことに政治に関しては「現状是認」の若者もかなり多いということだ。
その原因は何か。若者気質の変化?もあるかもしれないが、彼らが多く利用しているツィッターの中にもあるのかもしれない、そんなことを最近よく考える。

・ツィッターの中の反体制リーダー

ツィッターで反政権ツィートをしている方は数多いが、その中でも「代表的な方」はほぼ決まっている。更新頻度がかなり多く、よくそのツィートが色々な人シェア(拡散)される方々だ。ネットの中の反政権組の「教祖」みたいな位置づけである。

この方々は政権打倒、暴走STOPに必死だ。とにかく必死である。必死すぎるくらい必死である。いくつか見てみたい。
まずは学者の先生方から

山口二郎(@260yamaguchi)さん / Twitter

白井 聡/Shirai Satoshi(新刊『長期腐敗体制』角川新書、出ます)(@shirai_satoshi)さん / Twitter

どうも「学者の先生」というと、基本寡黙で沈着冷静にやや達観したところから現状を分析しつつ、時折鋭い論評を加える方、なんてのをイメージしてしまうが、これらの先生方はそんなイメージから真逆のツィートをなさることも多い(学者としてご高名な方々なのは私も存じており、著書を読んだこともあるが。)

次に「著名人」の方

町山智浩(@TomoMachi)さん / Twitter

ラサール石井(@bwkZhVxTlWNLSxd)さん / Twitter

山崎 雅弘(@mas__yamazaki)さん / Twitter


最後に「匿名」の方(やはりこのタイプが一番極端)

きっこ(@kikko_no_blog)さん / Twitter

異邦人(@Narodovlastiye)さん / Twitter

あくまでも一例だが、こんな方々のツィッターが上げられる。

・暴走STOPをSTOPするもの

こうした代表的反体制論客の方々のツィッターを見た人間が一体どう思うか(この人たちは自分のツィートを客観的に振り返ったことがあるのだろうか)。正直「引いてしまう」「痛い人に見える」なんて人も少なくあるまい。繰り返しになるが、政権の暴走を食い止めるため最大限必死にツィッターに投稿するのはわかるが、それが逆に「ちょっと危ない印象」を受けるのである。
文字にしろ言説にしろ、言葉は内容も重要だが、それと同じくらい「印象」もまた重要である(自戒込)。読んだ人間が「余裕のなさ」を感じ取ってしまうような文章からは、少なくとも私は魅力を感じない。「反自民」に血眼になるのはわかるが、まあコノ人私生活幸せそうじゃないな、友人恋人いそうにないな、どんなパパとママに育てられたのかな、へそ曲がりの私はそんなことを考えながら上記のツィッターを読んだりもしている。私がそうなのだからより多感な若者層も、同様の人は少なくあるまい。

エビデンスがあるわけでもなし、「反政権政党が苦戦一方な理由はこれだ!」などと言うつもりはない。しかし往々にして「反発」は無品格である。時として過激な言論ばかりが飛び交うネットの世界、支持を得るためには知的な余裕、品格を読み手に感じさせることもまた重要なのかもしれない(お前が言うなという声が聞こえてきそうですが)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?