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小説×音楽コラボ作品『流星コーリング』がまじで最高だから体感してくださいという話



突然ですが、星を見るのはお好きですか?


毎年8月1日〜7日は、星空に親しむ週間『スター・ウィーク』だそうです。8月上旬は全国的に梅雨明けして天候が安定しているので、天体観測がしやすい時期なんだとか。期間中は、どんな場所から、どんな星を見ているか報告し合う掲示板が設けられているようです。なんだかロマンチックですね。



オリンピック真っ最中のお祭り騒ぎなテレビを見るのも良いけれど、会いたい人になかなか会えない、こんな今こそ、星空を眺める夜も悪くないかもしれません。


今回は、そんなスター・ウィークに楽しむのにぴったりの作品『流星コーリング』をご紹介したいと思います!!!


流星コーリングとは

2019年4月に発表された、3人組ピアノロックバンドWEAVERのドラマーであり、小説家の河邊徹さんが書いた、青春SFファンタジー小説。



また、同名のアルバムをWEAVERが同時リリースしています。物語とリンクした世界観の楽曲が楽しめるアルバムです。



本小説は2020年に第10回広島本大賞を受賞。
現在はそのアナザーストーリー流星コーリング~双つ星の願い事~がコミカライズされ、コミックNewTypeにて連載中です。


あらすじ



主人公りょうと恋人の詩織、友人の洋介と真希。4人は、広島県廿日市中央高校天文部に所属する同級生。

高校三年生のある日、世界初の『人工流星』が広島で流れることになり、天文部のメンバーで見に行くことに。体調が悪く見に来られなかった詩織以外の3人で、夢のような景色を眺める。

しかし、翌朝目を覚ましたりょうは、昨日見たものと同じ「今夜、人工流星が流れます」というニュース番組を目にすることになる。その日を境に、りょうは次の日に進めなくなってしまったのだ。

朝を迎えるたびに『人工流星が流れた日』に戻ってしまうりょうは、明日を取り戻すため、その原因を探しはじめるが……。


おすすめポイント1
わくわくする展開、切なくも暖かな物語


まずは小説単体で読んでもとっても面白い『流星コーリング』。


私がこの小説で特に気に入っているところは、登場人物たちがみんな生き生きしていて、広島弁の口調が”ぶち”(=すごく)愛らしく、何気ない会話1つ1つも読んでいて楽しいところです。天文部が舞台になっているので、星にまつわるお話もたくさん出てきます。


また、この物語の面白いところといえば、やはり時間をループするというSFファンタジー的要素。同じ時間を何度も繰り返すなかで、少しずつ仲間たちの内面に触れていく物語の展開がすごく面白いです!


物語後半からの急展開も見どころ。
真実が解った時には、鳥肌が止まりませんでした。


あまりネタバレしたくないので多くは書きませんが・・・


後悔や悲しみのような、なかなか消し去れないような思いを抱えても、それでも前を向いて歩いていくことができる『人間の強さ』みたいなものを感じて、読み終わったあとには切なくも、暖かな気持ちになれます。


おすすめポイント2
物語にリンクした音楽が織りなす圧倒的な世界観




近年、YOASOBIを筆頭に物語と音楽を一緒に楽しむコンテンツ、増えていますね。indigo la End×カツセマサヒコの『夜行秘密』も、リリース後はやくも話題になっています。(YOASOBIめっちゃ良いですよね!夜行秘密も早速買いました)


ただ、上記との違いとして、『流星コーリング』は物語と音楽をほぼ同時進行で、同じ人たちが作っているところが挙げられると思います。既に出来上がった作品を改めて違った形で表現しているのではなく、小説と音楽が緻密にリンクしてお互いを補いながら、物語が進んでいくようなイメージなんです。


曲ごとに「このシーンだ!」というイメージはあるのですが、小説内での出来事や描写をそっくりそのまま歌っているのかというと、案外そうでもありません。音楽を聴くだけでは物語の輪郭は見えてこなくて、どちらかというと、音楽を聴くことで中身の厚みが増す感じ。
なんというか、絶妙にネタバレしてこないんですよね。笑



例えば、小説であえて書かれていない登場人物の心情が、音楽を聴くことでわかったり。小説の中にアルバムの楽曲が登場して、物語に絡んできたり。これは、小説と歌詞の書き手が同じだからこそできることなのではないかと思います。


さらに、すごいのは歌詞だけではありません。アルバム『流星コーリング』の作曲を担当しているボーカルの杉本さんが個人の活動でミュージカル音楽の制作等も手掛けていることもあり、WEAVERは物語に奥行きを持たせる音楽をつくるのがとても上手い!!

アルバムでは合間にインスト曲も挟まれるのですが、言葉がなくとも音だけでその世界観が伝わってくるのがすごいです。


私は特に1曲目の『Overture ~I'm Calling You~』が大好きです。流星コーリングの世界の扉が一気に開く、始まりの音。聴くだけで、きらきらと輝く星空の情景が脳裏に浮かびます。



また、アルバム全体を通して、小説を読む前と読んだ後では、曲の印象も一味変わります。

例えば、アルバムのリード曲『最後の夜と流星』は爽やかなアップテンポのロックナンバーで、小説を読む前はノリノリで聴いていたのに、読んだ後に聴いたら、1フレーズ目から嗚咽をもらすほどに号泣しました。ちょうど隣にいた、小説未読の母にどん引きされましたけどね。




HYの仲宗根泉さんがゲストボーカルで参加されている『栞』もすっっっごく良いです。まさに夏の夜にきくのにぴったりな曲。歌詞も曲も歌声も演奏も、本当に全部が美しいです。

過ぎゆく夏の日の一瞬一瞬を決して忘れない大切な思い出にすることを『夏の栞を今日に挟むの』って表現するの美しすぎません??天才???

しかも小説を読んだ後にきくと、とあるシーンを思い出してめちゃくちゃ感極まります。曲だけでも勝手にいろいろな情景が浮かんで感情が溢れ出てくるのに、ストーリーが加わるともう無理です。大爆発します。



↑このリリックビデオもかなり完成度が高くて素晴らしいので、本好きの方に是非見てほしい。


このまま全曲解説を始めると字数がえらいことになりそうなので、ここらでストップしますが、本当に1曲目からラストの一言まで全てが素敵なアルバムだと思います。



私はこの作品で改めて、音楽の力って凄い!ということを思い知らされました。やっぱり音楽には、世界を彩る力がありますよね。この感動、是非体感していただきたいです。


おすすめポイント3
新たなエンターテイメントの可能性を生み出しまくり


小説と音楽で楽しむ物語『流星コーリング』。実はこちらの作品、小説とアルバムだけにとどまらない展開をみせております。

まずWEAVERは、2019年にアルバム『流星コーリング』リリース後、花澤香菜さんを初めとした豪華な声優の皆様を迎え、朗読音楽会なるものを開催しました。(こちら都合が合わず行けてません。ぐすん)こんなことやってるロックバンド、WEAVERだけなのでは。


そして続いて、ライブツアー『I'm calling you~流星前夜~』を開催。



このライブは2部構成になっていて、前半は流星コーリングの世界観に沿ったセットリストだったのですが、その間の約1時間、MCは一切なし。声優の花澤香菜さん・角田雄二郎さんの朗読や、大阪芸術大学の学生さんとコラボ制作されたリリック映像など、音・言葉・映像が融合した演出とともに味わう生演奏は、本当に圧巻でした。



どっぷりと作品の世界観に浸れる新感覚のライブで、例えるなら『物語を全身で浴びる』ような体験だったかもしれません。

あの1時間は、その場にいた全員が、完全に流星コーリングの世界に引きずり込まれていたと思います。あんなに前後左右からすすり泣きが聞こえてくるライブ、生まれて初めてでした。笑

(私はどうだったかって?ご想像通り、めちゃくちゃ泣きました)




しかも、その音楽をきっちり3人で表現しきるところがWEAVERさんはほんとにすごいと思います。ベースの奥野さんとか、気が付いたら本当になんでもやってるからね。周りに侍らせている機材の量が通常のベーシストのそれじゃないから。



小説もアルバムも勿論すごく良いんだけど、私個人としては『流星コーリング』は、ライブが一番おすすめしたい作品だったりします。


ほんとにもう、、、例えば今夜世界が終わり明日がこないとして代償に一つ望むのなら、あのライブをもう一度体感したい、、、(私利私欲の塊)


声を出して盛り上がれない今の時代にもぴったりのライブスタイルだと思うんだけどな。いつか再演していただけませんかWEAVERさん、、むりか、、、

残念ながらそのツアーは映像が残っていませんが、その後に神戸国際会館こくさいホールにて開催された、WEAVER 10th Anniversary Live『最後の夜と流星~We're Calling You~』は映像化されています。流星コーリングのコーナーもがっつりありますので、興味のある方は是非ご覧ください!!


さらに、冒頭にも触れましたが、現在は小説・流星コーリングのアナザーストーリー『流星コーリング~双つ星の願い事~』がコミカライズされ、コミックNewTypeにて連載中です。



小説と同じ廿日市中央高校天文部を舞台に、小説の世界と並行して進む、別のキャラクターの物語を読むことができます。今のところ、小説とはまた少し違った雰囲気の、コミカルで楽しい物語が進行中です(これから何が巻き起こるかはわかりませんが。最後まで展開に油断ができない、それが流星コーリング)。


さて、こちらの何が新しいかというと、実は、その製作過程を一緒に楽しむことができる『流星コーリングコミカライズプロジェクト』も進行中なんです。


何やそれ、という感じかと思いますが、なんと『流星コーリング天文部』のメンバーとして、原作者の河邊先生や漫画家の天月みご先生のお話をライブ配信で聞きながら、制作中のプロットやネームを見ることができるという神企画です。漫画が生み出される過程をリアルタイムで追うことができることも初体験で、とても楽しいですよ。



WEAVERと流星コーリングが生み出すエンターテインメントの可能性に、今後も期待大です!!!


まとめ:『流星コーリング』は小説からでも音楽からでもライブからでも漫画からでも楽しめる超名作


どこから入っても楽しめる作品ですが、私としては、まずはアルバムをきいて、小説を読み、読了後、もう1度アルバムを楽しむというサンドイッチ方式をおすすめします!


※なんとアルバムをCDで購入すると、そこでしか読めない流星コーリング『エピソードF』も読めます。小説から10年後の短編小説です。サブスクでも配信でも聴けるけど、気に入ったらCDも買うともっともっと楽しめます!


その後にライブ映像を見て、漫画を読んで、流星コーリング天文部に入部したら、もう完璧だ!!!


みなさんも是非!!ブラックホールのような底なしの流星コーリング沼に一緒に落ちましょう!!!



☆21/12/27追記
2022年2月、小説『流星コーリング』文庫化決定!さらに、漫画『流星コーリング~双つ星の願い事~』の単行本が、同年3月26日に発売決定!!

おめでとうございます!!河邊先生や流星コーリングチームの皆さまの熱意が、確実に、着実に物語を次のステップへ繋げていますね・・・!
これからの展開も心から楽しみです。思いのこもった作品が、たくさんの人に届きますように!



▶︎こちらもぜひ〜!!!


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