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本当は教えている「○○を学校教育で教えるべき」こと

社会に出ると学生時代には知らなかった、見えていなかったことに出会うという機会が増えます。

あるいは、人生のステージを登って結婚や子育ての場面でも知らなかったことは少なくありません。

そうした知らなかったが、現実社会に必要なことに出会ったときに悔し紛れに「○○を学校教育で教えるべき」という言葉を吐く人がいます。

その気持ちは十分理解できるのですが、では義務教育で習ったことであれば社会全体に定着するのでしょうか。

学校教育で習っているはずなのに…

実際には学校教育で習っているにも関わらず、社会全体に定着していないものというのは相当数存在します。

個人的に聞いたことのある内容としては

  1. 化学系知識

  2. 金融関係の知識

  3. 英語全般

  4. 健康栄養学の最低限の知識

1.化学系知識

これは社会にあふれている様々な製品やサービスに関わってくる知識です。

「水素水」なるものが一時期一斉に流行った時期があります。しかし、中学や高校でまともに理科を学んでおけば水素が水に溶けないということは既知のはずです。

にも関わらず健康食品のカテゴリーで売り上げを上げてしました。

こうした例はほかにも「マイナスイオン」、「コラーゲン」、「ゲルマニウム」など多種多様です。

また、浸透圧などの知識もあやふやな人が多いようです。パスタのゆで方、味の染み方など料理をする段階で浸透圧の知識は必須です。

しかし、大半の大人はほとんど覚えておらず、まともに活用できていません。

2.金融関係の知識

新課程では金融教育の充実が謳われていますが、実際には公民や家庭科ではある程度取り扱われていました。

高校公民などでは株式会社の仕組みや株取引の仕組みまで学ぶことができます。

借金や利息の計算に関しても数学Ⅱの対数や数学Bの数列などでは昔から複利計算の問題は一般的です。

「金融教育」とは銘打っていないだけで知識自体は教科ごとに散らばって学ぶことはできていました。

ちなみに高校生向けの金融教育に関しては以前に記事としても書いています。

3.英語全般

中高6年間も英語を習ってきたのに英語を話せません、という人がいます。

そうした人たちは英語の読み書きはできるのでしょうか。

話せないことに対し問題意識を強く持っている以上、読み書きはできているのに話せないという状況でなければ不自然です。

読み書き、特に読みができない場合は明らかに英語の教育の問題ではなく、個人の学習への取り組みの問題でしかありません。

中学校の単語と文法知識があれば英語の説明書の内容の大半は問題なく読解可能です。わからない単語は調べればすぐ出てくるため、難しい単語以外は全く問題がないはずです。

また、話すのが苦手な人の大半はそもそも英語で会話をする機会を日常的に持っていません。会話の機会があれば、事務連絡や挨拶と天気など軽い雑談は義務教育レベルの英語力で十分可能です。

4.健康栄養学の最低限の知識

タバコや酒の類に関してはさすがにリスクを説明する場面も多いため、保健や家庭科で習っていますがそれとは無関係に知識としては浸透しています。

しかし、それ以外の栄養学的な食品に関する知識は怪しい人が多いように感じます。

素麺のカロリーが高いことを知らない人は結構多く、ダイエット食と信じている人さえいます。

しかし、小麦粉のカロリーや消化の良さを考えれば炭水化物の中でも肥満原因になりやすいことは、学校の学習だけでも明らかです。

本当は教えている「○○を学校教育で教えるべき」こと

実際のところ、単独で単元設定が教科内容や教科書そのものに書いていることはそれほど多くありませんが、教えるべき、という内容の多くはすでに学んでいるのです。

にもかかわらず、そうした主張をする人たちは明らかに自身の勉強不足を吹聴しているに過ぎないように感じます。

学習指導要領や教育課程は大体10年で刷新されていますので、市井の人たちが考えるよりもずっと学校教育の内容自体は現代社会の変化に対応できてはいるのです。

おそらく、今後も社会問題化していくたびに「○○」の中に新しい言葉が入っていくでしょう。

しかし、それらをどれだけ増やしても「○○を学校教育で教えるべき」論者は満足しないでしょう。

彼らはしかるべき時に、しかるべき場所で学ぶ機会を得たにも関わらず、学ばなかった人たちです。

そうしたかつての自分への引け目から、常に学んでいない被害者のふりをし続けるしか自分を慰める手段がないのかもしれません。

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