見出し画像

高校生の金融教育に効果はあるか

新学習指導要領では、高校家庭科で金融教育が行われています。

これまで、日本においては教育の場で金融に関して扱うことは少なかったように思います。

また教員も金融などの知識に乏しく、そもそも教育現場で「お金儲け」の話をすること自体に否定的な向きもありました。

しかし、その状況は変わりつつあるようです。

日本経済が下降し続ける中で景気打開策の一つとして市場にお金を回すために、株式取引などをより多くの国民に奨励することが求められています。

この大号令の下に、教育の場に金融の概念を持ち込んだことは大いに評価できるのではないかと個人的には考えています。

ただ、実効性があるのかどうかは…かなり怪しいでしょう。

教える側の教員の意識の問題

残念ながら、教える側の教員の問題がまず大きいように感じます。

学校の教員のその多くは公立学校の教員であり、公務員です。

教員は公立学校共済組合に加入しており、年金や退職金など様々な恩恵を受けています。

これは民間の厚生年金などと比較して、かなり恵まれた社会保険制度です。

したがって、わざわざ金融に手を出さずとも給料を積立に入れて定年を迎えるだけで、十分な老後資金は確保できます。(今のところは…ですが)

また給与自体も大都市の大手民間と比較すれば劣りますが、地方の中小企業よりはよほど恵まれた給与体系です。

ちなみに私のような私立学校の教員も、公立ほどではありませんがそれに近い給与体系や社会保障制度に加入しています。

そのような待遇の人間が金融教育に対しどれほど熱心に、あるいは身近なこととして話をできるでしょうか。
(そもそも公務員や教員志望者の多くは、経済的安定を求めた志望理由にあるのではないでしょうか)

これは教員の待遇を批判したいという話ではなく、金融教育との相性が極めて悪い職種が教員であるということです。

そしてその状況での金融教育の実効性には疑問符が付きます。

学校では教えていなかったからできないのか?

テレビなどの番組で、学校ではこれを教えてくれない、あれを習っていない、といった内容のものを見ることがあります。

しかし、大半の場合は習っているのに覚えていない、身についていないのが実情ではないでしょうか。

カード破産やサラ金などの危険性について、家庭科では教科書にも載っています。

利息計算などは、数学の教科書でも扱われています。実際に練習問題としても計算させます。

怪しげな水素水の話に騙される人は、化学の授業を受けていなかったのでしょうか。

実は実生活において、必要な知識や判断基準の多くを学校教育では扱っているのです。

しかし、自身の不勉強や学習不足で覚えていないにも関わらず「習っていない」と言って学校教育の責任にしているだけなのです。

根本を変えなければ教育内容を変えても効果は薄い

学校で習っていないことが問題なのではなく、無責任に誰かが与えてくれると口を開けているだけの態度がその根本の原因にあります。

もっと顕著な例は、英語教育に関してです。

中高の6年間に渡って英語を学習する環境にいたのに、教育の責任にして英語を話せない、読めない、書けない原因を教育のせいにしてきたのが私達の社会です。

英語で話す機会はいくらでも作ることができるのに、英語のコンテンツは日本語のそれの何十倍も存在するのに、自分では全く活用せず、他人のせいにしてきたその無責任な態度を改めなければ、小手先のカリキュラム変更などは焼け石に水でしかないように感じます。

とはいえ、この無責任性は長期的な課題ではありますが、短期的に解決するものではありません。

まずは、教員が自分の舌で金融について語ることが重要なのだと感じます。


ということで、まずは自分自身がNISAなど様々な金融商品の知識を身に着け、比較検討し、挑戦していきますか…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?