読書ログ 『科学がつきとめた「運のいい人」』
どんな本?
脳科学者の著者が、「運の良い人」(≒成功を手にしている人、幸せに暮らしている人)の行動の特徴と、その背景にあるロジックに対して科学的な解明を試みた本。メンタルが終わっていた自分が自己肯定感を高めて前向きさを保つ方法を探していた時にブックカフェで出会い、そのまま購入した。
要するに自己啓発本なのだが、運の良さという一見どうしようもなさそうな事象を科学的に捉えている点が面白い。運は神が選ぶものではなく人の心持ちによって好転させられる、というのが本書の主張で、気持ちの切り替え型に関するTIPSはもちろん、「ランダムウォーク的に起きたことにいちいち心を動かすのは無意味だしもったいない」という考え方の引き出しを持てたことは自分にとって大きいと感じた。
おすすめ度
★★★★★(この本の考え方を知っているだけで人生得しそうだが、その割にとても読みやすいため)
こんな人におすすめ
物事を要領良く進められないと感じている人
他人の目が気になってしまう人
30代になって「仕事が全て」という考えがしんどくなってきた人
学びメモ(自分の意見には★)
運がいい人の特徴
運・不運というのは誰の身にも公平に起きていて、その運の活かし方に対して人は主体的に関わっていける
例えば、運が良い人というのは単に恵まれているのではなく、運を掴み、不運を防ぐような行動、物事の捉え方、考え方をしている
運がいい人は「世の中の常識よりも自分の価値観を大切にし」「自分を丁寧に」扱っている。その結果、「他者を思いやる余裕」もある。それが結果的に人や物事を呼び寄せ、運がいいように見える。総じて言えば、よりよく生きている
★今までは、頑張った矢先に自信と余裕が生まれ、結果的に「より良く生きれる」のだと思っていた。でも、頑張っても自信や余裕も生まれなかったり、そもそも頑張るためのエネルギーとなる自己肯定感がもてない場合、このロジックは破綻してしまう。人生の節目である今、本書を読んで「先に”より良く生きること”を持ってくる」という感覚が頭に湧いてきた。仕事に集中する(追われる)時間をあえてカットして「より良く生きる」ことが結果として自信やエネルギーを産むから頑張れ、魅力的な人となり、結果的に「さらにより良く生きれる」ということなのだと思う。
今の自分を活かす
自分を変える努力をするのは間違い。ものすごい遠回りになる
★自分の欠点や機会を簡単に変えられると思わないこと。自分にそんなに期待しない。
自分を受け止め、最大限活かすことを考える。世間の照準に合わせる必要はなく、一番大事なのは自分。その自分が幸せになる条件を理解して活かす。これが運の良い人になるための絶対条件である
★つまり、「自分が変わること、何かを達成できること」に過度に期待しない、ということだと思う。「自分ってこういう性格だし、誰がなんと言おうとこんなもんだよね」と思えるのが強い。麻雀プロの伊達ちゃんは、エッセイからも「自分は面倒くさがりで人見知りで外に出るのも苦手だから、本当はこういう活動したいけど、まあ続かないから無理だよね」などと割り切ってる感があり、参考になるなと思った。また明石家さんまは「自分が何かをうまくできなくても、”今の自分がベスト”って思ってるから、それでできないんだからしょうがない。周りに色々言われるかもしれないけど、これ以上どうしようもなかった、と思うようにしている」みたいなことを言っていて、自分に自信を持ちつつも期待しない絶妙なラインを行っていてこれまたいい考え方だなと思った。
自分を大切に扱う(今の自分を活かし、ポテンシャルを最大限発揮するために)
自分で自分を好きになれるよう、上等なカップを使い、食事はコンビニではなくおいしいものを自分に食べさせてあげる、自分自身に心を配る。自分自身にかまう
他の人から大切に扱われるようにし、周囲と良好な関係を築くためには、まずは自分で自分を大切にする必要がある
★どのスイッチを押せば、自分で自分を好きになりそう?
身の回りの環境をきれいに保てている(掃除とか整理整頓とか)
やりたいと思っている勉強や読書を消化できている
続けると決めたことを続けられている
かっこいい身なりで、スタイリッシュな暮らしをできている
Youtubeやゲームを自制し、外の世界に目を向けられている
昨日に対して何らかの進歩や成長を感じられている
(上記の結果として)男性・女性の両方からモテている、尊敬されている
自分なりの「しあわせのものさし」を持つ
一般的な価値観や他人の意見に惑わされず、自分の価値観で自分なりの幸せを把握することが重要
他人の尺度ではなく、自分の尺度で行動する。自分が心の底から「心地よい」「気持ちいい」と思える行動をとることを最優先する。そうすれば、他人がどう思うかは気にならなくなる。
運の良い人は、自分のものさしではかった自分が心地よい瞬間を、積極的に作り出せる努力をできる
これがなぜ運の良さに結びつくか?
自分を心地よくさせる行動が取れている=脳の報酬系をうまく操れている→自分の今に満足できているので、あるがままの自分を受け入れ、好きでいられている→常に「快」→「もっとこうしたい」みたいな攻めの姿勢がなく周りも「快」になる→人を惹きつける
社会のルールよりも自分ルールが上!
★たかさんが言っていた「自分を許してあげたら?」「Vodkaじゃない人が話してるような気がする」という意味がやっとわかった。自分は自分の幸せ物差しよりも他者のものさしで動いていたから窮屈だったし、自分を許すことができていなかった。たかさんが言いたかったのは、自分のものさしで自分ファーストを意識すればいいのに、ということだったんだ。
自分を大切にするには、いい加減さが大事
「真面目な人」は自分を殺して周りに合わせることができてしまうので、かえって「他人から殺され」やすくなってしまう
逆に「いい加減な人」は自分の価値観で行動できてしまうので、自分を大切にするのがうまい。さらにいい加減な分、他人にも寛容になれる。
真面目を「隠れ蓑」にして自分を蔑ろにしてないか、自分の価値観を見失ってないか、世間の価値観に縛られてないかを自問自答すべき
★大半の人は、「周りから顰蹙を買うのが怖いから社会では自分を殺してみんなに合わせよう」と思っているはずなので、逆張りする価値がありそう。無意識に「真面目」に生きすぎないように、勇気を持って自分ファーストで生きることを意識したい
主観的な「面白さ」を追い求める効用
正しいと思うことを渋々やるより、面白そうと思えることを嬉々とした気持ちでやる方が人は幸せでいられる
幸福を主観的に感じている人は、感じていない人よりも5年後死亡リスクが35%低いという研究結果がある
幸福が生存に影響するのは、心の調子によってバランスが変わってくる免疫系の物質(例:ナチュラルキラー細胞)があるから
ナチュラルキラー細胞はウイルスに乗っ取られた細胞や癌細胞を殺す役割がある
また、インターロイキン6という痛みや炎症の度合いとなる物質が、幸せであるほど分泌されにくくなる
さらに、面白さを基準にするとドーパミンが分泌されやすくなり「やる気」がアップする。
★自分は「面白さ」「カッコよさ」を判断基準にしていることは前から自覚しているので、よしよしと思った。一方で大人になって社会的な場面ではおもしろさを排除してしまうことや、それ以上に規範に怯えることが多いので、そうなっている自分を自覚してあげたい。
「自分は運がいい」と認識し、セットでプラスの自己イメージを持つ
運がいいと思っている人には努力の余地が生まれるが、運が悪いと思ってる人は「自分はこんなに頑張っているのに運が悪いからダメなんだ」とその余地が生まれにくい
★「感謝」に近いと感じた。今の自分があることに感謝したり、今の自分がベストなんだと思えていれば、自然と「運がいい」とか「それでも失敗するということは自分に足りてない部分があるんだ」と思えるはず
さらに、根拠のない自信を持つ。例えば「自分はこんなことができたんだから、次のプロジェクトもきっと成功させられるはずだ」とか。
★前職の先輩が言っていた「根拠のない自信を持て」というのはここにつながってくるのか!!
★意外と、「自分を肯定してくれる人」「自分を尊敬してくれている人」とあってエネルギーを補給することが大事なのかもしれない。自分都合で呼び出すのは気がひけるけど。
★後、自分に多くを求めたり期待しすぎないのも大事だと思う。自分へのハードルが高いほど、「これしかできてないんだから自分はクソだ・・・」と思ってしまいがち。いい加減な気持ちで「これができてるんだから自分はいけるっしょ」って思うためにも、自分に課すハードルをめちゃくちゃ低くすること。
「ミラーニューロン」の活動を利用して、運がいい人やプラスの自己イメージを持てている人と一緒に過ごすのも有効
早寝早起きをする
ととのった生活をすることでしあわせ物質のセロトニンを分泌させ、規則正しい生活によって体を健康にするメラトニンを分泌させる
利他行動の効用
利他行動を取ると、自分が良い評価を受ける喜びに加え、ミラーニューロンが相手の喜びも自分のことのように感じてくれるので、二重に喜びを感じることができる
上記のロジックから、「他人に配慮できる人ほど運がいい」という研究結果すらある
利他的であればその分ネットワークが広がり、磁石のように人を引き寄せる
不安との上手な付き合い方
不安を抱え込みすぎると余裕がなくなり、他人を素直に褒められなかったり、自分の不安やそれに気づいてくれない人たちに不満をぶちまけたりしてしまう
①不安を感じにくくしたり、②不安になってしまった時の対処法を知っておくことで、心の平穏を保つことができる
セロトニンの分泌量が増えるような生活習慣(早寝早起き、適度な運動、リラックスしたお風呂タイム等)を維持する
不安は「生理現象である」と割り切る
不安は不安を呼んで悪循環になりやすいので、割り切ることで断ち切ってあげる
不安の捉え方を工夫する
不安によって努力できたり、備えたり、工夫したりできる
自分を前進させてくれるありがたいものとしてPositiveに捉える
不安を箱にしまってしまう
「自分はいま不安を抱えているな」と斜め上の自分からメタ認知してみる→★これはEQの本でもよく出てくる方法
とりあえず不安を箱にしまって今日は寝ちゃおう、くらいの余裕を持つ
朝起きたらその不安はなくなっていることも多い
具体的な目標を持つ。目標設定や達成の判定は全て「自分のしあわせものさし」で行う
具体的な目標によって、人は好奇心を持ち、創意工夫をし、諦めない心を持って前に進めるようになる。明確な目的を常に忘れない
★例えば所ジョージさんとかいいよね。自分の幸せを追い求めた結果、人にも優しくなり、人がついてくるような典型
目標設定・測定は、自分のものさしで決める。そしてそれが世間の価値観とズレていても気にせずブラさない。
ブラさないためには、自分のものさし・価値観を明確に理解する必要がある。でないと自然とステレオタイプに流されてしまう
さらにそれを「夢」として昇華させておけば・・・
受け身でない工夫した人生を送れるようになる
それを達成するためにアンテナを広く張れる
脳は「報酬を期待しているとき」こそ快を感じる、という性質がある。したがって、夢を実現した姿をイメージすることでドーパミンが出る。結果として行動が促される
★自分のドーパミン量をうまくコントロールできたら強いんだろうなと思う。夢を持ってワクワクできる余白を作るためにも、「自分ファースト」を貫きたい
「これぞ」と思ったゲームからは、負けても降りない
JKローリングの人生は苦境の連続だったが、小説を書くことだけはやめなかった結果ハリーポッターを生み出せた
★自分の場合は、英語を使えるようになりたくて転職したのだから、どんなにできなくても冷たい目で見られても、英語を頑張るというゲームからは降りないようにしたい
Next Steps
自信・自己肯定感を維持するために「自分を大切にする」以下の行動を取る
偉人の真似をして早寝早起き
身の周りをきれいにすることを仕事よりも優先して生活する
勇気を持って仕事を早く切り上げて、家事と勉強
10分運動する時間を欠かさない
仕事の憂鬱の種である「英語」「プレゼン資料作成」の研鑽を自由時間に行う
人生をうまく過ごせている自信を持つために、「お金(貯金・投資・税・家など)」や「労働」に詳しくなる
自分に期待しない。自分を認めるハードルを超下げる
気のおけない友人と過ごす時間を増やす
妻と月1高級ディナー
「自分のしあわせものさし」を満たすことを最優先に生きる ことを信条として意識する
親と笑って過ごす時間を積極的に取りに行く
こうした自己啓発は、自分がポジティブに一歩を踏み出し成長するための手段であって、目的ではないということを忘れない。こうやって生まれた時間でさらに自己啓発の本を読んで気持ちよくなる、なんてことは本末転倒であることを自覚する。気持ちを保ちながら仕事や勉強に勤しむのが目的。
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