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2023/5/15週|マーケティングの組織づくりの方針について:考え、実践していること

最近、「複雑なシステムにおいてベストプラクティスは役に立たない」という主旨の記事を読みました。(Best Practices are Useless in Complex Systems

これは自分自身の振る舞いも含めてなのですが、思考のとっかかりとして、あるいは同質化の意思を含んだものとして、過去の事例やそこを多少抽象化したベストプラクティスを求めるきらいは、仕事をする中でよくあることと思います。

上記の記事はこうしたベストプラクティスを求める危険性について指摘をしています。(前提として複雑な状況におかれていることがあります。)

今日はこの記事の理解をした上で、タイミーのマーケティング組織の構築方針について考えて実践していることを少し解説してみようと思います。

ここ数年、私たちが学んだことは、変革とは一瞬の混乱ではなく、持続的な進化のプロセスであるということです。

記事より一部引用させてもらいます。

・ベストプラクティスは、定義上、過去の実践である。
・多くの組織のリーダーは、特に不確実な時代において、「業界標準」の戦術に依存したり、戦略の指針となる「ベストプラクティス」を求めたりしています。ベストプラクティスの魅力は、過去に良い結果をもたらしたからであり、ある領域では価値を提供してくれるからです。しかし、テクノロジー、情報、顧客の期待が加速度的に進化する相互接続の進んだ世界では、過去の実績から得られる知見は多くのシナリオですぐに無意味になり、さらに悪いことに、優先順位を混乱させ、意思決定を妨げ、イノベーションを阻害する赤信号となってしまう。
・ここ数年、私たちが学んだことは、変革とは一瞬の混乱ではなく、持続的な進化のプロセスであるということです。曖昧さは克服すべき障害物ではなく、私たち全員が泳ぐ水である。なぜなら、私たちは未来をコントロールすることはできません。
・複雑なシステムは 、自己組織化創発を特徴とします。つまり、全体の挙動が部分の挙動の合計とは異なる場合です。ベストプラクティスや業界標準に根ざした戦略は、意図的ではあっても、安定した環境を前提としています。しかし、複雑なシステムは、ダイナミックで予測不可能です。数年前に組織でうまくいったことが、今日はうまくいかないかもしれない。また、競合他社が今やっていることが、あなたにとって必ずしも有効とは限りません。
・銀の弾丸、奇跡の治療法、秘密の通路、魔法のパスワード、歴史の流れを変えるたった一人のヒーロー。伝説的な考え方はわかりやすいしシンプルだが現実にはありません。

https://medium.com/topology-insight/best-practices-are-useless-in-complex-systems-f7797a12071 より

より効果的な戦略とは?

複雑な領域をナビゲート(またはエクスペリエンスをデザイン)する場合、業界標準や専門家の知恵による単純な問題解決方法を捨てて、より効果的な戦略を採用しましょう:

▶︎①多様な視点
複雑な領域では、創発的な行動を十分に理解し対応するために、多様な視点と経験が必要です。部分的な分析に頼った問題解決や、特定の専門家のモデルを上位に置くのではなく、状況に異なるレンズを適用し、感覚的な判断と意思決定プロセスに組み込む。

▶︎②実験
複雑な状況では、どんなに注意深く分析しても、深い専門知識をもってしても、特定のデザイン介入やその他の「解決策」の結果を予測することは不可能です。実験によって、あらかじめ決められた行動指針に縛られることなく、継続的な学習と適応が可能になり、面倒なことやコストがかかることもありません。学習を加速させるために、リアルタイムのフィードバックループを備えた、より軽く、より速く、より分散した介入を追求する。

▶︎③学習ループ
システム動作の最も重要な側面の1つは、その中でいかに効果的に情報が流れるか
であり、フィードバックに必要なインフラ(人間および非人間)を確立することは、適応的学習組織の重要な戦略である。

▶︎④仲介者の排除(ディスインターメディエーション)
これは、行動に必要な情報と、それを必要とし行動する人々との間の距離を縮めなければならない、ということを言い表したものです。複雑なシステムにおいて、従来の意思決定階層は、抽象化の層を作るだけで、効果的な行動を遅らせるだけでなく、子供の電話ゲームのように、ノイズや解釈をもたらす。複雑なシステムでは、意思決定権を分散させることで、観察されるダイナミクスをより効率的に理解し、それに対応することができます。また、サイロやコンテキストを超えて人と人をつなぐインフォーマルなネットワークをサポートすることで、ネットワークの集合知を活用します。

https://medium.com/topology-insight/best-practices-are-useless-in-complex-systems-f7797a12071 より

タイミーのマーケティング組織づくりの方針

仕事をしている中で作る "モデル" (ここでの「課題と対策」という形をとる場合もあれば、システム構造を図示したもの、回帰分析など、いろいろなものを含んだ意味として用いています)と呼べるものは、複雑な世界をシンプルに切り取ったものと認識しています。それにより一部にはスポットライトが当たっていますが、当然捨象されている部分があるものです。

ベストプラクティスは「過去に良い結果をもたらしたモデル」と言い換えられます。
状況の変化が激しい、すなわち相対的に複雑な状況にあるスタートアップにおいてはベストプラクティスのはまりが必ずしも良くないケースがあると感じています。
となると、ベストプラクティスにガチガチに縛られるよりは、「柔軟性を是」としておき、ベストプラクティスと呼ばれるものを採用したり捨てられる状態にしておくことが重要なのではないかと、実際の仕事をする中で考えるようになりました。

組織づくりにおいてこうした考えを今年の2月に言語化し、社内で共有しているものが下記になります。(偶然かもしれませんが上記の4つの戦略の要素とほぼ一致していると感じます。)

詳細は抜いて、大枠の方針だけ抜粋して記載します。

ここから ===============

組織づくりのコンセプト:”ギルド的な組織”

ギルド組織とは「中世より近世にかけて西欧諸都市において商工業者の間で結成された各種の職業別組合」であり、意訳すると「得意(専門性)を持った人たちが集まり、一人ひとりの裁量を尊重しながらも、チームとして仕事を創る集団の総称」。

具体的には下記のような大方針を設けています。

🎩アップグレードし続ける個々人の力を活かして事業成長をドライブする

🎩柔軟性を是とし、業務内容が過度に固定化するような組織化は行わない

🎩無闇な階層は設けない

🎩異能を集める

ここで言う “異能” というのは専門性(スキル)以外の7つのスキルもそうですし、そもそも持っている性格等も含みます。 すでにjoinいただいている皆さんはそれぞれの異能を活かしながらご活躍いただくことや相互にインプットをするなどを役割期待のベースに込めています。

=============== ここまで

①多様な視点|②実験|③学習ループ④仲介者の排除(ディスインターメディエーション)|
と、
異能|固定化するような組織化は行わない|アップグレードし続ける個々人|無闇な階層は設けない|
あたりに個人的には共通項を感じます。

もちろんこれが正解というわけではなく、これ自体も柔軟性を保ちながら見直していく可能性が高いです。あくまで現時点と捉えていただければ。

ちなみに、マーケティングのプロフェッショナル職に求める7つのスキルに関しては下記で公開していますのでご興味あればご覧ください。

今週はこの辺りで…お読みいただきありがとうございました🙇‍♂️

📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
タイミーは、すぐに働けてすぐにお金がもらえるスキマバイトアプリです。

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