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2023/2/6週|平均にあって、ユニークにないもの
どんな仕事でもそうかもしれませんが、マーケティングの仕事においても、よく「ベンチマーク」「他社事例」あるいは「ベストプラクティス」というワードを見聞きします。
今週は以下の記事も読んで「ベンチマーク」というものの魔力と怖さを感じたのでその点をメモしてみます。
参考記事:
ベンチマークについて
まずここでの「ベンチマーク」の定義ですが、下記を引用させてもらいます。
ある事柄について最も得意とする競合他社が何をしているかを探り、それとベンチマーカーの現在の行動とのギャップを特定する分析手法である。この手法では、競合他社を「ベンチマーク」として定義することもありますが、より多くの場合、リードグループの共通のベストプラクティスを特定することが必要です。
広告会社で働いていたときに、例えばTVCMの使い方について、クライアント企業の競合についてスタディして提案書の中に盛り込むことがありました。
1社のみならず複数社見ていくと、そこに浮かび上がる共通性があり、、それはとても魔力を秘めているんですよね。
というのも、担当のプランナーとしては、ゼロから考えるコストを省略できるし、説明しやすいですし、すでにある実現可能性の高い道筋なので、クライアントの納得感も得やすい。(えてして、見たことないものよりも「xxxみたいなやつ」の方が理解できて不安がないものです)
他方で競争戦略という観点からその行為を眺めると、上記の記事にも出てくる通り、ベンチマークは平均へ回帰させる行為でもあります。
遅れをとっている場合には有用だが、、
仮に競合他社に比べて遅れをとっていると思われる場合には、ベンチマークは有用さもあります。
限られた時間の中で追いつく(平均に回帰する)、負けない、という観点で見たときにはベンチマークを目標と置くことが手っ取り早いです。
しかしながらこの発想にもやや問題がありそうです。
今週以下のツイートに「耳が痛い…」という共感を数多くいただきました。
『忙しすぎる』ということは、あなたの個人戦略が最悪であることを意味する:
— 中川 祥一|タイミー|CMO (@sho1nakagawa) February 8, 2023
・知識経済における本質的な生産単位は人間であり、1日のうちで生産できる時間は限られている
・個人が組織全体のボトルネックになることもあり得るので、知識経済においては、個人の戦略が非常に重要
・つまり、(続
限られた時間の中で、自分の能力を発揮して、組織に不釣り合いな価値を生み出し、勝利をもたらすことができる仕事を、慎重に選択する必要がある。そして、これは自動的に行われるものではないので、継続的に行うための個人管理システムが必要
— 中川 祥一|タイミー|CMO (@sho1nakagawa) February 8, 2023
この記事に関連して特に考慮しておくべき重要なポイントの一つは
・知識経済における本質的な生産単位は人間であり、1日のうちで生産できる時間は限られている
という部分です。
つまり、競争に遅れをとっている時にベンチマークを活用することはいろいろなコスト(戦略立案コスト、説明コスト、内容理解コスト、実現可能性検証コスト、実現までにかかる時間コストなど)をカットできる反面、そこに限られた時間や費用を使ってしまうことになります。
ベンチマークは平均への回帰ですから、ROIの最大値は平均です。
したがって、何らかの意味で「勝利」を目的に置いている場合は、ベンチマークを活用する意思決定が適していない、ということを戦略立案の際に念頭に置いておく必要があります。
また、「ひとまず平均へ至ってから勝利のための行動を考える時間にしていく」という考え方もあると思います。
その場合は以下のポイントを考慮しておく必要がありそうです。
❶競合他社も移ろい行く:
自社がベンチマークを置いて投下している間に競合も同じ時間があります。したがって、ベンチマーク自体が動いている可能性があります
❷平均まで、と、平均から、は異なる思考:
前者が含むのキーワードは、連続・線形 あたりでしょうか。
他方で、後者のキーワードは、非連続・非線形 かなと思います。
同じ資源で全く異なるアウトプットを生み出すためには、連続的な思考の積み上げから離れる必要があり、頭の使い方を変える必要があります。
実際の仕事は人間がやるもので、それぞれ得意・不得意がありますし、ベンチマークでない方は産みの苦しみや説明コストなどがあるので、担当している人たちの熱意みたいな部分もより重要なはずで、肌感覚的には平均まで持ってきた同じ人たちが担当する場合にはここがややハードルになりそうと思います。
ユニークな戦略選択こそが、最大の報酬を得るための勝利への道なのです。
今週の学び
ベンチマークは「倣うもの」ではなく「なるもの」
今週はこの辺りで。お読みいただきありがとうございました。
📓この記事について
株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
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