OpenTableの元CEOで、ベンチャーキャピタル大手Andreessen HorowitzのゼネラルパートナーであるJeff Jordonが、過去書いた「Hire a CMO(CMOを雇う)」というブログを読んだので、その要旨をまとめつつ、感じたことを言葉にしておきたいと思います。
CMOに求める役割の違いは何から生じるか
まずこのブログの中で指摘されているポイントをまとめると以下のようなことです。
やや長いのでいくつかに割りながら。
まずCMOの役割について。
上記のようにtoC向けのサービス・製品を提供しているか、toB向けのサービス・製品を提供しているかでもCMOの役割は変わりますが、そうしたドメイン以外にも企業が必要とする "マーケティングのタイプ" によっても求めるCMOが変わると指摘しています。
CMOを採用する上で考慮するべきポイント
経営者(CEO)として、CMOを採用する上での大事なポイントとして以下を指摘しています。
参考までに、過去の経験からマーケティング組織に必要な機能を追加する順番にリストアップもしています。(以下では引用していないが、原文ではその他のコアな機能としてプロダクトマーケティングも指摘しています)
実務として役割を担う中で感じること
さて、上記も踏まえ2023年現在CMOという役割を担わせてもらっている中で感じたことを以下でメモしてみます。
企業向けか消費者向けかの違い
現職のタイミーは Two-sided platform(両面性市場) という構造であり、1社にいながらtoB領域もtoC領域もある点が特徴です。
ゆえに、ここの違いをダイレクトに感じている部分があり、求められる役割を十二分に果たせているかはさておき、Jeffさんの指摘通り、提供しているサービスや製品によって、(重なる部分も一部ありますが)求められる役割の多くは異なるというのが自分の実感です。
この辺はマーケティング関連職の経験がない方の場合は中々実感が湧きづらいところかもしれません。例えば上記のような「マーケティング組織に追加される機能」というレベルで見ると共通項も多いように見えるとは思うのですが、他方で、toBとtoCで顧客の意思決定プロセスや接点、社内で関わる部署、クリエイティブの作り方も異なるので、特にタイミーに入った初期の頃は並行学習をしている感覚でした。
アートが得意なCMOとサイエンスが得意なCMO:
広告代理店時代に長くお世話になった部署のコンセプトが一時期「アート × サイエンス」だったことを思い出しました。このコンセプトが示すこととしては、同じ部署の中にデータアナリストやプランナーのような定量的なアプローチを得意とするメンバーと、クリエイティブディレクターやアートディレクターのような感性的なアプローチを得意とするメンバーを取り揃え、チーム化し、クライアントに価値提供をしていこうという志向です。
自分は定量的にリサーチやデータを使いながらコミュニケーションをプランニングをする役割として働いていましたが、時々サブワークのような形でクリエイターの方達のブレストに混ぜてもらって提案したりしていました(この辺の役割の柔軟性を認めてくれるところが愛すべきところでした)
時が経ち2023年。
CMOという役割を担う中で、図らずもアートとサイエンスの両面が求められる(例えばブランディングとパフォーマンスマーケティング)環境にいながら自分も同じような組織を構築しつつあるのが、経験を積み重ねた意義も感じられて少々エモいです。
ポイントとしては、代理店の時も現在もアートとサイエンスを1人の人間で体現できるのは稀なので、チーム作りで担保することが重要ということです。
CMOとしてフィットするための心構えについて:
上記のJeffさんの文章から、一口に "CMO" といっても、サービス展開領域(toB/toC)やフェーズ、求められるマーケティング等によってフィットする人物像や経験が異なってくることは理解できるのではないかと思います。
例えば特定業界のベテランマーケターになると同業界の知見が深くなるが、それがそのまま別の環境で活かせるかというとだいぶ新たな学習が必要、というのが自分の経験からの意見です。(特に学習が必要なものの例が、toCとtoBの違い、ドメイン知識、時と共に変わりゆくハードスキルあたり)
そんな中で、なるべくどんな環境でもフィットして価値を出すために必要なことは何かというのを考えた時に浮かんだのは以下のことでした。
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CMOという役割を柔軟に担う上で求められるのは、時に相反するもの(アートとサイエンス・全体と部分・傾聴と自己主張 etc.)への受容性を持ちながらさらに能動的に学ぶことができること。
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得意を伸ばす、だけに偏ってしまうとこの点から離れてしまうことになりかねないのでたまに内省しながら考え続けたいところです。
📓この記事について
株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
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