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2023/4/3週|現代のマーケティングを担うために求められる6つのコンピテンシー
前回の記事にて、自社で設定しているマーケティング職として役割期待を満たすために磨き上げてほしいスキルセットを紹介しました(『マーケティングのプロフェッショナル職に求める7スキル:2つの共通言語と5つの抽象スキル』)
ちょうど今週関連テーマに関するマッキンゼーの記事を見つけたので、その記事を参考にしつつ、別の角度からマーケティング職に求められるスキルについて考えてみたいと思います。
▶︎参考記事:
Modern marketing: Six capabilities for multidisciplinary teams (現代のマーケティング:多職種連携チームのための6つの能力)
人はもはや一つのことだけに長けていることはできない
まず、現代のマーケティング組織が置かれている状況について、下記のように述べられています。
・今日のマーケティング組織はより少ない人数でより多くのことを行うことが求められています
・1ドルでも多くの価値を生み出すためには、顧客とのあらゆる接点において、よりパーソナライズされた有意義な関係を構築する必要があります。これを成功させたリーダーは、マーケティング費用の効率を10~30%向上させ、企業収益を2~3%増加させることができます。
・効果的なモダンマーケティングを実現することは、依然として聖杯のようなもの(実現することは非常に望ましいが、達成が困難である。成功への道は明確ではなく、多くの試行錯誤や継続的な改善が必要であることを示唆)
上記のようなモダンマーケティングを実現する上でマーケター・マーケティング職について主張されているポイントは下記でした。
・今日のマーケターは、その分野の達人であると同時に、あらゆる分野の専門家である必要がある
・また、これまでの能力ではもはや十分ではありません。現代のマーケティングで成功するためには、プロフェッショナルは幅広いスキルセットを身につけ、コラボレーションを優先しなければなりません。
・マーケティングは、ある特定の能力だけを強化しても、組織全体で構築しても、変革することはできません。6つの能力すべてが不可欠です。
上記のようなものが欠けている時に起こることの例がいくつも挙げられていますが抜粋します。
・従来のマーケターは、データサイエンスが重要であることは知っていても、それがより良い意思決定に役立つことを十分に理解し、信頼し、評価していない。アンケートやフォーカスグループなどの定性的な消費者調査だけに頼り続け、豊富な行動インサイトを失っているのです。
・パフォーマンスマーケターは、木を見て森を見ずです。データサイエンスや測定モデルに精通していながら、すべてをマイクロ最適化で解決できると考える罠にはまり、ブランド構築の価値を軽視してしまう。
続いて、具体的な6つの複合的なコンピテンシーが紹介されています。
❶顧客中心主義(customer centricity)
マイクロセグメントレベルで顧客のニーズと行動をデータに基づいて深く理解することが、あらゆるマーケティングキャンペーンとマーケティングの意思決定につながります。
❷フルファネルマーケティング
ブランドの認知、検討、購入をターゲットにしたキャンペーンは、それぞれ別個のものではなく、協力的で補完的なものです。
❸アジャイルオペレーションモデル
動きの速いクロスファンクショナルチームから得られる学びは、マーケティング組織全体の意思決定に反映され、最適化は通常業務にスケールアップされる。
❹マルチチャネルエクセレンス
拡大するプラットフォーム、アプリ、チャネルに関する詳細な知識は、計画プロセスの重要な部分であり、メッセージ、オーディエンス、製品の選択に最初から情報を提供します。
❺測定(Measurement)
テストと測定は、すべてのキャンペーンとチャネルで行われます。このようにして、即時のアクションを最適化するだけでなく、認知度向上、エンゲージメントの深化、顧客生涯価値の強化など、長期的な影響も与えることができます。
❻顧客データ、マーケティングテクノロジー(Customer data and marketing technology)
データ分析、意思決定、設計、配布、測定などの重要な機能が、ビジネス目標を推進するために常に進化し続ける技術スタックで自動化されています。
感想メモ
ここで触れられているものは前回紹介した7つのスキルの中では「②専門用語」の中で扱われるもの、あるいは7つのスキルの上位概念として理解しておくべきものと受け取っても良いかもしれません。
内容については、IT業界の事業会社でのみマーケティング職を経験してきている身としては、上記の6つのコンピテンシーについてはすでにある程度手触り感のあるものの印象を受けました。(これは逆に伝統的なマーケティングに関して自分の血肉と呼べるレベルでの経験がないことの裏返しでもあるかと思います。)
❶の顧客中心主義は今も昔も変わらずですが、行動データを基軸に幾つかのセグメントに分け、それぞれに合わせたコミュニケーションを設計した方が顧客体験上も良くなりますし、それ以前の顧客理解についてもインタビュー等の定性調査のみならず行動からのインサイト発見も日常的に目にする部分です。両方を高速に行き来できることがキーな気がしています。
❸のアジャイルオペレーションモデルはマッキンゼーの定義に対する自分の理解がやや曖昧なのですが、他の記事も見るとおそらく「小規模で機能横断的なチームで、迅速性、回復力、適応性に優れているように設計されているもの」と解釈しました。その意味では、今のマーケ組織の動き方は柔軟性やスピードを是としており、この思想と近い状態なのではと考えています。
❻のマーテックの領域は活動の基盤であり、最近の個人的な関心事です。この辺は設計や運用をしっかり考えてモニタリングしていくようにしておかないと、知らず知らずのうちに組織の生産性に対して負の影響を与えかねないので、どう柔軟性を保ちながら運用・修正を行える状態にしておけるかは検討するべきテーマです。特定個人への属人化という硬直化もあります。
最後に、この記事は、ブランドマーケターあるいは幾つもの事業を展開している大企業を対象に求められる新たなパラダイムを提供している構成になっているので、我々スタートアップのマーケターは逆にブランドマーケターの世界での常識を改めて学びに行く必要があるのではないか、そんな感想を抱きました。
📓この記事について
株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
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