シェア
夕空しづく/詩人・小説家
2021年8月2日 15:16
8月2日月曜日。渋谷で迷子になった。人身事故で遅延した電車。冗談みたいな量の出口。差し迫る予定時間。筋金入りの方向音痴。不安定な精神状態。気温はじっとり33度。あまりに重なった悪条件。地図を見ても全くわからず、パニックになるだけだった。ならば聞こうとしたけれど人々は止まってくれなかった。私はセンター街の真ん中で圧倒的に透明人間だった。どうせわからないならと
2021年7月5日 21:47
可愛くないと殺される街、渋谷。ある詩人が、かつてそう歌った。私は殺されるだろうかと、怯えながら歩くセンター街。学生の頃、早く起きすぎた朝や眠れない夜なんかに、よくスクランブル交差点の定点カメラ映像を眺めていた。この中に自分が混ざる未来と、一生混ざらない未来を想像した。いつか、この定点カメラの前で狂ってみたいと思っていた。結局、混ざる方に人生は動いた。けれど混ざった自分が、こ