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その想いも、悩みも、在り方さえも、ただのありふれた「その他大勢」

 それでも私は特別なものになりたかった。


 このところnoteに来る時間が減っている。単純に時間がないというのもあるのだけれど、休みがあったらあったで、ただひたすら、たいしてためにもならない、ただ楽しいだけの本を読み耽る。そしていつの間にか意識がなくて、気が付けば外が暗い。普段から休みがない時間がないという割には、碌な使い方もできなくて、それならなくても同じじゃないかなと少し思う。

 もともと熱しやすく冷めやすい、最初だけ勢いがよくて、尻切れトンボになっていくのはよくわかっていた。継続もできない怠け者ということをただ再確認する。

 noteが楽しくないわけではない。ただ読んでいると、心が動いてしまう。そしてそれは大体において、前には動かないもので。浸っていられる時間がそう取れないうちは、なかなか読もうと思えず、そのまま少しずつ、間隔があいていく。

 それは書くことさえも同じで、このところ、いい傾向なのか、そこまでどん底に落ちることなく生きている。かといって解放されたような気分でもなくて、決まったところだけを飛び回る、糸をつけられた蜂のような心持でいる。

 悩みというほど悩んでもいないけれど、それでも時折顔を出す、生きていくことについて、考えていること。そして自分に足りないもののこと。変えられないこと、変えたくないこと。前を向きたくないし、足を踏み出したくもない。それでも背中を押されて、生きていること。

 私にとって、私の悩みは、私だけのもので、だけどそれは、少し顔を上げただけで、どこにでも転がっている、ただのありふれた悩みでしかなかった。私だけがと言いたいのに、同じ人はごまんといて、そしてそれを乗り越えてきた人もごまんといる。

 共感してほしいのに、共感できるはずがないという気持ちがどこかにある。これが私なんだと叫んでも、ああ、いるよね、そういう人、わかるよ、その気持ち、と言われてしまう。仲間がいることを喜ぶべきなのか。理解者に感謝をするべきなのか。

 結局のところ、ただ平凡で、ひたすらにありふれているだけだった。今日もどこかで誰かが、きっと同じことを考えているだろうし、そしてきっと同じように明日を迎える。そしてそのありふれた思いに足を取られすぎて、前に進めなくなっているということさえも、ありふれたことでしかなかった。

 考えない。突き詰めない。そんなもので特別なものになれるわけがない。わかっているくせに、この苦しみは、私だけのものだと、駄々をこねるようにして、その場から動けない。そうして顔を上げたとき、私一人ではないことに気づいて、また、うんざりして、顔を伏せる。

 けれど私がそばにいたいと思う人たちは、みな一様に、輝いて見えた。そこにあるものを、培ってきたものを、積み上げてきたであろうものを、抱えて、進んでいく。埋もれている私からは、とてもよく見えるのに、埋もれてしまっている私は、誰にも見つけられないままで。その背中を追おうと立ち上がりかけて、やめてしまう。また、ひとりの、その他大勢になる。

 これといって特技もないし、特筆するような点もない。努力もなければ積み重ねもなく、自分にしかできないことなど思いもつかない。正真正銘の凡百で。だけど。


 それでも私は、特別になりたかった。







 文筆乱れてお目汚し。失礼致しました。

 本城 雫



いつも見ていてくださって、ありがとうございます。 役に立つようなものは何もありませんが、自分の言葉が、響いてくれたらいいなと、これからも書いていきます。 生きていけるかな。