セルフ読書感想文『観光業の二毛作経営』という話。
noteユーザーの皆様
こんにちは。
下町書房です。
自分たちで出した書籍『街角のイノベーション』を自分たちでレビューしていくセルフ読書感想文なるものを週一回やっています!
完全に読者と同じ目線ですよ!というのは難しいと思いますが、意識としてはそういうつもりです。
ちなみにこの本です。
第二章は200年続く老舗温泉旅館の6代目でありながら、「温泉ソムリエ」という温泉のプロフェッショナル認定制度を作った遠間さんのお話しです。
遠間さんは2つの顔を持っています。
前述の通り、
ひとつは温泉旅館の当主
もうひとつは温泉ソムリエの家元です。
温泉ということをテーマに二毛作経営をしたのが遠間さんのイノベーションポイントなのではないでしょうか。
以下、その理由です。
遠間さんの温泉宿は新潟県の妙高市赤倉にあります。
すぐ近くにはスキー場があり、冬は観光客が多く訪れる場所です。
夏も緑が綺麗でとても素晴らしい場所なわけですが、
当然、冬がメインの土地です。
すると、どうなるのか。
観光業では当たり前のことだと思うのですが、
シーズンによってお客さんの数に波があるわけです。
冬はいいかもしれないけど、夏は意外と人が少ないとか、今のようにコロナになって人が減ったとか、そういうことが起きます。
つまり、経営として安定性に欠けてしまいます。
そこで、遠間さんは考えました。
「温泉そのものを季節の関係ないコンテンツにすると同時に、そのプロセスを別事業として確立できないか。」と。
そして、はじまったのが「温泉ソムリエ認定制度」です。
制度の内容自体はものすごくシンプルで、
温泉の知識を得るためにセミナーで勉強しましょうというものなのですが、これにより遠間さんは2つ目の経営基盤を手に入れたわけです。
どういうことかというと、
温泉ソムリエ認定セミナーは全国各地で行われています。
たとえば、東京だと表参道にある新潟物産展ネスパスの上です。
今までは温泉旅館に「来てもらう」ことがメインであった遠間さんが、今度は自ら出向くことができるようになったわけです。
しかも、今回のコロナになって、温泉旅館の売上自体は減少傾向でも、お客様の知識欲みたいなものは減らなかったらしく、温泉ソムリエセミナーは毎回満員らしいのです。
つまり、温泉旅館と温泉ソムリエという2つの経営基盤を持つことで、観光業に安定性をもたらしたのが遠間さんの経営モデルなわけです。
しかも、そのセミナーを受けた認定者たちが温泉を広めて、温泉(観光)業界が盛り上がる。ひいては遠間旅館も潤うという3段構えです。
ちなみに温泉ソムリエは累計2万人の方々が認定資格を持っています。すごいです。
200年続く温泉旅館の跡継ぎだったら普通はここまで柔軟な発想はもてなそうなものですが、
遠間さんは常に新しいアイデアを求めて経営をしています。
不確実だなんだ言われる世の中で強く、逞しく生きていく経営者の姿を遠間さんに感じました。
ひとつの経営基盤に頼るのではなく、
二毛作スタイルにしたこと。
しかもそれが本業の伏線になっていること。
本当に考え抜かれたモデルです。
我々も見習いたいところは多く、
これから勉強していきたいと思います。
また、次の記事で。
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