見出し画像

【詩】文脈のなか

夜中、誰かに呼ばれた気がして目覚める時がある
仕組まれたとおりの動きで麦茶を飲んでいると
地続きの自分がよく分かる

20万年前から町の片隅にいるホモサピエンスの文脈
その中に入れてもらえないことが
私ずっとこわかったのね

一歩の遅れが百歩の遅れで、診断名は知恵遅れ
私は今年35になるはずなのに
知的には25さいぐらいらしい

それは子どもの頃には狂いそうなほどの極彩だったけど
年を取るにつれ砂嵐に紛れていき、今となってはありきたりな棒人間だ
私やっと一人暮らしをしているのに
去年は確定申告もできたのに

生活が根を張り、私の呼吸を太く強かにする一方で
その堂々たる二酸化炭素のせいで地中の私が衰弱していくのも知らず

役立たずで何が悪い!と怒れる人は
誰かの役に立てる人だろう
私が自殺しない理由は終わりというものが好きだからだ
もうこんな奴しゅしゅっと死んでやろうか
いえいえどうです、明日もきっと生きるでしょう

この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,516件

#眠れない夜に

69,460件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?