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生後0ヶ月〜11ヶ月までの発達と関わり方

今日は「0歳の発達と関わり方」と言うテーマで話していきたいと思います

動画解説はこちら
https://youtu.be/iUpm0svtEuc

0歳という発達段階があります。
人の発達の始まり、よ〜いスタートの時期です。
しかし、赤ちゃんはこのたった1年で劇的な成長を遂げます

生まれてすぐは、まだ自分で頭を持ち上げることもできません。
しかし、生後5ヶ月ごろには寝返りをし、8ヶ月にははいはいをはじめます。
生後1年で脳は倍の大きさになり、多くの子が歩き始めます。
目にも止まらぬスピードで、0歳の赤ちゃんは日に日に成長していきます。

毎日まいにち、関わることだけに必死になっていると、
「気づいたらこんなことができてた」
「気づいたらこんなに成長していた」と、
なってしまいかねません。

もちろん子どもの成長は喜ばしいことですが、
保育者としては、今の子どもの状況をみて、
「この子は、今こんな発達の欲求があるんだなぁ」とか、
「この子の発達課題は何かなあ」
そして「この子の発達を支える保育ってなんだろう」と考えていきたいものです。

そのためには、「0歳の子どもは、おおよそこの時期にこんなことができるようになる」と知っていることが大事です。
では一緒に、0歳の発達について見ていきましょう

今回は、
①体の発達
②手や指先の発達
③心の発達
④言葉の発達
の4つに分けて紹介していこうと思います

今回の参考文献はコチラです

『乳児の発達と保育』 長谷吉洋(ながたによしひろ)企画編集

それでは今日もよろしくお願いします

①体の発達

乳児の発達は、脳に近い体の上部から始まります。
最初は目や口が発達し、徐々に、首、手、足といった流れで発達が進みます。

生まれたての赤ちゃんは、まだ自分の頭を自由に動かすことができません。
しかし、段々と顔を左右に動かし、首の動く範囲が大きくなると、だんだん反り返る動きができるようになり、それが寝返りの動きに繋がっていきます。
寝返りができるとうつ伏せの姿勢になる時間が増え、頭を持ち上げたり、手足も浮かせたりできるようになっていきます。背筋が育ってきた証拠です。

うつ伏せで顔を持ち上げることができるようになった頃、視界が広がり、周りの世界にどんどん興味が湧いてきます。動きたい、近づきたい、という欲求が高まります。

7ヶ月ごろになると、両腕で胸を上げ、ずり這いをはじめます。足で蹴ったり、手を伸ばしたりして目に見える物に触ろうと動きます。全身を動かそうとすることで背筋力が育ち、この時期にはお座りも安定してきます。

8ヶ月ごろからはハイハイがはじまり、両手両足で自分を支えることが可能になります。はいはいで移動することで背筋力はさらに育ち、平衡感覚も養われます。

10ヶ月ごろには両手のひらと両足裏でのハイハイ、いわゆる「高ばい」で移動できるようになります。首や背筋が十分に育っている証です。そして、棚などに重心を移動させてつかまり立ち。11ヶ月ごろには伝い歩きが見られるようになってきます。

では、各時期の関わり方について詳しく見ていきましょう。

まず1〜2ヶ月ごろ。ほとんどの時間を仰向けで過ごします。
ベッドの上から、動くものや音、声のする方に首を向け「なんだろう?」と視線を送ります。これが「追視」と言われるものです。この赤ちゃんの追視によって視覚や首の筋力が育ちます。

「追視」によって視覚や首の筋力が育つ

この時期には、赤ちゃんの視線の先に「モビール」などの「風でゆらゆらと動くもの」を用意すると良いでしょう。電動のもの、音の鳴るものは避け、シンプルな色合いで、室内の優しい風で常にゆらゆらと揺れる程度のものが良いとされています。
赤ちゃんの視力は弱く、新生児の場合30〜50センチくらいの距離にしか焦点を合わせられないと言われています。赤ちゃんの目線の前方斜め45度、30cmぐらいの場所にモビールを吊るしてあげましょう

シンプルな色合いで、室内の優しい風で常にゆらゆらと揺れる程度のものが良い

この時期は、うつ伏せの経験をすることも重要です。
うつ伏せにしてあやすことで、赤ちゃんは上を見ようと首がしっかりし、寝返りしようと意欲も湧いてきます。

3〜4ヶ月ごろ、首が座り出し、手足をバタバタするなど、手足の運動が活発になってきます。体の真ん中、正中線上に手足を持ってくることが可能になるので、自分の手を舐めたり、足を動かすことが遊びになります。
この時期には、赤ちゃんの目を見てたくさん話しかけたり、くすぐったり、あやしたりすると良いでしょう。赤ちゃんは喜びを感じて、手足をバタバタと動かします。
楽しみながら、筋力がぐんぐん育ちます。

赤ちゃんの目を見てたくさん話しかけたり、くすぐったり、あやしたりすると良い

5〜6ヶ月ごろには、キョロキョロと首を動かし、周囲を見渡し、その動きの延長で寝返りが始まります。寝返りがはじまった子どもには、自由に動けるぐらいの、ある程度の広さを確保します。そして、色々な方向から声をかけてみたり、おもちゃを動かしてみたり、モビールの位置を変えてみたりして、さまざまな方向への「追視」を促します。
寝返りをしたら、床にうつ伏せの状態になりますが、最初の頃はまだ自分の体を支えるほどの力はありません。寝返り、うつ伏せ、と繰り返すことによって背筋力が育っていきます。次第に、うつ伏せの状態でも顔を上げるようになり、またその姿勢を保って遊べるようになってきます。

この時、手を伸ばして届くぐらいのところにおもちゃを置いてあげると、次の腹ばいのステップにつながります。
集中して遊ばせてあげたい時は、胸の下にクッションを入れてあげます。すると姿勢を安定させたまま、両手がフリーになって遊べます。
ただし、長時間にならないよう、保育者がそばで見守りましょう。

うつ伏せができるようになったら、手を伸ばして届くぐらいのところにおもちゃを置く

7〜8ヶ月ごろには、両腕で胸を持ち上げ、足指の蹴りと腕の力で前進しだします。
いわゆる「ずり這い」ができるようになってきます。
この時、硬くて滑るフローリングよりも、畳やゴザ、またはジョイントマットなどのほうが動きやすくて良い床だ、とされています。靴下も脱いだほうが足で踏ん張れます。
さらには、目の前に興味を引くおもちゃを置いたり、足の蹴りが体感できるよう、保育者の手で足裏を固定したりするのも効果的です。

おすわり」ができるようになるのは、この頃です。
腹ばいの状態から、足の指に力を入れ、腕で床を押す。上体を起こしつつ、膝から足を前方に出すと、すとん、とお尻が下がっておすわりの姿勢になります。
自分の力でおすわりができるように、ずりばいで背筋力を高めましょう。
しかし上半身を支える背筋の力が育ってないうちから無理におすわりの姿勢をさせると背中が丸くなってしまうので注意が必要です
また、体のバランスをとりながら安定したお座りができるようになるまでは、周囲に危険なものを置かないようにしましょう。また、ゴロンとひっくり返ってしまうこともあるので、保育者が手を出して支えられるよう、そばで見守ります。


おすわりができても、近くで見守る。背筋が育ってないのに無理に座らせない

ずりばいを繰り返すうちに、段々と腰の位置が高くなってきます。次第に、頭とお尻を持ち上げ、両手両足で自分の体を支えるようになり、はいはいが始まります。はいはいは歩行に進む前の大切な発達段階。目の前に遊具を置いたり、わらべ歌や呼びかけなどで、はいはいをする機会をたくさん作っていきましょう。また大人も一緒になってはいはいしたり、はいはいで逃げたり追いかけたりするのも楽しい遊びです。

10ヶ月ごろには、膝を上げ、両手と足裏で移動する「たかばい」で移動し始めます。はいはいの最終段階です。頭は腰より高い位置にして、バランスをとりながら前進します。首や背筋が十分に育ってきた証拠です。そしてこの頃は、棚などに捕まって、一人で立とうとし始めます。
いわゆるつかまり立ちです。つかまり立ちを始めた時期は、バランスを崩して転倒しやすいです。周囲の安全を確認し、子どもに疲れが出る前に「座ろうね」と声をかけ休ませます。

子どもに疲れが出る前に「座ろうね」と声をかける

11ヶ月ごろには、つかまり立ちから、伝い歩きが始まります。足の筋力、背筋力そしてバランス感覚が発達してきた証拠です。この時期には、捕まりやすい仕掛けやてすりを用意し、また壁面で遊べる遊具を配置します。いつも遊ぶおもちゃを壁面につけると、立ったまま集中して遊びます。そして、1歳になるころ、何にもつかまらなくても一人で立てるようになり、一人立ちへとつながります。

②手指の発達

次は手指の発達です。
大まかな流れで言うと、まずは、新生児から握りしめていた手が開きだし、物を握れるようになっていきます。両手が真ん中で合わせられるようになると、物を持ち替えたり打合せたりできるようになります。次第に指が独立して動かせるようになると、つまむ、指を差す、引っ張る、ひろう、などさまざまな動きができるようになっていきます。

では、各時期の関わり方について詳しく見ていきます。

生後2ヶ月ごろには、今まで握っていることが多かった手を広げ、じっと見つめるようになります。この行為を「ハンド リガード」と言います。その手を口に持っていくことで指しゃぶりが始まります。
このような指しゃぶり、ハンドリガードを繰り返すうちに、赤ちゃんは手の動きを目でコントロールする力を身につけていきます。
例えば、まず目でモノを確認し、手で触るようになる、といったように、目と手を連動させることができるようになってくるんですね。
大人が音のなるガラガラを目の前で振って見せれば、手のひら全体で握ろうとします。

「ハンド リガード」自分の手を開き、じっと見つめる行為

4ヶ月ごろには、両手を体の真ん中、正中線上で合わせるようになり、道具を両手で持つことが可能になります。そして持った物を、眺めたり、いじったり、しゃぶったり、と繰り返し遊ぶようになります。
これは「触れる」ということを楽しんでいるんですね。感触あそびです。
物を目と手と口で確かめ、同じ動作を繰り返すことで、その物の性質を掴んでいきます。
この時期には、口に入れても大丈夫な素材のおもちゃを用意しましょう。
また、サイズは誤飲につながらない大きさのものを選ぶようにします。

さまざまな素材に触れるということが大事ですが、軽くて弾力性のあるものは扱いやすく、この時期に適しているとされています。
例えば、手足で掴みやすいタオル生地のボールやぬいぐるみがおすすめです。口で触れることが多い時期、手軽に洗えるというメリットもあります。

タオル生地のボールやぬいぐるみがおすすめ

9〜10ヶ月になると指先の機能が発達し、親指と人差し指で小さな物をつまむことができるようになります。絵本のページもめくれるようになり、さかんに「あっ、あっ」と指差しして教えてくれるようになります。バイバイ、おつむてんてんなど、大好きな大人の真似をすることも増えます。この時期は、つまむ、つかむ、はなす、ひろう、ひっぱる、叩くなど、いろんな行為を楽しめるようにしましょう。

11ヶ月ごろには、何かの容器から取り出す、という遊びを始めます。ティッシュをしゅしゅしゅと引っ張り出したり、カゴの中から服を取り出したりという行為が見られます。
これは、自由に手が動かせるようになり、自分でいろいろなところに行けるようになった証です。大人にとってはやめてほしい、と感じるこの行為も、この時期の子どもにとっては自分の好奇心と欲求を満たす遊びです。

この時期は手作りおもちゃを用意してあげると良いでしょう。粉ミルクの空き缶や、100均のタッパーなどに穴を開け、中に布やお手玉、チェーンリングなどを入れてあげる。取り出した時に「できた!」という達成感も味わえるおもちゃです。
ただし、この時期はまだ「外に出す」という行為を楽しむだけで、元に戻す、中に入れる、ということはまだできません。

この時期は手作りおもちゃを用意

③心の発達

ここからは心の発達です。
赤ちゃんの頃は、からだや運動能力がものすごく発達しますが、「心」も大きく育ちます。

この時期の最重要項目が「愛着」です

0歳の最重要項目は「愛着」

愛着と言うのは、親やそれに変わる重要な人との間に形成される心理的な絆のことです。
赤ちゃんは生後3ヶ月で甘え泣きをし、4〜5ヶ月ごろには愛想よく笑うようになります。
しかし、6〜7ヶ月ごろには特定の人に対してはっきりと愛着を示すようになります。
8ヶ月ごろになると、それまであやしてくれる全員に笑いかけていたのに、見知らぬ人が近付いただけで不安な顔になったり、泣き出したりします。いわゆる「人見知り」が始まります。これは特定の人との愛着関係が結ばれたあかしです。いつも世話してくれる人と、そうでない人を識別できるようになったわけです。たまに、人見知りしない子もいて、心配される親御さんも多いのですが、親しい人とそうでない人との区別ができていることが大事。
たとえば特定の人に甘える表情をしていたら問題はありません。

こういった愛着関係の形成には、3つの意味があるとされています。

1つ目が、基本的信頼感の獲得
基本的信頼感は乳児期に獲得すべき最も重要なものとされています。「人っていいものだな」「生まれてきてよかったな」と感じる心です

2つ目が、コミュニケーション力の育ち。
自分の欲求を伝えたり、相手の欲求に応えたり、自分を表現する力やコミュニケーションの楽しさが育ちます

3つ目が、危機を感じた時の逃げ場、安全基地の確保です。
1歳になり探求活動が活発になっても、この安全基地があることで、不安な時はたちもどり、それ以外は安心して探求に打ち込むことができるようになります。

では、そんな愛着形成に必要なものとは何か。
ひとつは「アイコンタクト」です。
赤ちゃんの世話をしていると、赤ちゃんは世話をしてくれる人のことを見つめ返してくれます。この見つめ合いこそが愛着形成の第一歩。
じつは、赤ちゃんは生まれた直後から目や耳を働かせているということがわかっています。一見、意味のないような動きに見えても、お母さんの語り掛けや声に反応してうごいているんですね。

「アイコンタクト」は愛着形成の第一歩

2ヶ月ぐらいになると、追視が進み、視力も視野も発達してきます。3ヶ月ごろにはゆっくりとした上下の動きも追えるようになり、視線がよく合うようになります。
そんな赤ちゃんが最も好んで見つめるのが、人の目です。
例えば「いないいないばあ」の時、大人の目が見えると、弾けるような笑顔でその人の目を見つめ、笑います。
この時、赤ちゃんは見つめ合うことによって、大好きな大人と気持ちのやりとりをしていると言われています。見つめ合うことで、相手の「楽しませたい」という心を感じ取り、さらに自分の「面白い」という気持ちも伝えているんですね。

「いないいないばあ」で気持ちのやりとり

この時期に大切なのが子どもの行為を言葉にしてあげること。例えば、おもちゃに手を伸ばそうとしていたら「このガラガラがほしいの?」とか「ふりふり、たのしいねぇ」といってみる。何か音がする方に顔を向けたら「ブーブーがきたねぇ」と言葉にする。こういった目を合わせながら言語化してあげると、赤ちゃんと大人が一つの世界を共有できたことになり、愛着関係の形成をより一層深めてくれます。


以前、0歳が愛着関係を基盤にして基本的信頼感を養うためには、不快状態で泣いている赤ちゃんを、快状態に世話すること。これを繰り返すことが大事。という話をしました。
実際、赤ちゃんが愛着関係の対象に選ぶのは、自分の欲求を上手に受け取り、適切に対処してくれる人だと言われています。
赤ちゃんが泣いたら、気持ちを汲み取り、欲求を満たす。これが大事なんですが、この赤ちゃんの気持ちを汲み取るには、「泣くという行為にも発達がある」と知っておく必要があります。

「泣く」にも発達がある

赤ちゃんは、泣くことで周りの人を自分に呼び寄せる能力を持って生まれてきます。
新生児の頃は「お腹すいた」「おむつが濡れているよ〜」などなど、生理的不快感が理由で、よく泣きます。しかし2、3ヶ月ごろになると明らかに周りの大人を意識した泣き方に変わります。すでに「泣いたら誰かが来てくれる」と知っている赤ちゃんは、泣いても泣いても誰も構ってくれない状態がつづくと「どうして誰も構ってくれないんだー!」「もう、限界だ〜」と言わんばかりに「ヒー、ヒー」と、訴えるような泣き方をします。
この頃はまだ、大声で泣いても涙が出ません。涙が出ていないから嘘泣きなのかな?と思いがちですが、涙腺が機能し出すのは4ヶ月ごろから。決して嘘泣きではなく、涙なしに泣いているのだ、と理解してください。
4、5ヶ月ごろになると、泣く回数はぐっと減ってきますが、泣き方に表情が出てきます。
例えば眠い時はぐずり泣き、お腹がすいた時には怒ったように泣き、人を求めて甘え泣き。といったように、あるていどなぜ赤ちゃんが泣いているのか、大人の方でも区別、判断がつきやすくなってきます。

いろんな泣き方をする。大人も判断ができるようになる。

6ヶ月以降、明らかに今までとは違った意味の泣き方がみられるようになります。寝返り、ずりばい、おすわり、はいはい、といったように、できることが増えてはいきますが、何度やっても自分の思うようにできない時、また、前進したいのに進めない時など、自分の力が及ばなかったことに対して泣きます。これは今までの大人を呼ぶための泣きとは違います。
そして10ヶ月以降からは徐々に自我が芽生え始め、自己主張をし、自分の思いが実現できなくて泣き叫ぶようになっていきます。
この時期の泣き方は、発達に合わせて子どもの中に育つ欲求と、思い通りにいかない現実との”ずれ”によって引き起こされていることが多いです。

欲求と現実との「ずれ」で泣く

ではそんな泣き方の発達が掴めたら、大人はどうやって赤ちゃんに接するべきでしょうか。
赤ちゃんが泣くと「とりあえず泣き止ませないと」と考えがちですが、まずは赤ちゃんの泣かずにはいられない気持ちをわかってあげて、それを言葉にして話しかけることが大事です。
新生児の頃から「おなかすいたねぇ。ミルクが飲みたいんだね」とか、「目が覚めたんだね。おっきしたのを教えてくれたんだねえ」と声をかけます。それからおむつを変えたり、ミルクをあげたり、抱っこしたり、赤ちゃんの欲求を叶えてあげると良いでしょう。
6ヶ月以降の「自分の力が及ばず泣いている」ときも、同じです。「はいはいでうまく進めずくやしいねぇ」「ボールとりたかったねえ」と赤ちゃんの気持ちを言葉に置き換えます。
「自分の思い」と「できない現実」のずれを言葉にして受け止めてくれる。そんな大人に赤ちゃんは特別な思いを抱き、心を一つにして生きていたいと強く感じるようになっていきます。

さて、赤ちゃんの「泣く」という行為の発達についてみてきましたが、反対に「笑い」の発達もみていきましょう。赤ちゃんの「笑い」にも発達の重要な意味があるといわれています。
生後1、2ヶ月ごろまでは生理的微笑と言われる笑みを浮かべますが、これはただの筋肉の動き。2ヶ月ごろから自分の世話をしてくれる大人の笑顔に触発されて赤ちゃんに笑顔が生まれます。3ヶ月ごろには、人の顔を見るとはっきりした笑顔を見せるようになります。生理的微笑から社会的微笑に映った証拠です
この時期には、たっぷりの笑顔で赤ちゃんを祝福します。大人からの微笑みのシャワーは「人と一緒にいると楽しい」というコミュニケーション力や「私は愛されている」という喜びや自尊感情を育むことにつながります。
4ヶ月ごろには、首の座りが安定して、声の通りもよくなります。機嫌の良い時は笑い声も出てきます。この時期にはたくさんあやしたり、たくさんふれあい遊びをすることが大事です。一緒に遊んでもらう楽しさから、笑いがどんどん生まれ、声もよく出るようになり、手足の動きも活発になります。
笑うことで発声力が鍛えられ、喃語や言葉の習得へとつながっていきます。

笑うことで発声力が鍛えられる。喃語、言葉の習得へつながる。

やがて、おすわり、はいはい、つかまりだちなど、いろんな力がついてくると「みてみて、できたよ!」「こんなことができたよ!」といった行動獲得の笑いも出てきます。
さっきは、自分の力が及ばず泣くことがあるといいましたが、自分の思い通りにできたら笑うんですね。なんとも微笑ましい。
この時、必ずと言っていいほど、そばにいる大人の顔をみて笑います。
大人はそんな子どもの喜びを受け止め、「できたねえ」「うまくなったねえ、うれしいねえ」と言葉を添えて笑い返してあげましょう。

乳幼児はたくさん泣くけど、同じくらいたくさん笑います。
笑いは人と人をつなぐ大切な行為。
一緒に笑えば、子どもと大人の「心」が通いあいます。
そして、笑いを通して子ども自身も育っていく。
大人もいっぱい笑って、子どもの成長を見守りたいものです。

大人も子どもと一緒にいっぱい笑おう

④言葉の発達

では言葉の発達です。

生後2〜3ヶ月ぐらいから、機嫌がいい時には「あーうー」と、これまでとは明らかに違った声を出すようになります。これが「クーイング」です。赤ちゃんは、思わず出た「あーうー」という自分の声に、自分でびっくりして楽しんでいるように見えます。自分で出した声を自分で聞いて、こんなふうに声が出るのか、と試してもいるようです。
4ヶ月ごろには、特定の大人の話しかけに答えるように「あーあー」「ばー」といった語りかけるような喃語を発するようになります。
ちょうど生理的微笑から社会的微笑に変わるこの時期、赤ちゃんは大人の口の動きをじいっと見つめ、模倣しようとします。実際に大人の表情をみながら、唇を震わせ、舌を動かして音を出します。この時期は、赤ちゃんと視線を合わせながら、表情や口元がはっきり見えるように抑揚をつけてゆっくりと話しかけます。また名前をいっぱい呼んであげましょう。こどもは大人の表情や声のトーンから自分が愛されていると実感し、さらに、コミュニケーションを通して言葉や感情の表現を学習することができます。

赤ちゃんは大人の口の動きをじいっと見つめ真似をする

6、7ヶ月ごろになると「ぶぶぶぶ」といった反復する音の喃語を話し出し、喃語で人と関わる楽しさを味わいます。この頃、喃語を発して人を呼ぶ時があります。すぐに対応できない時は声を出して応答してあげると良いでしょう。
11ヵ月頃になると、「ババババ」のような単純な喃語から、「バダ」のように子音が異なる喃語や、「バブ」のように母音が違う喃語を話すようになります。

0歳の時期に現れる喃語は赤ちゃんの大切なコミュニケーションツールであり、言語学習のスタートです。
ただし、「喃語が出る時」というのは、赤ちゃんの機嫌がいい時だと言われています。
一緒に遊びながら、一緒に笑いながら、楽しくコミュニケーションをとって喃語の成長を促したいところです。

⑤まとめ

今日は0歳の子どもの発達と関わり方についてみてきました。
本来子どもは一人ひとりの発達に大きな差があります。
今回紹介した内容ができていなくても、大きな問題だ、と捉える必要はないかと思います。大事なのは、発達の流れを把握し、この子はいまどの発達段階にいるのかと知ること。
そしてその子にあった関わり方を考えだすことです。
発達の流れを把握し、育ちの見通しをもてる保育者だからこそ、最善の保育を考え出せる。
きっと子ども達も喜び、笑顔あふれる保育室になるのではないでしょうか。

「子どたちの発達の欲求を受け止め、
 発達課題を理解した関わり方を見つけていこう!」

今日は以上になります。どうもありがとうございました!


参考文献

『乳児の発達と保育』 長谷吉洋(ながたによしひろ)企画編集

3歳までにぐーんと伸ばす!モンテッソーリ教具と知育玩具15選
https://lab.studypark.tokyo/montessori-products-infant#1

エリクソンの発達段階に応じた年齢別発達課題とは
https://robo-done.com/blog/2021/01/honbu_erikson/

第二十四回 母子健康協会シンポジウム
『保育におけることばの問題と対応1言葉の発達とその規定要因』
白百合女子大学教授 秦野 悦子


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