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京都大学11月祭 「パレスチナ写真展」に向けて

小さな希望に向かう

私が選ぶ1枚  担当:ゆずか

混みあう道路。バイクのライトが眩しく、車は屋根の上にまで人々がぎっしりと座り込んでいる。彼らはどこへ向かうのか。答えは、結婚式である。

パレスチナ・ガザ地区。15年にもわたってイスラエルの武力によって完全封鎖下に置かれ、壁に囲まれた街の中でおよそ200万人が暮らす。わたしはいつもこの数字に驚く。200万人といえば故郷の札幌とほぼ同じ人口だ。200万人が自由な出入りを許されない365平方キロメートルの土地の中で生きている。モノの出入りも制限されているからインフラにも制限があり、失業率は若者の間では6割を超えるといわれる。それだけの人たちが、抑圧された暮らしを送っている。

200万人にはそれぞれの人生がある。大学に入って学びたいことを学ぶ学生たち。起業してガザ地区の問題を解決しようとする女性。奨学金を得て、何年もかけてなんとか日本に留学してきて、パレスチナと日本をつなごうとする人。わたしがいままで出会ったパレスチナの人々はそれぞれに希望を見つけていた。いつ出られるかわからない。一度出てしまったら帰ることが難しい。絶望的な状況の中で見つけた小さな希望を大切にしていた。

結婚式はこうして式に向かう道中でも音楽を鳴らして祝うのだという。パレスチナの人々は家族を大事にする、と以前日本人で支援を行っている方が話していた。新しい家庭の誕生を皆で祝う。どんな音楽が鳴っているのだろう。どんな会話をしているのだろう。写真からはわからないことを想像する。新郎新婦はどんな衣装を着て、人生の節目をどんな顔で迎えるのだろう。彼らの、そしてここに映っているたくさんの若者たちの人生は、今日もどこかで続いている。

★今回、紛争や政治問題などのニュースで取り上げられることの多いパレスチナの「日常」をたくさんの人に知ってもらいたく、写真展を企画しています。11月19日~22日、オンラインで誰でも観覧できる京都大学11月祭に出展します。現地の方や支援活動に携わる日本人の方にお願いしたところ、60枚もの写真が集まりました。この記事で紹介している写真も、ガザのジャーナリスト・Sameh Ahmed Enさんが提供してくれたものです。期間中は以下のリンクから写真や動画を見ることが出来るので、ぜひご覧ください。
https://nf.la/general/exhibition.php?code=xT-018


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