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本棚は段ボール Vol.9 『一人称単数』/村上春樹

友人に借りてよんだ。
友人は、「謝肉祭(Carnaval)」が1番好きだと言っていた。
何となくそれは分かる気がした。(その友達がどこを、というか何を好んだのか、ということについて)
ただ、そういうことを意識してしまうと、その話は「友達の好きな話」になってしまって、一番好きな話になり辛い部分はあると思う。

「品川猿の告白」は、安部公房氏の影響を受けていたりするのだろうか。名前を盗まれるというのは、「S・カルマ氏の犯罪」を思い出させたし、喋る猿は、おなじ安部公房氏の『壁』に収録されている「バベルの塔の狸」を彷彿とさせた。

ちなみに私は、「クリーム」の、中心がいくつもある円、という概念や、「君の頭は難しいことを考えるためにある」的なお話が好きだったし、「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」のような個人的で不思議な出来事の話はとても好きだ。なんだか自分にもそういう経験があったような気がしてしまう。「ウィズ・ザ・ビートルズ」も、なんとなく好きだ。ちょうどよく好き。そんな短編集だったと思う。

村上春樹氏は、私にとって、「ちょうどいい」のかもしれない。



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