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統合失調症の原因?アドレノクロームを知ろう!

英検4級で生物学者のしろのPh.D.です。

私の専門領域内なので、巷で話題になっているアドレノクロームなる化学物質についての文献を読んでみたら、統合失調症の分子メカニズムについてヒントを得たので昔のブログ記事を紹介しながら解説します。


幻覚が見えちゃったりする統合失調症ってありますね。これの脳内メカニズムには実は古くは1950−60年台くらいから説があって、2010年に書かれた上の総説でも結構有力視されている分子があります。

それがアドレノクロームAdrenochromeという分子です。

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まず、構造ですが、左上のような感じです。Adrenochromeというものがそれです。小さな分子ですね。

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2D構造式の可視化の仕方によってはうさぎさんに見えるというインターネット界隈の一部マニアでは有名な物質です。

この統合失調症の原因としてのアドレノクロームの仮説は1950年台まで遡ることができて、私が読んだ論文はA. Hofferによるこの本の一章です。

統合失調症になった患者さんの血中にはこのアドレノクロームが増加しているという単純な気付きから、これが原因なんじゃないの?という仮説がHofferさんの頭に芽生えて、当時出版されていた情報を集めてレビューしたのが上の1章です。

そして2010年の新しいレビュー論文でも、このHofferの仮説はまだ生きているようで、どうもDNAのメチル化を含むエピジェネティクス的視点を踏まえた仮説へと発展しているようでした。因みにナイアシン(ビタミンB₃ )で統合失調症の治療も可能らしいという議論もありました。


さて、アドレノクロームが血中にあることは、統合失調症になった結果であり、原因ではない可能性があります。そんな時に科学者は、実験をして確かめます。

アドレノクロームを健康な被験者に与えた時、統合失調症のような症状がでたらこれは結果ではなく原因だったのではないか?

という感じです。


これに関して、以前に私がココログで書いた記事で詳しく議論しましたが、重要な部分を抜粋します。

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アドレノクロームはハリウッドの芸能人が好んで使う麻薬なんじゃないかという陰謀論者たちの説を前提に論文を読んでいたのですが、どうも違うようです。

発見4 最後の方で、人間にもアドレノクロームを与えてるんだけどあまり気持ち良さそうではない。というかどちらかというと苦痛らしい。

この例を見ても分かる通り

At the beginning of the EEG test, she was happy, cheerful and friendly. She was given 50 mg of adrenochrome by vein. After 10 minutes, she developed a feeling of estrangement and fear and her nose itched. The pathological activity of the temporal focus increased and dysrhythmia became generalized. She was now morose, quiet, and depressed. When she was urged to describe how she felt she cried.

最初は笑顔だったこの女性、50 mgのアドレノクロームを血中に投与して10分で恐怖を感じたり鼻が痒くなったりしている内に非常に悲しくなって落ち込んで静かになってしまった。今の気持ちを教えて下さいと言われて泣き出す。…全然楽しそうじゃないんだな。

Crucial evidence, of course, would be the demonstration that adrenochrome or adrenolutin is present in the human body and in greater quantities in patients ill with schizophrenia.

とあるようにアドレノクロームは統合失調症の患者の血中に高濃度で存在していることが知られていた。

なので統合失調症の原因じゃないのだろうか?とも思われていたようで、アドレノクロームを与えられた被験者はモノの大きさがわからなくなったり、時間の感覚が失われたり、認知に障害が起こり、確かにまるで統合失調症のようだ。

ということで、現代でも研究者によって有力視されている統合失調症の原因分子としてのアドレノクロームという分子が候補にあることを知りました。

これは重要な発見で、ナイアシンが統合失調症に効くかもしれないと上に書きましたが、様々な治療法についてそれらがなぜ効くのか?これを詳しく知り、効果を高めるには、原因分子の同定がなければ堂々巡りになり徒労に終わります。なので、アドレノクロームが原因であると思われる十分な証拠があるので、原因として想定して研究を進めることで大きな進展が期待できるのです。


という訳でそのアドレノクロームですが、検索してみると分りますが、巷で話題になるのはこーいうのですよね…

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目の周りにアザが出来ている有名人とくに海外でアメリカとかのセレブや政治家に多くありません?

超お金持ちで権力者なのに誰かに殴られたの?????という感じで、非常に謎なんですが、もしかしたらあれはアドレノクロームで説明できるかも知れません。

先程の私のココログからまた引用しますが:

皮膚に塗布すると色素合成を促進し2−3ヶ月のこるようなシミができる。

p. 325
Several years ago, an injection of adrenochrome subcutaneously in my left arm formed a small brown pigmented area which remained over 3 months. Meirowsky (1940) showed that the production of pigment in human skin is highly increased by adrenochrome.

どうやらアドレノクロームは皮膚に注入すると色素の合成を促進するようで、3ヶ月もの間茶色のシミができたとかいてあるのです。

つまり、あの金持ち達のアザはアドレノクロームを塗っただけで殴られたわけじゃないのかなーというふうにも解釈できるのです。

でも、そもそもなんであのアザをわざわざ大衆へ見せつけるのだ???

という疑問がわきますよね。


これ、別に有名人だけじゃなく、有名企業もやっているんですよ。

Chromeといえば、ウェブブラウザにも同名の物がありますね。

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あんな感じのアイコンのあれです。そしてChrome登場から一年の2009年にはクアルコムからGPUを買収したグーグルはこれをAdrenoと改名するのでした。

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クロームのロゴのなかに3つの6が隠されているし、GoogleもGとeが6に似ているからやっぱり3つの6が隠されているので、なんというか陰謀論者たちがすきな悪魔崇拝者たちのシンボルとこじつけることができるんですね。

そのグーグルがAdrenochromeというシンボルを公然と使用しているわけです。なんか陰謀論たちをおちょくっているかのようです。

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そして、Adrenochromeというのはハリウッド映画にも度々でてきます。

そしてこれはオーストリアのガーレンキルシュ地方にある児童施設の写真です。

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あ、あのうさぎさんですね。手の上に青と赤のシンボルもあるから確信犯だねこれ。施設の方が。

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そして、アドレノクロームを語る陰謀論では、エリート達は子供を性的に虐待して、拷問してアドレノクロームの血中濃度を高めてから採血して、その血を飲むことで快楽を得て、若返ったりするとまことしやかに言われています。

ネズミの研究では若いネズミから年老いたネズミへ輸血するとたしかに若返って長生きするから、何かしらの未同定の因子が若返り効果あるのは認める。

でも、血を飲むのは病気が移るので危ないだろうと思うし、鉄分のとりすぎでもポリフィン病になってしまうからフィルターしてから飲んでもなんかあんまりよろしくない気はするんだけどなーと思ってたけど、アドレノクロームで気持ちよくならないなら、さらに飲む理由がない。

なので、アドレノクロームに関する陰謀論は典型的な門番によるニセ情報だろうと判断しています。

これを信じているQ信者とかトランプさぽが普通の人々からみるとあほに見えるので好都合じゃないでしょうか?

Qは自分を信じろとも言っていますし、全てを疑えとも言っていますし、Qが自分もニセ情報を出すと公言していますよね。

つまり、Qが言ったからと盲信してもいけないですし、そもそもQはアドレノクロームについてはまったく言及していないんですよ。言及ゼロです。アドレノクローム関連の噂はぜんぶ周りのフォロワーが言っていることです。

私が論文よんで考察するにアドレノクロームをこれから拷問する子供たちに投与することで、怖がりやすくし、従順にさせ、理論的な思考を奪うことで脱走の可能性もなくし、運良く両親へ戻れても説明が統合失調症のめちゃくちゃなので信憑性もないという非常に都合のよいドラッグであることが分ります。

なので、エリートが飲む、服用するのじゃなく拷問対象へ使うんだと思いますよ。

だからブッシュ大統領とかローマ教皇が目の周りにアザを作るのはアドレノクローム使ってますよーという仲間への信号でしょう。


あとアドレノクロームから派生した類似なものは止血剤としてかなり普通に使われているらしいです。

新止血剤アドレノクロムモノセミカルバゾン(アドナ)

ウィキにも

アドレノクロムは主にその止血効果が利用される。しかし不安定な物質でアドレノクロム自体を応用するのは困難であるため、一層安定性のが高いアドレノクロムモノアミノグアニジンやアドレノクロムモノセミカルバゾンが開発され[1][16]、血管強化剤として使用されるようになった。しかし上述の通り水に難溶性であったため1956年にカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムが開発されて血管強化剤として利用されている[1][2]。

でも誘導体は同じ分子じゃないので、混同しないほうが良いと思います。