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頭の中の霧

治療後10日ほど経った。

頭の中の考えるための部位(脳?)に霧がかかったような状態が,ずっと続いている。

誰かと話しているとき,うんうんと頷きながらぼんやりしている。
相手が話し終わった瞬間に「何だっけ」と思う。

やらなければならないことが沢山あるとなにからやればいいか分からない。
話をしながら解決策が考えられない。
長いメールの要旨がぴたりとつかめない。

長い話をきいていると内容にかかわらず退屈で窮屈になる。
何か指示を出さなければいけないと分かっていても,自分の話すペースに間に合うように適切な言葉が検索できず,意味のないことを口走ってしまう。

つまり認知機能が落ちている。

朝,着換える前に服を選ぶことも苦痛だ。寒くないように,昨日と違う服で,汚れてない服で,ある程度見た目にもおかしくない服を。多くの人々はよくこんな面倒なことを,毎朝毎朝,子どもが沢山いる人は子どものぶんまでやれるものだ。

私の仕事は端的に言えば考えることなのに,認知機能が落ちてしまってはあまり役に立てない。無用の長物。

話は逸れるが,無用の長物を英語でいうと「white elephant」になるらしい。
むかしインターナショナルスクールで働いていた頃,学校のバザー・イベント(父兄や教員たちから廃品回収して,それを売る会)の名前が「white elephant」だった。
語源はタイで偉い王様しか乗れないとされている白い象が,神聖な生き物なので殺されることもなく増え続け,街の中をただウロウロしていたことからきているらしい。

話が逸れる

いまの私の頭の中に霧がかかったような状況について,数週間でよくなると見越して「しばらく本調子ではない」と職場の人に言うべきだろうか。それとも,むしろ隠しておくべきなのか。時間が経てばよくなるという保証もあるわけではないし。

とにかく今,自分は自分で「なんだかおかしい」ということを知っている。そのおかしさを職場で誰か信頼できる人,ひとりくらいには伝えておこう。霧が晴れたときは自分でも分かると思うが,あるとき急に天気がよくなるという仕方でよくなるのかどうかは分からない。

いまの私にできることはなんだろう。

夜,できるだけよく眠ること,水をしっかり飲むこと,温度を適正に保つこと,音をできるだけ静かに保つこと。
自分を責めないこと。

今日やることを決めて,できる範囲のことをして,時間で区切って休憩すること。

焦って不用意なことを口走らないこと。わからないときは静かにしていて,あとできいたり調べたりすること。

いまは気にしないでいい,できるだけのことをやればいい。と自分に語りかけること。

自分の味方でいること。


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