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冬耕起とナポリタンサンド

世の中の出来事

12月1日 - フランス・コルシカ島のアジャクシオ空港で、ユーゴスラビア航空のDC-9型機が墜落、乗客乗員178名が死亡。
12月11日 - エルサルバドルで、ゲリラに対する抗議運動を行っていた市民900人が軍隊によって殺害される。
12月13日 - ヴォイチェフ・ヤルゼルスキポーランド首相、独立自主管理労働組合「連帯」による共産主義政権反対運動を牽制するため戒厳令施行。
12月31日 - ガーナでクーデター発生。

土曜日課の保育園給食

12月5日(土)
冬耕起とは冬が来る前に田畑を耕す作業である。
毎年12月初旬頃、土が凍る前に多くの農家は冬耕起を行う。
特に平日会社へ通勤している兼業農家が所有する田畑では、天気の良い12月初旬の土曜日は耕うん作業で賑わっていた。
岩村田北保育は周囲を田畑に囲まれており、この日は朝から農家が野良仕事をしていた。
風もなく日差しも穏やかな暖かい午前だったので、絶好の野良仕事日和である。
保育園児の私にとっても土曜日は半日保育であり、週末のワクワク感が朝から絶えなかった。
この日も登園して朝のルーティーンを終えると、画用紙を使った工作をクラスのみんなと一緒に先生に習いながら行った。
先生たちの工夫を凝らした工作教室は愉しくて夢中になる。
それに土曜日は平日より30分早い昼食となる為、あっという間にお昼の時間になった。
土曜日の昼食は調理時間が短い為か、軽食っぽいメニューである傾向があり、この日はコッペパンとナポリタンとサラダであった。
天気が良いのでお外の景色を眺めながら給食を食べる。
やわらかな黄色い日差しが、間もなく来る年の暮れを予感させる。
近所の畑から聞こえてくる耕運機の柔らかいエンジン音が、今日の天気と相まって心地よく聞こえる。
先生がある友達にコッペパンにフォークで切れ込みを入れ、ナポリタンを挟んでナポリタンサンドを作ってあげたようだ。
これを見て他の園児たちも自分自身でナポリタンサンドに挑戦してみるが、なかなか難しく上手くできない。
大人であれば簡単なことであっても、4歳の園児からするとナポリタンサンドを作る技術は特殊な高等技術”であった。
私も挑戦したが、フォークでコッペパンに真っすぐ切れ込みを入れるところが難しく、ナポリタンの量が少ししか入れられなかった。
他の園児たちもナポリタンサンドをそれぞれ作ったが、やはりきれいにはできていなかった。
やがて窓の外の園庭には、一台のタクシーが乗り入れてくる。
保育園バスの運転手さんである。
昼食を終えると、お帰りの挨拶をして、玄関先に待機している保育園バスに乗り込む。
保育園の正門を左折し、住吉町の農協選果場の前を右折する。
長土呂の信号を右折し、その先の墓地前が私が降りる停車場である。
母親がいつものように迎えに来ていた。
家に到着すると父親もお昼を食べ終えてテレビを観ていた。
まだナポリタンの美味しそうな匂いが手の甲から漂っている。

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