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【本】読書記録 六月

今月はまだまだ読書に勤しみそうですので、ここいらで一回書き残しておこうと思います。読んだ本と読後感を合わせて残しておく形が気に入りました。お時間がある方はお付き合いくださいませ。今回は和歌もあります。夏が近づいたからかアルコールに惹かれています。

凪に溺れる

夏が近づくと海にまつわる本が読みたくなるのは何故だろう。何かが変わるかもしれないという予感。それが叶わなかった時の絶望。きっと誰もが心の中に見つけたことがある二つの感情。胸が焼けそうになりながら、最後は海風が優しく包み込んでくれるような一冊。
軸になるバンド少年、霧野十太。読み進めるほどに崎山くんを彷彿とさせる。彼は突き動かされるままに、何かに成れる人。

ランチ酒

昼からお酒!!最高では!!と思いながら飛びつき借りた一冊。仕事が夜中の見守りということで、仕事終わりの一杯が昼になっている主人公。おそらく東京に実在するお店が描かれているのだが、毎食愛情深く丁寧に食べているところが魅力的。辛いことがあっても、美味しいものを食べて酸いも甘いも味わい尽くして生きていきたいと思う。


とける、とろける

桃の熟れた香りを想起させる表紙に釣られて借りた一冊。夏が近づくと桃にも惹かれる。官能短編集…むふふと思いきや本を閉じるたび、「怖!」と呟いてしまった。ホラーあり、桃源郷に迷い込んだような奇妙な世界観。夏の夕暮れに。


たそがれビール

旅に出たい!昼間っから人目を気にせずビールを飲みたい!(飲兵衛では無いけれど、やはりお酒が恋しい)そんな気分になる小川糸さんのエッセイ集。正月から年末までをつれづれに。ビール片手にさくっと。


春、戻る

心穏やかな読書の友、瀬尾さん。主人公の記憶にない「兄」が登場する所から物語が始まっていく。最後まで着地点を探すドキドキ感がありつつも、桜色の温かい空気に包まれた一冊。和菓子が食べたくなる。抹茶をお供に。


ピロウボーイとうずくまる女のいる風景

ピロウボーイ(枕少年)と「シェイクスピアを読む女」「バッハしか愛せない女」「ドヌーヴに似た女」「リキテンスタインを待つ女」の四人の女性。YouTubeで曲名を検索してバッハとブラームスを聴きながら拝読。なんだかこ難しい文章だった。日々の生活が「政治」であり、対話が大事そうである。誰か解説して欲しい。


ちはやふる

競技カルタに青春をかけた高校生の物語。試合の緊張に手に汗握り、登場人物たちの清らかな想いに胸をしめつけられる。読み終えてしまうのが勿体無くて、四〇巻で足踏み中。物語の作り込み方に脱帽なのだが、和歌の美しさが物語に一層彩りを添える。古語がもつ奥ゆかしさに心ときめく。現代語では表現し得ないものだからこそ、尊い。百人一首の世界に感化されて久しぶりに筆を執りたくなった。


マンガ×くり返しでスイスイ覚えられる 百人一首

『ちはやふる』の流れで百人一首の解説本。時代ごとに並べられており、人物関係が流れで理解し易い。点が線になる感覚。漫画(4コマ漫画)での解説がネタに走っている回もあり、吹き出しながらスイスイ読める。
最近のお気に入りの一首。さしも草は蓬のこと。蓬はお灸に使用されていたから、「燃ゆる」と結びつく。お灸がじりじりと熱を上げるように、もどかしい思い。こんな気持ちになる恋を懐かしく思える、今が幸せ。

かくとだに えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな 燃ゆる思ひを(藤原実方朝臣)

こんなに恋焦がれているということを言えないので、あなたは知らないでしょう。伊吹山のさしも草のように燃え上がる私の思いを。


文章力 かくチカラ

外山先生の文章は読みやすくスイスイ読めてしまう。先生いわく、「読みにくい文章は悪文」。短いセンテンスでわかりやすく書くこと。ややこしい表現や過剰なかざりは省くこと。同じ言葉を二度以上使用しない。noteにつづる文章や手紙に生かしていきたい技法が盛りだくさんの一冊。


以上、九冊でした。もっと読んだ気がしていましたが、記録や記憶に残らず返却したものがあったかもしれません。七月はどんな出会いがあるでしょう。
先日、角田光代さん『物語の海を泳いで』を借りてきました。誰かのおすすめ本は未知との遭遇に溢れています。知らない世界へ飛び込むようでドキドキします。みなさんのおすすめの本があったら教えてくださいませ。

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