僕を少し可笑しくする季節

この熱がこうさせる。きっと。

けたたましい蝉の声とアスファルト揺らめく蜃気楼。

季節に左右されるなんてそんな柄じゃない。

喪失感、センチメンタル、夏。

ダサい言葉を並べてると自分で自分を思う。

でも今はそのダサさがしっくりくる。

額を流れる汗といずる陽の長さが物語る季節。

スイカ、1人、縁側

氷水に入った顔より大きなそれは、何よりも季節を語る。

切り分ける音と赤い果肉が五感をくすぐる。

繰り返し、通りすぎ、指折り、夏

何度も来ているようで、同じ日はない。あと何度この暑さを数えようか。これが最後かもしれないと思いつつまた次の暑さに期待をかけ。

人混み、お盆、火薬の匂い

色とりどりの人混みを抜けめざした先にうち上がる大輪の花。これを見に向こうから帰ってくる人達。暑いのにはるばるどうも。


日が沈んでも地面がその熱を意地らしく持ち続ける。まるで小さな子供が駄々をこねるように。

夜になる。ほんの少し和らいだはずの熱。      それでも流れる汗。1人、縁側。

足をぶらぶらさせ、うち上がる大輪の花を見ていたその昔、1人縁側。

なんど通りすぎたか記憶にない。今はその熱がこうさせる。暑い季節。

またどこかで  と柄にもなく思う1人部屋のなか。あの夏を思う1人部屋のなか。

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