雨の日

ベランダでも屋根の下に居れば濡れはしない。
雨が降っていても、意外と変わらないものは多いということを、今日初めて知った。
周りを見渡せば、ベランダの軒下に洗濯物を干している家がある。カラスの鳴き声はいつもと変わらず聞こえるし、ご近所さんは犬と遊んでいる。大型の犬だから、雨の日でも遊んでやらないといけないのかもしれないな。だからって、傘を差さないのはどうかと思うけど。
近くの家の色とりどりの服達。降り込んでこないのかな、あそこ。でも雨だからといって洗濯物を干さないわけにもいかないだろうし。室内干しにも限度があるもんなぁ。

ぱさぱさと羽音を立てて小鳥が近所の庭へ。草木の下で、雨宿り。

カラスはどこも雨宿りするアテがないのかもしれない。群れを成して飛んでいく先に、山があるのを見て思った。ああでも、カラスの羽は脂が塗ってあるんだったか。いいなあ、雨の中飛んで行けて。

雨の降る音は心地が良いから好き。ひんやりとした空気の中、そっと目を瞑るとざぁざぁと音がする。好き勝手にベランダの手摺から落ちる水滴の音は、周期性も無く雨音をかき消していく。不愉快だ。しっとりと濡れているのだろう道路を走る、独特の車の音もする。

バサバサと羽音がして目を開けると、飛び立つ小鳥と大きな鳥の影。小さい方は雀だろうか。そういえば、さっき近所の家の庭に飛びこんで来ていた。あーあ、可哀想に。

昔はお出かけ用だったサンダルの、先の方から出ている指先が冷たい。そろそろ部屋に戻ろう。