止痛

どこか、頭の通り途の何処かを、ピンセットで吊り上げたような、鈍痛がします。
ため息が漏れます。
はぁ、と、垂れ落ちた気怠さの通行人が会釈をして通り過ぎていきました。
どうやら今日は朝、らしかったのです。
光が在りました。どうも仕事はしたくないらしい。
首をもたげて、発する光輝に色々をペタペタ仕込んでいました。
手には錆びたカッターの折れた刃が握られていました。どうしてでしょうか。
せっかくなので私は太陽を切ってみます。なぜなら脈がタップダンスを踊って陽気にフレッドアステアを演じていたからです。
さっくりと、つうつう、食い込んで、とろとろ裡がさらされて金平糖のようです。
これはプリズムで引きちぎれた虹の臓腑でしょうか?
おひさまは堕落してお酒に溺れてほっぺたが真っ赤になっています。
隣には確か、大鷲がイカしたポーズでうぬぼれていました。
コンクリートに潰れたトマトの少年がつらつらと哲学をしております。
ところで今はお昼のようです。
私は夜がこの後ひょっこり現れるのではないかと予想しているのですが、夜は気まぐれなので、申し訳無さそうに白夜か極夜の代行が、タクシーに乗っておっとり刀で駆けつける可能性を否める要素がありません。
あ、申し訳ございませんが、その心臓を渡していただけないでしょうか?
天日干しをしようかと取り出したものの、考えてみれば保護者が、被保護の幼児をほったらかしにするなんて、ちょっと奇妙ですよね。
なので箱に入れて鍵をかけておこうかと思うのです。
カチリと閉めて、パタンと閉じる。
透明に限りなく近いブルーの空に思いを馳せれば、無窮がそれを受け止めてくれると存じます。
ちなみに、息をしていますか?
そう、ただ、クリアに泳ぐ空気に凭れるのです。
そして、ふっ、とハイになれば、ほら。
痛みが、止まりました。
ごきげんよう。

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