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【新幹線メソッド】なぜ加工肉は嫌われるのだろうか


前回、醸造酒と蒸留酒に関する文章を投稿した。酒に合う料理にも触れた内容だった。見返して、ふと思い出したことがある。新幹線運転士だったころの話。

見習い時代は親方に食事方を叩き込まれた。テーブルマナーの類ではない。料理の中身、つまり栄養学の部類だ。運転士は孤独な仕事。列車に乗ってしまえば代わりはいないのだ。自然、プロ意識が育つ。

何年も前から言われているが、脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる食品は、①魚、②野菜と果物、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つだ。これらはキチンとした研究に基づき健康に良いとされているから安心して食べて良い。エビデンスは少ないが、近年ではここに豆類も含まれるという研究もある。

補足ながら、茶色い炭水化物とは精製されてない玄米等を指す。精製された小麦粉や白米、うどんなどの「白い炭水化物」は血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があるのだ。

身体に悪いのは、白い炭水化物を筆頭に、赤い肉(牛肉や豚肉)、バターなどの飽和脂肪酸の3つだ。ハーバード大学の研究をはじめ、複数の研究報告がなされている。ちなみに「赤い肉」には鶏肉は含まれていないはずだ。

「赤い肉」の中でも、ハムやソーセージなどの加工肉はとくに悪い。『最悪』と評価する研究まで存在するのだ。米国の国立がん研究所は「1日に15グラムの加工肉を食べるだけで、がんのリスクは4%高まる。これはサンドイッチに入っているハム1切れに相当する」とショッキングなコメントを残している。加工肉を1日に50グラム食べた場合、大腸がんのリスクは18%高まるという論文まである。発表したのはWHOだ。

加工肉が身体に悪影響を与えるのは(亜硝酸ナトリウムなどの)亜硝酸塩だ。これらは、ボツリヌス菌の成長を阻害する効果がある。つまりは体内での発がん性物質の生成に関与している可能性があるのだ。

仮に「人工保存料不使用」などと表記されていたとしても、天然由来の硝酸塩が含まれている場合も少なくない。硝酸塩は体内細菌により、亜硝酸塩へと変化する。この反応は食品内部でも起こるため、天然の香料・調味料を使って加工したものも高濃度の亜硝酸塩を含んでいる可能性があるのだ。これらは加工肉全般に言える。(亜硝酸塩そのものは危険性はないが、アミン類と反応すると発がん物質となる)

ここまで書いて今更ではあるが、ボクは加工肉も食べる。亜硝酸塩は着色料であると同時に保存料でもあるのだ。まったく使ってないソーセージやハムは黒ずんで見栄えが悪く価格が跳ね上がる。美味しくいただける期間も短い。ようはキチンと理解したうえで適度に楽しもうということなのだ。ベーコンエッグのない朝食はすこし寂しいからね。