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セールス×プロダクトマネージャー対談!〜二人三脚で取り組むShippioのプロダクト開発(後編)〜

こんにちは!Shippio note運営チームです。
今回はShippioのセールスチームとプロダクトチームがどのようにお客さまの課題解決に取り組んでいるか、新規事業である貿易業務SaaS「Any Cargo」の立ち上げフェーズにピン留めをして紹介します。
(本記事は2022年6月に公開した記事の続編です)

インタビュイーのプロフィール

柳沼(@ygnmn):プロダクトマネージャー
Shippioでは貿易を行う荷主企業向けプロダクト開発を担当しています。商社・メーカーなどの貿易業務効率化や国際物流の可視化を実現するプロダクトの企画・開発に注力しています。
Shippioに入社する前はLINEで人材系プロダクトのプロダクトマネジメントと金融系プロダクトの立ち上げをしていました。Shippioには2021年12月に入社しました。

竹原(@kousuke__7):セールスディレクター
Shippioで荷主企業向けの営業責任者をしています。
新卒でみずほ銀行に入社して法人営業を6年半担当した後、福岡のEC企業ベガコーポレーションに入社して経営企画を立ち上げました。立上げ後、物流クライシスの影響を受け、新しい役割としてサプライチェーン戦略や組織設計を担当しました。その後freeeでSaaSセールス、CS、アライアンスに従事し、Shippioには2021年5月に入社しました。

今日はよろしくお願いします!まずはShippioの貿易業務SaaS「Any Cargo」について簡単に教えてください。

竹原:Any Cargo は2023年1月にリリースしたサービスです。もともとShippioはデジタルフォワーディングという、物流サービスとシステムをワンストップで提供する事業を主軸にしていました。

デジタルフォワーディングは国際物流のBPaaSのようなサービスで、そこからシステムのみのSaaSとして Any Cargo をリリースしています。
Any Cargoをリリースした背景をお伝えすると、お客さま(荷主企業)がデジタルフォワーディングサービスをご利用いただく場合、現在利用している物流会社をShippioに切り替えていただく必要があります。

お客さまにとって物流会社の切り替えというのはハードルが高く、特にエンタープライズの規模になってくると倉庫等のアセットも絡んでくるため、デジタルフォワーディングの導入が難航していました。
物流会社の切り替えが難しいお客さまに対して、純粋なSaaSとしてサービスを展開することにより、今までShippioの価値を提供できていなかった顧客層にも対象を広げられるということでサービスをリリースすることに至りました。

今では、豊田通商さまや双日さまといった総合商社や大手製造業にも導入いただいております。

▼豊田通商グループさまの事例:30~60%削減

Any Cargoの立ち上げにあたりセールスとプロダクトマネージャーで取り組んだことを教えてください。

柳沼:まずはサービスの仮説立案フェーズでどんなことに取り組んだかをお伝えします。大前提として、Any Cargo立ち上げ当時(2021年12月頃)は社員が30-40名(現在は70名程度)で、プロダクトマネージャーもセールスも何でもやらないといけないフェーズでした。
そのため、プロダクト戦略から営業販売戦略、さらにプライシングの戦略策定とそれぞれの実行をプロジェクトメンバーみんなで一緒にやっていました。
「どういうターゲットのお客さまにこのプロダクトが刺さるのか」という仮説を挙げて、実際にお客さまにプロダクトを見ていただき、ソリューションのイメージを伝えて、「これは業務改善につながる」や「経営戦略/ 経営指標の改善につながる」というフィードバックをもとに検証を継続していました。この一連の流れをセールスの竹原さんと一緒に進めていました。

竹原:私はセールスとして、お客さまの業務や課題などの情報を持っているので、「例えばこういうサプライチェーンの場合だとこういう課題があるのではないか」という仮説を立て、具体的な企業名をピックアップしていきました。そのうえで、お客さまとの商談にはプロダクトマネージャーの柳沼さんに同席してもらい、 一緒に提案していくということを繰り返しました。

(サプライチェーンなどの情報をもとに仮説検証を整理していた資料)

柳沼:竹原さんが言うように、セールス活動のおかげでお客さまの課題や情報は蓄積されていました。プロダクトマネージャーは、その情報に対して「解決すべき現場ユーザーの課題」や「それら課題の優先順位」、「解決する上でのソリューション」、「プロダクトとして提供していく際のオペレーション」などをセールスと相談しながら決めて行きました。

印象に残っていることとして、Any Cargo導入後のROIがどのようになるのか、また現場ユーザーだけではなくお客さまの経営課題の解決にどう直結させるのか、と言うことを竹原さんと特に力を入れて検証しました。お客さまのセグメント別に仮説検証を繰り返しました。

初期ユーザー選定のフェーズではどのような取り組みがありましたか?

竹原:いくつか仮説を立てて、柳沼さんと一緒に30〜40社ほどのお客さまに提案をしていきました。提案するお客さまを決めるうえで、会社規模や業界、取り扱っている商材のバラエティを出すようにしました。

また、初期ユーザーを選定するうえで「Shippioへの期待」という観点も考慮しました。当時のAny Cargoのアイディアはα版でもなければ、スライド1枚の紙芝居状態だったので、それでも期待して話を聞いていただけるという点は重要でした。

(Any Cargo立ち上げ段階のお客さま向け資料)

柳沼:一時期とあるお客さまと週1回でミーティングをさせてもらいながらAny Cargoの仕様を詰めていった時期がありました。当時私が入社したてだったこともあり、ドメイン知識の習得などで非常に大変でしたが、そのような機会をいただけたことはとても貴重でした。

竹原:セールスからプロダクトチームを見ていて、プロダクトマネージャー自らお客さまとの接点を持ってくれるので非常に心強く感じました。その姿を見ていたので、プロダクト開発にお客さまの声が反映されるだろうと、安心感と期待を抱きました。
これは明確にShippioプロダクトマネージャー組織の強みだと感じています。

先日、先述したお客さまと久しぶりにお話をしたところ、「当時の柳沼さんが担当者とデータ取込方法を一緒に試行錯誤していたからこそ、Any Cargo導入後もスムーズに活用できている」とおっしゃっていました。
お客さまの現場の不安をプロダクト目線でもしっかりと解決していけるということは、セールスするうえで非常に心強かったです。

プロダクトマネージャーの「お客さまとの会話の頻度」や「お客さまの解像度の高さ」がAny Cargoの事業開発に大きく影響しました。

竹原:プライシングに関しても、プロダクトとセールスの協業要素が多かったです。プライシングは、先行企業がいればその料金を参考にできるのですが、我々が事業開発していたAny Cargoはまだ市場がありません。明確な先行企業がいないので適正な価格をどう出していくのかは結構ポイントになりました。
SaaSのプライシングの考え方はいくつかありますが、Shippioのプライシングの考え方はEVC( = Economic Value to the Customer)です。(参照)

プライシングの考え方や当時の失敗談などは別のnoteでまた発信します!

立ち上げフェーズで大変だったこと、試行錯誤の上で成果につながった事例はありますか?

竹原:週1でミーティングをさせていただいていたお客さまと、「例えばこういう機能になったら毎日使えますか」や、「こういう機能にしたらご自身だけではなく会社全体でも使えますか」といったことを細かく細かく検証しながら詰めていきました。 このお客さまは、今でこそShippioの中でも最大級の成功事例を作ってくださっているのですが、Any Cargoの検証段階では大きなピンチもありました。

このお客さまには、Any Cargoのα版段階から使い始めていただいており、我々としてはβ版、本契約と進んでいただけるだろうと考えていました。
その矢先に、お客さまから「もう解約します」というお話をいただきました。
事業開発担当としては、「事業として失敗する」「今までの開発が無駄になる」という焦りが一気に出てきたことは今でも覚えています。

解約の要因としては、貿易実務の担当者だけではなく、役職者も使うとなると中長期的な導入以降のビジョンが必要であったり、情報システム部や倉庫など、あらゆる方面からの意見が出てきてAny Cargoの導入を理解してもらうことが大変だったということが分かりました。

例えば、お客さまの情報システム部門からすると、既存システムと機能が重複したり、将来的なシステム構想とスコープが被ってしまう懸念がありました。
その際にセールスが行ったこととして、お客さまから業務フロー図やシステム設計図をいただき、 直接システム部の部長とスコープの整理を行いました。
「この機能はAny Cargo」「この業務は既存システム」「 この部署が利用できる機能はないので、将来的にShippioで検討していく」などと、プロダクトマネージャーとの調整を行いつつ、スコープを整理していきました。振り返ると、セールスよりCSに近いような動き方でした。
社内外の調整においても、プロダクトマネージャーとの距離感が近いことがプラスに働きました。

最終的に、そのお客さまにはAny Cargo のα版から現在までずっとご活用をいただいています。

導入する際には、取締役から「方向性はもう合致しているのであとは俺が説得する」といってくださり、私たちとしては「もう半年だけで良いのでβ版を継続してください」とお伝えしていたのですが、「1年契約の決裁を取得した」と回答をいただいた時の喜びは今でも鮮明に覚えています。

柳沼:お客さまのステークホルダーが多い中で、竹原さんがお客様からいただいた業務フロー図やシステム設計図にまで色々と赤ペン入れながら「こういう風に改善するのが御社のためです」といった説明をしてる姿を横で見ていたので、セールスとしてやり切るという強い姿勢と意志を感じました。

セールスとプロダクトマネージャーが一緒にAny Cargoの立ち上げに取り組んだことによるメリットをそれぞれの視点から教えてもらえますか?

柳沼:大きく分けると2つあります。1つは、「全く使われないプロダクトを作る」という一番大きなリスクを未然に防げたことです。
お客さまの解像度が高いセールスと密に連携したり、自ら商談に同席することで、お客さまに対して自分から話を聞きにいけるような関係性を築くことができたことが大きかったです。

2つ目は、潜在顧客から実際に受注してお客さまになるまでのサイクルを学ぶことができた点です。
私は前職でBtoCサービスの企画開発をしていたので、BtoBの顧客サイクルを理解できていなかったのですが、セールスと一緒に協業することによって「こういう機能がないと受注につながらないんだ」とか、「セールスがこういう価値訴求できることで受注のコンバージョンにつながるんだ」といった、「セールスを強くするプロダクト作り」という意識を強く得ることができました。

竹原:圧倒的に立ち上げのスピードが速かったことです。スタートアップの新規事業は、絶対的にリソースも時間も足りないと思っています。プロダクトマネージャーと一緒に商談ができたり、プロダクトマネージャーだけで直接お客さまと会話ができたことで、最短でお客さんが求めているソリューションに辿り着けたという感覚があります。

その他にも、「足りない機能」のフィードバックのハードルが低い点もスピードに繋がりました。プロダクトマネージャー自身が顧客解像度が高いので、セールスとして忖度せずに機能不足をフィードバックできました。
メイン機能のクリティカルな機能不足に気づいた時も、すぐに解決策の議論に入れたこともありました。
セールスとプロダクトマネージャーが連携することで、常に「お客さま視点」で議論できた点もスピードに繋がったと思います。

Any Cargoを拡大していく上で、今まさにぶつかっている壁はなんですか?

竹原:Any Cargoは市場を作り出している段階で、リプレイス元はほぼExcelです。
お客さまにサービスの価値を理解していただくだけではなく、マインドチェンジしていただき、そのうえで新しく予算を取っていただく難しさは、今後もずっと続く壁だと思っています。

また、Any Cargoのポテンシャルは非常に高いと思っている一方、それを正しく理解していただくためには足りない点がまだまだあります。
目指している世界を実現するためにはShippioのセールススキルもまだ足りなかったり、プロダクトとしても足りない機能があるので、Shippioとしての価値をもっと高めていく必要があると考えています。

セールスがいかに顧客解像度を高く持ち、色々な仮説を立てながらプロダクトチームと議論し続けることを今後も逃げずに続けていきます。

柳沼:お客様の経営指標の改善に直結するような価値提供をしていきたいと思っているものの、まだ今のプロダクトでは力不足な点が多いと考えています。今後は、引き続き現場ユーザーの業務課題を解決し続けながら、お客様の経営にインパクトを出せるプロダクトにしていきたいと思っています。

また、サプライチェーンの最適化や改善は非常に広大なテーマなので、Shippioがまだ貢献しきれていない領域が無数にあります。あらゆる形態のサプライチェーン改善にご利用いただき、より多くの荷主企業様の課題解決ができるよう、引き続きセールスチームと密に連携しながらプロダクトを進化させて行きたいです。

お二人とも、ありがとうございました!

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