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ジャンク 【詩/改訂バージョン2種】 ~生成AIとの共創の試み~

先日、『ジャンク』というタイトルの詩(のようなもの)をつくり、noteに投稿したのですが、しばらくして読み直すと、今ひとつもの足りない、もう少しブラッシュアップしたい、という気持ちになってきました。

そこで、改訂版をつくろうと思いたったものの、よいアイデアも浮かばなかったので、ものは試し、生成AIのサポートを受けることにしました。
生成AIに与えた指示は、(原則として)「この詩をもっとおもしろくしてくれ」だけです。できあがったものに作者が多少の修正を加えています。なお、用いた生成AIは無償版のChatGPIです。それでは…


倉庫の中は騒がしい
古びた道具がおしゃべり
騒々しいジャンキーの
秘密の集会所

使えない道具たちの
秘密の会話を聞いたり
測ったり
比べたり

室町時代の計量器も活気づいてる

先代が集めたガラクタは
あなたの興味を引くこと請け合い

(ほう
 これは黒船がもたらしたものですね
 文鎮ですか

(いいえ
 坂本龍馬が使っていた歯ブラシです

(ほう
 たいへん貴重なものですね
 さぞかし不潔な歯ブラシでしょう

(は は は
 ご冗談を は は は

(これは

(これは
 鎌倉時代の竈猫です

(ほう なんとまあ 珍しい

(いくつもの戦争を生き延びてきた猫ですよ

(この色合いからして
 燻し銀ですな
 今がいつなのかよくわからなくなりますな

(まだまだ元気ですよ

(歯を剥いていますな
 よほどわたしが嫌いらしい

(ま ま ま
 未来から来たロボットの猫さんもあちらに

(あの いえ
 わたしは古いものだけで結構です

(あ そ

(今宵はほんま
 よいものを見せていただき...

倉庫の中は騒がしい
古びた道具がおしゃべり
騒々しいジャンキーの
秘密の集会所


全体の構造は変わらず、中間部分はあまり変わっていなかったのですが、冒頭と末尾に重大な変更が加えられており、童話的(メルヘンチック)な雰囲気が濃厚になりました。もともとの詩にもメルヘン要素はあったと思いますが、それが強められた感じです。
また、作者はこの倉庫に「静かな」「もの寂びた」イメージを持っていたのですが、AIは「騒がしい」と理解したようですね。多くの読者もそのように受け取るのでしょうか? また、AIのつくったものにどこかで読んだことがあるような懐かしさを感じたのですが、そういえばこれはまさに「おもちゃのチャチャチャ」の世界です。
興味が湧いたので、AIに対して「さらにもっとおもしろく」という指示を与えたところ、AIはいよいよ悪乗りを始めました。

倉庫の中は宇宙船
忘れ去られた宇宙探検隊が残した
奇妙な秘密拠点

役に立たない宇宙ガジェットが
宇宙の謎を語り合ったり
測ったり
比べたり

未知の星の計測器もある

先代が集めた宇宙ジャンクは
あなたの好奇心を掻き立てること請け合い

(ほう
 これは異世界から持ち込まれたものですね
 地球では何に使うのでしょうか

(これは
 宇宙海賊が使っていた歯ブラシです

(ほう
 たいへん貴重なものですね
 想像を絶する形状をしておりますな

(そうでしょう そうでしょう

(これは

(これは
 銀河系の稀少生物、星喰い猫です

(ほう なんとまあ 珍しい

(いくつもの宇宙戦争を生き延びてきた猫ですよ

(この毛並みからして
 スペースダストですな
 時空のゆがみを反映しているのでしょうか

(とても元気ですよ

(目をパチパチさせていますな
 よほど私たちが気に入ったようです

(ま ま ま
 未来から来た宇宙ロボットの猫さんもあちらに

(あの いえ
 私たちは古い猫さんだけで十分です

(あ そ

(今宵はほんま
 おもしろい発見をしていただきまして...

倉庫の中は宇宙船
忘れ去られた宇宙探検隊が残した
とても奇妙な秘密拠点


もともとの構造をそのまま残しながらも、一気に宇宙SFに進化を遂げました。「宇宙海賊が使っていた歯ブラシ」とか、「星喰い猫」とか、笑えます。やりすぎの感じもしましたが、この方が一般読者の受けはよいのでしょうか。エンタメ要素が強いです。このようなのもありかもしれないとは思いましたが、作者がこの詩に託した微妙な感情(詩性?)からは離れていきました。もちろん「もっとおもしろく」という雑駁な指示にAIは従っただけであり、AIもまた「他者」なので、作者の思うとおりにならないのは当然のことです。

以上、この文章に特に結論はありません。ただ、こうなりました、という報告です。その後、『ジャンク』には微細な修正を加えましたが、生成AIの出してくれたお茶目なアイデアは採用していません。これを採用してしまったら、自分の詩ではなくなるように感じたからです。この試みを通して、自分が文芸職人になりたいと思っているわけではない、ということを何となく理解するとともに、AIを通して現象させることがおそらくは困難な「詩性」というものの正体について考えさせらました。

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