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京都 【詩/現代詩】

ブリキのアパートをくぐり抜け
藪医者の表札をやり過ごせば
お屋敷の並ぶ界隈
お寺も神社もないけれど

(京都がある)

初めて乗った自転車で
碁盤の目をめぐり
突き当たりは小学校の校庭
学校に行かない子どもたちが遊ぶ

(ここにも京都がある)

花壇に夏蜜柑の種を蒔き
30センチくらい育ったところで
校舎が傾きはじめた
扇風機の羽根が毛虫みたいに鳴く

(ここにも京都があった)

十字の街路に佇んでいると
ソースせんべいが剥がれ落ちる壁
お寺も神社も伝承も燃えてしまい
工場から出るけむりがどんよりしている

(ここは京都である)

一番ちっぽけな神輿をかつぎ
どこにもない神社に願掛けをする
藪医者に鼻をもがれる前に
逃げるがいい
逃げて
逃げつづけて
おまえはどこに行くつもり

(どこまでも京都だから)

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