怪物たちの祭 【詩】
赤いタイガー
黒いジャガー
泣き叫ぶ青鬼
笑いころげるザムザの背中
(どんどこ どんどこ どんどこ)
街区を埋め尽くした
モディリアーニの胴体
放火魔の舌が電信柱を舐める
パリ片隅のアパートメントで
キャンバスから滴り落ちる黄色い絵の具
久しぶりの休日
俺は毒虫に変身した
前脚の油が部屋を塗りたくり
超絶遠近法を発明する
(グワシ グワシ バリン 罵詈 罵詈)
野獣派
表現派
金魚鉢が歪んでいく夜
(幸福そうなマティスの寝顔)
色彩の地獄
合わせ鏡の天国
世界中のお婆さんが太鼓を叩いている
(どんどこ どんどこ どんどこ)
パリ片隅のアパルトマンで知った
毒林檎の甘く冷たい しびれ
甘やかな しびれ しびれうお うお
野獣派
表現派
オイラは売れない芸術家
三つ子の魂百までも
大切に隠しておいた
地下帝国の入口で
時間と空間 大蛇になって
とぐろ巻きはじめる怪物たちの迷宮
(どぶらんこ どぶらんこ)
九月十一日の朝に
六本木ヒルズで目覚めた芸術家たちは
みな怪物になっていく
われら野獣派
君たち表現派
トーキョーは放火魔でいっぱいだ
燃えている 燃えている
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