小鳥屋の少女 【詩/現代詩】
小鳥屋の娘は
小鳥にそっくりだった
朝から晩まで
小鳥に囲まれて
とても楽しそうにしていたが
籠が破れていた
(餌がまずかったから?)
(自由が欲しかったから?)
燃えるような空の下で
黄色い羽根をばたつかせて
小鳥の嫌いな少女は
自分の顔を空に映しては
嘴からポロポロ涙を垂らして
ピーチク パーチク
それから
長い年月が過ぎて
熱帯雨林の森の奥まりで
忘れもしない
あの囀りが 聞こえたのだった
ピーパク パーパク
(だいぶ日に焼けていたな)
(ひどく汚れて見えた)
三本足の動物が歩く影で
ねじ曲がる樹木の隙間から
爬虫類の舌がのびていく
相棒は黒い鋼を闇に向けていた
そのとき
ずどおおおん
おい 何を撃った?
相棒 何を撃った?
(俺には虎に見えたのさ)
森の奥まりに
朝が訪れることはないが
ピーチク パーチク
もう何も見えない両眼には
不思議なひかりが見えていた
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