きゅびずむ 【ナンセンス詩】

キュビズムのきゅうりが
きゅうきゅう鳴ってますなあ

そんなんです
最近ずいぶん太ってもうて
桃太りいうんか

玄さん
すいか冷やしておきましたよ
夕食前にどうぞ
さあ玄さん
どうぞ　どうぞ

汽笛がなっちょります
汽車がとおるんですか
お腹がぽうぽう鳴っとります

（と　じじいは鼻をほじりながら
　種をプッと吐き出す

それいけません
ぷちぷち生えてもうなります

トマトも冷やしておきましたよ玄さん
それでは一個
（かぷりんこ
〈あちちちち
こんなことをしていては
死んでしまいますよ玄さん
食べすぎですよ玄さん

わしらどうせヤクザもんです
ぶっとくいくんです
ああ　秋の夜長の気の迷い

なあ由羅さん
ドスふりまわすんやめといてもらえますか
わてら殺す気ですか

いいんです　いいんです
このまま消えていきますよ
あの雲になるんです
いい残すこともありませぬ

きゅんきゅんきゅんきゅん

あちこちで育ちはじめた
ああ　きゅうり
ああ　いかんいかん
ああ　ずっきーに
すいか　も　とまと　も
キュビズムです
あっちこっちでキュビズムが
はっはっは
はじまってますよ

なんですか玄さん
玄さんらしくないですよ

もうええんです
思い残すことないです

（だんだん玄さんの影が薄くなる

きゅんきゅんきゅん