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美しい日々 【幻想詩】

私の中の軍隊が
乾いた街を進んでいく
娘らはカーテンの折り目に身を潜ませ
黒ずんだ花壇を見つめている

私の中の装甲車が
オルゴールを逆さにして進む
大地を揺する音色が民族を揺さぶり
壊れたゼンマイが飛び散っている

私は私を
鋼のごとく鍛えあげ
茶褐色の迷彩服を着込んで
敵地の草原に同化した
そのとき
私の中の真っ黒な鳥が
夜空に羽ばたこうとしていた

生まれて初めて行った演奏会で
ワーグナーが鳴りわたると
父祖たちの心が見えた
あなたたちは偉大です
私の中の戦闘機をあなたに捧げます
子どもたちは立派にその歌を歌いました
私の中の空母をプレゼントします

夢を育ててくれた
故郷のゆりかご
裏庭にひまわりが咲き誇っていました
ラジオが日々を言祝ぎ
温かな記憶が天井を這いまわる
けれども
お姉さんの鼻唄はいつも楽しげに
立派な戦場に育っていきました

私の中の青い志願兵が
ひまわりの種を蒔いていた
半年もすれば
大輪の花を咲かせ
立派な目の保養になることでしょう
けれども
讃美歌を歌っている可憐な娘たちは
父祖の記憶を呼び覚まし
私に牙を剥くに違いない

私は私の中の戦車を育て
その日に備えている
美しい日々が終わり
少女たちの肌の色が変わっていくとき
砲塔はまわりはじめている


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